オフィスレイアウトの変更:フリーアドレス制

最終更新日:2024年08月30日

社内のデスクやオフィスでの作業場所を固定せず、自由に席を選んで仕事をするスタイルのこと。生産性向上や働きやすい環境を求める流れの中で、新しい柔軟な働き方の一つとしての活用が広まっている。

コロナ禍を経た近年では、フリーアドレス制からさらに考え方を発展させたActivity Based Working/Office(ABW)という概念も新しい時代のオフィスの在り方として注目を集めている。

フリーアドレス制の導入事例

フリーアドレス制そのものについては、生産性向上やワークスタイルの変革を目指す職場の在り方としてコロナ前から導入されているケースもある。

総務省 行政管理局でのフリーアドレス制

総務省 行政管理局では、2015年の時点でワークスタイル変革を目指し、これまでのオフィス環境を一新する試行的取組を実施している。同局ではこの取り組みにより個人席周辺の文書量を約8割削減、カラープリント・カラーコピー数を約半分になり、職員間のコミュニケーション活性化などの効果が見られた。

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フリーアドレス化と同時に徹底的な電子化も進め、書類の検索、印刷・コピーの手間・コスト削減、省スペース化、セキュリティ向上などの効果を得た
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出典:総務省「ワークスタイルを変えるオフィス改革の試行的取組

内閣官房 内閣人事局でのフリーアドレス制

内閣官房 内閣人事局では2021年から先行的な取り組みを始め、2022年度にオフィス全体の全面改装を実施した。

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出典:内閣官房「内閣人事局におけるオフィス改革の取組

同局ではこの一連の取り組みに対し2021年度、2022年度に「国家公務員の執務環境整備に関する調査業務」を外部委託しており、この調査報告書は民間でのオフィスの在り方についても参考になる。

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オフィス改装におけるゾーニングをどう検討したかも載っている(出典:内閣官房「令和4年度 国家公務員の執務環境整備に関する調査業務 調査報告書」)

フリーアドレス制の典型的な成功・失敗要因

内閣官房の上記調査報告書(令和3年度)では、フリーアドレス制の成功要因・失敗要因として以下が挙げられており、フリーアドレス制を導入し成功させるには、適したオフィスレイアウトの他にトップのコミットメントや(電子化を含む)インフラ整備、事後調整やフォローが必要になることも触れられている。

フリーアドレス制のよくある成功要因

  1. トップの強いコミットメント
  2. 例外の排除・最小化
  3. 言い訳させないインフラ整備
  4. パイロットからの学び
  5. 「なぜ」に対する徹底した事前説明と、事後調整・フォロー

フリーアドレス制のよくある失敗要因

  1. 自席が無くなる不安や抵抗が膨らみ、計画が頓挫する。
  2. 管理しにくい、組織がまとまらないという管理職の声で元に戻す。
  3. クリアデスクが定着せず、書類・荷物がアンカーとなり席が固定化する。
  4. 仲良しクラブで集まり、雑談が増えて業務効率が下がる。
  5. 隠れ家に篭る人が出てくる。

(出典:令和3年度 内閣人事局の執務環境整備に関する調査業務 調査報告書 付録a

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