コラム

総務 / ファシリティマネジメント / ファシリティマネジメント

あらためてファシリティマネジャーの役割を考える

2017年07月27日

■ 利用者側の発想でマネジメントする大切さ

 ファシリティマネジメント(FM)を第四の経営基盤と捉え、人事や財務、ICTと同様に戦略的にマネジメントをする。それらを通して人・組織・社会のためになることがFMの目的です。しかしその取り扱う範囲が広いのでついつい自分に関係している範囲だけで思考を閉じてしまう人が多いように感じます。

 組織や仕組みは、ある業務を効率的に進めるために、都合の良いように便宜的に作ったものです。しかし、その組織や仕組みが一度できてしまうと、その枠に縛られてしまいます。その組織ができてきてから着任した方はなおさらで、その枠内で仕事をするのが役目と考えてしまいます。そして縦割りになり組織が硬直化します。それが日本の多くの組織の現状です。その与えられた範囲で深堀するのも大切なことですが、横断的に考えて、部分最適ではなく全体最適的に考えることが大切です。総務業務もFM業務も同様です。

 たとえば、大企業などで自分がワークプレイス関連の仕事を中心にFM業務に携わっていると、不動産、設備メンテナンスなどの話は関係ないと思ってしまいます。思考がその範囲に限定してしまうのです。しかし、FMの勉強をすると不動産から建築、ワークプレイス、そして作ることだけでなくメンテナンスやサービスまでライフサイクルを通してマネジメントする大切さを学びます。そのとき、単にその分野の知識を学ぼうとすると、不動産屋さんや建築屋さん、家具屋さんやメンテナンス屋さん側の発想の知識を学ぶことになります。そこで注意をしなければならないことは、彼らはその業の専門家ではありますが、供給者側の論理でものを考えているということです。少々失礼ないい方になりますが、その業でいかにもうけるかという発想です。その業者側の発想で専門的なことを学ぶのも大切ですが、それらを統合的かつ総合的に判断して、利用者側の発想で戦略的にマネジメントすることがファシリティマネジャーに求められる役目なのです。

■ 利活用するユーザー側の立場で考える

 それゆえ、もし本社を新築、移転するとき、働き方やワークプレイスについて考えることもたいへん重要なことですが、それらだけではなく、企業不動産(CRE : Corporate Real Estate)戦略として、会社の資産として本社をどう考えるか。自社ビルか、賃借ビルかを考えるときも、不動産屋さん的な発想だけで考えるのではなく、会社の業務と将来から、利用者の立場から、ときには街づくりの視点から考えることが必要なのです。あなたの役目は、単に不動産で収益を得て出口戦略を考えるということではなく、利活用するユーザー側の立場で考えることが役目なのです。

 FMの範囲は広いので、すべてを網羅して判断することはたいへんですが、それぞれの専門家に話を聞いたりノウハウを活用したりして、あなたの所属する企業、利用者側の立場にとっての最適解は何かを考えるのがファシリティマネジャーとしてのあなたの役目なのです。

 これは容易なようでなかなかできません。しかし、ユーザー側のFMのプロとはそのような人なのです。あなたにもぜひそのような思考をしていただきたいと思います。

成田 一郎
​​MENU