ベースアップをすると人件費にどう影響する? その仕組みと人件費を管理するための2つの注意点
この4月の賃金改定で大幅な賃上げを実施する企業の報道が相次いでいます。大手企業の労働組合の要求に対する回答が集中する日に関する報道によれば、労働組合のベースアップ要求に対して満額回答を出す企業が多く、さらに要求を上回る回答を出す企業も出ていました。経済全体への影響を考えると、大手企業だけではなく中堅・中小企業の賃金改定へ波及する程度も気になるところですが、社会全体としては空前の人手不足に直面しており、人材確保のため、賃上げや初任給引き上げに踏み切らざるを得ない企業も多いかと推察します。企業で人事管理を担当する方にとっては、それによる人件費増が気になるところでしょう。そのためには、ベースアップや初任給アップが人件費に影響を与えるメカニズムについて正確に理解することが大切です。そこで本稿では、総額人件費が決定する要素や人件費を管理する上での注意点などを解説します。
1人当たりの人件費に影響を与える2つの要素
非常にシンプルな見方をすれば、総額人件費は「1人当たりの人件費×人数」で決定されます。1人当たりの人件費は全員の平均値ですが、その平均値の変動に影響を与える要素は大きく2つあります。「賃金体系」と「人員構成」です。
賃金体系とは、賃金制度といい換えてもよく、等級・役職、年齢・勤続年数に合わせて支払う給与・賞与の水準を決定する仕組みです。等級や役職による差異を重視するのか、年齢や勤続年数に応じて支給するのかは企業の人事戦略や方針によって制度設計が変わります。この賃金制度は変更を加えなくとも、従業員の勤続が1年経過すると、たいていの場合、昇給や昇格が発生し、総額人件費が一定上昇することになります。この上昇がいわゆる「定期昇給分」「制度維持分」といわれる増額要素になります。
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