今回も引き続き課税文書の「記載金額」について見ていきましょう。
前回は、記載金額(契約金額や物品の総額)が明記されていないケースについて説明させていただきましたが、今回は逆に課税文書に複数の記載金額が明記されているケースについて確認していきましょう。
【1】一の文書に同一の号の記載金額が2以上ある場合
→ これらの記載金額の合計額が記載金額となる。
例えば、工事請負契約書の内容にA工事200万円、B工事300万円と記載されている場合には、この工事請負契約書の記載金額は、200万円+300万円で500万円となります。
【2】一の文書に2以上の号の課税事項が記載されている場合
このようなケースでは、2以上の号の記載金額がそれぞれ区分して記載されている場合とそうでない場合があると思いますが、それぞれで記載金額が異なります。
(1)2以上の号の記載金額が区分して記載されている場合
→文書の所属が決定された号の記載金額がその文書の記載金額となる。
(2)2以上の号の記載金額が区分して記載されていない場合
→文書に記載されている金額の合計額がその文書の記載金額となる。
例えば、不動産と債権の譲渡契約書があるとします。
不動産の譲渡契約書が第1号文書、債権譲渡については第15号文書になりますので、この文書の所属は第1号文書になりますよね。(2以上の課税事項が併記・混合している場合の文書の所属の決定については、第8回、第9回を見てくださいね)
この契約書に「不動産700万円、債権300万円」としっかりと区分記載がされている場合には(1)のとおり記載金額700万円の第1号文書となりますが、「不動産及び債権1,000万円」といったように区分記載がされていなければ(2)のとおり記載金額1,000万円の第1号文書になります。
【3】一の文書に課税事項と課税事項以外の契約に係る金額が記載されている場合
みなさんお気づきかもしれませんが、これは基本的に【2】と同じ考え方です。
(1)課税事項と課税事項以外の契約に係る金額が区分して記載されている場合
→ 課税事項に係る記載金額がその文書の記載金額となる。
(2)課税事項と課税事項以外の契約に係る金額が区分して記載されていない場合
→ 文書に記載されている金額の合計額がその文書の記載金額となる。
例えば、機械の売買とその機械の据付工事を請け負う契約書を作成するとしましょう。
機械の売買契約は課税文書ではありませんが、請負契約は第2号文書になります。 「売買金額1,000万円、据付工事費100万円」としっかり区分記載していれば、この契約書は記載金額100万円の第2号文書なので印紙税額は200円で済みますが、「売買金額1,100万円(据付工事費込み)」なんて書き方をしてしまうと記載金額1,100万円の第2号文書となり、印紙税額は10,000円なんてことになってしまいます。
みなさんも、契約書を目にする際には金額の記載方法に目を向けてみるのも面白いかもしれませんね。
一言コラム:クレジットカードで商品購入した場合の領収書に印紙は必要?
お店で買物をした場合、3万円以上のものを購入すれば領収書には印紙が貼ってありますよね。(平成26年4月1日からは5万円未満までが非課税となります)
もし、逆に販売者の立場であれば、お客様に印紙を貼った領収書を渡さなければなりません。 では、お客様が商品の購入代金をクレジットカードで支払われた場合には、領収書に印紙を貼るのでしょうか? ...答えは、貼る必要はありません。
通常、領収書やレシートは第17号の1文書に該当し、この文書は金銭又は有価証券の受取事実を証明する目的で作成されるのですが、クレジットカードを利用した場合には「金銭又は有価証券の受取事実がありません」ので、例え文書の名称が領収書となっていても、第17号の1文書に該当しません。
ただし、領収書にクレジットカードを利用したということが記載されていない場合には第17号の1文書として課税文書に該当してしまいますので注意が必要です。
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