第7号文書とは「継続的取引の基本となる契約書」のことなのですが、その具体的な定義については印紙税法施行令第26条で定められています。
印紙税法施行令第26条は第1号から第5号で構成されていますが、今回は第1号で定められた「売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する基本契約書」に重点を置いてみてみたいと思います。 まず、印紙税法施行令第26条第1号に該当する第7号文書であるためには、次の5つの要件すべてに該当する文書であることが必要です。
- 営業者の間における契約であること
- 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
- 2以上の取引を継続して行うための契約であること
- 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること
- 電気又はガスの供給に関する契約でないこと
いかがでしょう?
みなさんはこの5つの要件をみて、何か感じますでしょうか?
実は、この5つの要件を満たす文書は、実務をしていると他のある号の文書との区別に頭を悩ませるケースが非常に多いのです。
...それは、第2号文書「請負に関する契約書」です。
第7号文書の税額は一律4,000円ですが、第2号文書に該当すると記載金額により税額が変わってくるので、間違えてしまうと大変です。
例えば、機械の販売会社にその機械の保守業務を委託する契約を結んだとして、その契約書は第2号文書「請負に関する契約書」なのか第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」なのかは判断が難しいと思います。
そんなときに役立つ基準として、国税庁が以下の判断基準を公開していますので、みなさんも頭の片隅に覚えておくと役に立つかもしれません。
-
継続する請負で、契約金額の記載のあるもの ⇒ 第2号文書
(例)機械保守契約で、月額の保守料金と契約期間の記載のある契約書 -
継続する請負で、契約金額の記載のないもの ⇒ 第7号文書
(例)機械保守契約で、契約期間の記載があるが、月額保守料金を別途、覚書で定めることにしている契約書
※代表的な例を挙げさせていただきました。詳細は国税庁ホームページをご確認ください。
※実際には文書の内容により判断することになりますので、あくまで1つの判断基準とお考えください。
一言コラム:印紙税でもできる節税!
印紙税は文書の内容によって所属が決定し、定められた金額の印紙を貼るだけだから節税なんてできないんじゃ...と思っておられる方も多いのではないでしょうか?
実は印紙税でも節税は可能なのです!
ひとつの例としては今回紹介した第2号文書と第7号文書の違いを使った方法があります。 継続する請負契約について取り決めた契約書の場合、契約金額が記載されていたり、内容から契約金額が計算できる場合には第2号文書になりますが、契約金額の記載のないものは第7号文書になります。
契約金額が500万円超1,000万円以下のような場合、第2号文書に該当すると印紙税額は10,000円になりますが、契約金額を記載しない、又は、別途覚書を交わすようにして契約金額が原契約書だけでは計算出来ないようにして第7号文書に該当するようにすれば、印紙税額は4,000円ですみます。
※覚書の書き方によっては覚書が課税文書になってしまうこともあるので注意が必要です。
ただ、印紙税を気にするあまり、せっかく作った契約書が法的に不十分なものになっては意味がありませんので、その辺は弁護士や司法書士に相談しながら作成するようにしてくださいね。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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