今回は第3号文書について見ていきたいと思います。
課税物件表を見てみると、第3号文書は「約束手形又は為替手形」となっています。 約束手形又は為替手形は、手形法の規定によりその記載内容が定められた要式証券のため、ほかの課税文書に比べると、「そもそも第3号文書なのかどうか...」や「記載金額はいくらになるのだろう...」などと迷うことは少ないように思います。
ただ、流通現場においては、振出人又はその他の手形当事者が手形の記載内容の一部を他人に補充させる意思をもって、未完成のまま振り出した手形が存在します(いわゆる白地手形ですね)。
この白地手形は手形法上は手形としての効力を有しないものなのですが、印紙税法上では第3号文書に該当し印紙税が課税されます(ただし、手形金額の記載のない「金額白地手形」は非課税文書となります)。
ここで疑問に感じるのは、この未完成の手形(白地手形)の印紙税は「いつ」「だれが」負担するのかということです。 印紙税の納税義務者および納税義務がいつ生じるのかということについては、「課税文書の作成者」が「課税文書の作成の時」とされていますが、白地手形は文書としては不完全な形ですので、一見すると「課税文書の作成者」や「課税文書の作成の時」について迷われることがあるのではないでしょうか?
例えば、最初に手形を作成した人(時)が作成者(作成の時)になるのか、欠けた要件を補充して手形を完全な形にした人(時)が作成者(作成の時)なのか、といった具合です。
実は、これについては明確に規定がありますので、今回はぜひこの点を確認していただきたいのですが、白地手形の中でも金額が記載されていない金額白地手形は、その他の白地手形とは扱いがことなりますので、それぞれに分けて説明したいと思います。
(1)白地手形の作成者と作成時期
金額の記載はあるが受取人の署名がない手形については、最初に手形を作成して記名押印した者が課税文書の作成者になり、また、その時が課税文書の作成の時になります。 そもそも白地手形は印紙税法上「課税文書」であるため、その内容に欠けがあったとしても最初に手形が作成された時が「作成の時」に、それを作成した者が「課税文書の作成者」になります。
(2)金額白地手形の作成者と作成時期
約束手形又は為替手形の作成者および作成の時は、原則として(1)のとおりなのですが、金額の記載されていない白地手形については特別の定めが設けられています。
課税物件表第3号文書、非課税物件の2番目を見てみると手形金額の記載のない手形とあるとおり、金額白地手形については手形の振出しの時には印紙税を課税しないこととし、後日、その手形に金額が記入された場合には、その金額を記入した者を「課税文書の作成者」に、金額を記入した時を「作成の時」とみなして印紙税を課税することとしています(もし、金額が記入されることがなければ、印紙を貼る必要はないということです)。
一言コラム:印紙を見れば、いつ貼られた印紙かがわかる ?!
印紙税法では、印紙税が課税されるのは「課税文書の作成の時」とされています。 そのため、「課税文書の作成の時とはいつなのか」ということが非常に重要になってきますが、時には、「印紙をいつ貼ったかなんて少々ミスをしてもバレないんじゃないの?」なんて感じてしまうことはありませんか?
確かに印紙税は課税文書に印紙を貼付け消印をすることによって納付しますので、税務署にチェックされる前ならいつ印紙を貼っても同じなように思えてしまうかもしれません。 しかし、やはり不正をすればバレてしまうというのが世の中の常なのか、実際、印紙を貼り付けた時期を後から確認することが可能なのです。
どういうことかというと、収入印紙には絵柄が描かれていることはみなさんご存じかと思いますが、実はこの絵柄、定期的にちょっとずつ変更されていることを知ってましたでしょうか。
印紙税の単独調査では、調査官は過去の印紙のアルバムのようなものを持っていて、文書の作成時にその印紙が存在していたのかなんてこともチェックするそうです。 みなさん、印紙はちゃんと文書の作成時に貼るようにしましょうね。
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