前回は第7号文書の中でも印紙税法施行令第26条第1号で定められた「売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する基本契約書」を見ていきましたが、今回は第2号で定められた文書について確認していきたいと思います。
(1)売買に関する業務、金融機関の業務、保険募集の業務又は株式の発行若しくは名義書換えの事務を継続して委託するため作成されるものであること
(2)委託される業務又は事務の範囲又は対価の支払方法のいずれか1以上の内容を定めるものであること
ただし、第2号に該当する契約書の場合、前回確認した第1号との大きな違いとして、取引の当事者が営業者に限定されないということを忘れないでください。
それでは、要件の(1)で規定している業務について、それぞれ確認していきましょう。
売買に関する業務
印紙税法施行令第26条第1号に規定する文書の要件に「売買、売買の委託に関する契約書」というものがありますが、この場合の「売買の委託」とは、特定の物品等を販売し又は購入することをいいますが、第2号に規定する「売買に関する業務の委託」とは、売買に関する業務の一部又は全部を委託することをいいます。
金融機関の業務
ここでいう金融機関の業務とは、預金業務、貸出業務、出納業務、為替業務、振込業務など、銀行業法、保険業法、証券業法、信託業法等において認められるすべての業務が対象となります。
ここでご注意いただきたい点としては、この文書の対象は「金融機関が他の者(金融業務を行うことが出来る金融機関)に対して、これらの業務を委託するもの」ですので、例えば、「物品を販売する業者がその販売代金の振替業務を金融機関に委託する」場合などは金融機関の業務に該当しないということが挙げられます。
保険募集の業務
保険募集の業務とは、保険代理店等が行う各種の募集業務のことですが、保険会社と外交員が雇用関係にある場合には、例え契約書を交わしていたとしても「業務の委託」にはなりませんので、第7号文書には該当しません。 第7号文書に該当するのは、あくまで雇用によらない外交員との間で契約する場合となります。
また、代理店の中には契約見込者の紹介のみを行う紹介代理店や、保険料の集金のみを行う集金代理店がありますが、印紙税法施行令第26条第2号の対象は「保険募集を行う募集代理店が保険会社等と締結する契約書」となります。
一言コラム:ソフトウェア保守契約書は課税文書!?
企業では様々なソフトウェアを扱うことも多いかと思いますが、それらのソフトウェアの保守については契約書を交わしているでしょうか?
実務上、第2号文書と第7号文書は判断を迷うことも多いかと思いますが、ソフトウェアの保守契約もそのうちの代表的な1つではないでしょうか... 例えば、あるシステムが不安定になった場合、その原因を調査し修復することに対して報酬を支払うといったものは請負契約に該当し第2号文書になりますし、あるプログラムのバージョンアップを複数回行うことがあらかじめ決まっているようなケースでは、継続的取引として第7号文書になる場合もあります。
では、絶対に課税文書になるのかというと、プログラムの使用上発生した問題に対する質問・問い合わせに対する応対(技術的なものを含む)の場合には単なる委任契約と解されますので、印紙税法上の課税文書には該当しません。
このように、ソフトウェア(プログラム)保守契約書といった名称の契約書については、保守の内容により第2号文書に該当する場合、第7号文書に該当する場合、そもそも課税対象にならない場合とその取扱は様々ですので、こういった契約書を扱う場合には、保守の内容をしっかりと理解した上で判断するようにしてくださいね。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
1ヶ月のアクセスランキング
関連記事
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
コロナ禍によってテレワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。