知って得する!印紙税講座

知って得する!印紙税講座 第16回:第1号文書とは

堀 龍市税理士事務所 所長 堀 龍市
最終更新日:
2013年07月18日

さて、今回からは課税物件表の内容について、具体的に見ていきたいと思います。

さっそく第1号文書から見ていこうと思うのですが、第1号文書は1文書〜4文書にまで分かれていますので、まずは、どのような文書が該当するのか確認してみましょう。

(1)不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書

いくつかイメージしやすい言葉もあるかと思いますが、ここではあまり馴染みのない「無体財産権」に的を絞って説明させていただきます。 無体財産は知的財産ともいわれ、知的財産権といった方が馴染みやすいかもしれません。(細かいことをいいますと、無体財産には知的活動以外によってつくられたものも含まれますので厳密には違うようですが...)

ノウハウなどは形がありませんので無体財産に該当しますが、印紙税法上の第1号の1文書として課税される無体財産権は、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権の8種類に限定されています。 したがって、前述のノウハウについては、例えこれを譲渡する契約書を作成したとしても、課税文書には該当しないことになります。

(2)地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書

この文書に該当する土地の賃貸借契約書について特に注意していただきたい点としては、記載金額が挙げられます。 この文書の記載金額に対する考え方としては、当然、権利の設定又は譲渡の対価となる金額なのですが、土地を賃貸借する場合には、権利金や更新料といったように様々な金額が設定されるケースが多く記載金額がいくらなのかと迷ってしまうことも少なくないでしょう。

ここで押さえていただきたいポイントは、この文書の記載金額については、名称のいかんを問わず、後日返還されることが予定されていない金額のすべてを指すということです。 保証金、敷金などといった名称に惑わされず、返還が予定されているかどうかで判断するようにしましょう。

(3)消費貸借に関する契約書

消費貸借契約とは借主が貸主から金銭その他の代替性のある物を受け取り、これと同種、同等、同量の物を返還する契約のことをいいます。 消費貸借=金銭と考えがちですが、例え「物」であっても、それを受け取り消費した後、同種、同等、同量の物で返還する場合には消費貸借契約に当たりますので注意が必要です。

また、借りたもの自体を返還する場合には消費貸借ではなく、使用貸借や賃貸借となりますので、消費貸借に関する契約書には該当しません。

(4)運送に関する契約書

運送とはその名の通り、物品又は人を所定の場所へ運ぶことをいいます。 通常、運送契約は運送という仕事の完成を目的とし、その結果として報酬が支払われることから請負契約に属するものなのですが、印紙税法における運送とは、営業として行われるものに限らず、たまたま行われる無報酬の契約であっても、第1号の4文書(運送に関する契約書)に該当することになります。

一言コラム:野球選手は課税の対象なのにプロゴルファーは課税されない?

プロ野球選手やプロゴルファーの人たちは特定の企業と専属契約を結んでプレーしていることも多いですよね。 この場合の専属契約は請負契約といえますので、その契約書は第2号文書(請負に関する契約書)として印紙税が課税されることになります...と言いたいところなのですが、実は野球選手の専属契約書は第2号文書として課税の対象になるのですが、プロゴルファーの専属契約書は課税文書ではありません。

専属契約書が課税文書となるのは、印紙税法施行令第21条で定めた、野球選手、映画俳優、など限られた人達だけなのです。 これは、印紙税法上の無体財産権が8種類に限定されているように、列挙されたもののみを限定して指す限定列挙によって定められているためです。

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著者プロフィール

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堀 龍市税理士事務所 所長
堀 龍市

経歴
大阪市出身、大阪府立大学経済学部経済学科卒。大学卒業後、父親が経営する会社に就職。父の会社で最も身近な存在であり、相談できる相手である顧問税理士が「税金の計算をするだけの人」と知って愕然とし、父の会社の解散に伴って、必死で会社を支えている社長を経営面からサポートする税理士を目指す。
その後、ランチェスター経営の竹田陽一氏に師事。
現在は「中小企業の社長と従業員とその家族が幸せになれば、世の中が幸せになる」を合言葉にクライアントの売上向上と税金対策に携わっている。

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