企業はいよいよ国際標準である「社会的責任の手引」(ISO26000)を使いこなして、慈善活動的CSRから本業CSRへ転換し、ポーター教授らによる社会課題と経済価値の同時実現を狙う競争戦略としての「共有価値の創造」(CSV)も織り込んでいく必要があります。
また、最新の国際的な共通言語であるSDGs(持続可能な開発目標)を使いこなさなければなりません。
さらに、企業は、投資家に対してもESGを重視してどのように持続的に価値を創造していくかという「ストーリー」を語り、メディアをはじめ関係者と良い関係(リレーションズ)を築く本来的な意味の「パブリックリレーションズ」が重要です。わかりやすくするため「三方よし」の考えも使い、「隠徳善事」では伝わらないので「発信型三方よし」として理解していきます。
筆者の31年の行政経験と9年の企業経験を活かし、「これならわかる共有価値創造とサステナビリティ経営の理論と実践」という実践的な角度で皆様と考えていくサイトです。地方創生もCSR/CSVの実践として紹介していきます。
CSR、IR、広報、ブランディング、経営企画など幅広い業務の責任者・実務家、そして経営層の関心にも答えていきます。


(※)CSR企業の社会的責任: corporate social responsibility   CSV共有価値の創造:creating shared value
ISO国際標準化機構: International Organization for Standardization   SDGs持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals

笹谷オリジナルコラム:

笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第8回>
発信型三方良し、笹谷秀光公式サイト開設

2018-08-24 11:00

「笹谷秀光の公式サイト」

 激動の世界、環境・社会の持続可能性が必須です。今求められる外来語CSR / SDGsを自分ごと化して発信する「発信型三方良し」と関係者連携の「協創力」を考えます。この度、「笹谷秀光の公式サイト --- 発信型三方良し ---」を開設しましたのでご紹介します。

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「笹谷秀光の公式サイト」には「発信型三方良し」を副題として付けました。フリーランスとしての笹谷が次の3方面の活動を発信していきます。

(1) サステナビリティに関する理論と実践へのアドバイス・コンサルティング(CSR / CSV / ESG / SDGsなど。企業をはじめ、自治体も対象にします)

(2) サステナビリティ、まちづくり等に関する講演・シンポジウム参加・講義

(3) これに関連する執筆やアカデミア活動(大学、学会活動)

「笹谷秀光の公式サイト」最新記事より

 笹谷秀光の「三方良し」通信。戸倉上山田温泉にて(ホームページ開設記念)の1節をご紹介します。

姨捨の棚田

 戸倉上山田温泉のすぐ近く、車で15分くらいのところに、「姨捨(おばすて)の棚田」があります。この棚田は次のように様々な評価を受けています。

・1999年に「姨捨(田毎の月)」が国の名勝に指定
・1999年に農林水産省により「日本の棚田100選」に選定
・2008年に日経プラス1紙面(9月6日号)で全国第1位の「お月見ポイント」に選定
・2006年に棚田は特別史跡名勝天然記念物に指定
・2010年には「姨捨の棚田」として重要文化的景観として選定

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 姨捨と呼ばれる現在の千曲市更級地区と同市八幡地区は、姨捨山の異名を持つ冠着山のふもとに広がっています。眼下には日本一長い千曲川が流れる素晴らしい田園風景です。現在では棚田を維持するため、棚田オーナー制度があり棚田の保全を図っていて、棚田ごとにオーナーの名前が書いてあります。

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 千曲川を挟んで対岸に連なる山並みの一つ、鏡台山から昇る月が美しく見える観月の名所です。この一帯には、芭蕉が来訪して有名になった長楽寺と、「田毎の月」の言葉で知られ、姨捨棚田は棚田としては全国で最初に名勝となりました。

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松尾芭蕉の来訪

 江戸時代中期には松尾芭蕉がここを訪れ「更科紀行」の中で有名な句を披露しています。この芭蕉の旅は1688年(貞享5年)で、芭蕉文学の集大成となる「奥の細道」の前の年です。

「俤(おもかげ)や姨(おば)ひとり泣く月の友」

 芭蕉の母が亡くなったのは更科への旅の五年前でまだなまなましい感情があったといわれています。

(以下略。サイトをご覧ください)
https://csrsdg.com/column/386.html

「笹谷秀光の公式サイト」のご案内

 このサイトのドメインにも着目ください。
https://csrsdg.com/

 サイトでは次の情報をお伝えします。

・最新の登壇スケジュール
・「三方良し」通信――笹谷のブログ的な位置づけ
・メディア記事
・著書

などの内容をアップしています。

 この「協創力が稼ぐ時代」コラムの記事とも連動させていきますので、ぜひご覧ください。

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笹谷オリジナルコラム:

笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第7回>
笹谷の新刊!これなら分かる、SDGs

2018-04-25 07:00

新刊「経営に生かすSDGs講座」の発刊

sasaya_20180425column_pic01.png このたび環境新聞社より、笹谷秀光著 ブックレットシリーズ14『経営に生かすSDGs講座 --- 持続可能な経営のために --- 』を刊行します(関係者のご理解・資料提供を得て、笹谷個人としての執筆です)。

 このブックレットは、SDGsについての笹谷による環境新聞での1年間の連載記事に笹谷が実行委員長を務めた日本経営倫理学会での最新のシンポジウム記録などを加えてまとめたもので、4月27日発売予定です。

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本書の問題意識

 本書の問題意識は、笹谷の職業経験、つまり、農林水産省時代に外務省や環境省に出向し対外交渉に参画した後、伊藤園でCSRを通算7年間担当して国際標準の動きを見てきた経験からくるものです。

 この経験から、Eではパリ協定、EとSとGでSDGs、Gでコーポレートガバナンス・コードの開始があった2015年は節目の年であり、「ESG元年」であると言ってきました。

「ESG」とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の三つの言葉の頭文字をとったものです。この三つの要素に着目して企業に投資する「ESG投資」が、急速に進展しています。

 2017年暮れにSDGsの優れた取り組みを表彰する第1回「ジャパンSDGsアワード」が、政府より発表され、2018年は、いよいよ、日本企業もSDGsを競争戦略に活用する「SDGs実装元年」となるでしょう。

 2020年の東京五輪の調達・イベント運営ルールや2025年の日本万国博覧会の大阪誘致でもSDGsが基本となります。日本企業はSDGs先進国を目指して本業力を発揮すべきです。

sasaya_20180425column_pic03.png(第1回「ジャパンSDGsアワード」授賞式に、SDGs推進大使であるピコ太郎氏と)

本書の豊富な事例とポイント

 本書で取り上げた主な事例は、企業では、伊藤園をはじめとして、住友化学、サラヤ、吉本興業、オカムラ、パナソニック、エリクソンの各社、自治体では、高知県、福井県大野市、岐阜県白川村、富山県魚津市、大学では東京大学の「One Earth Guardians育成プログラム」などです。

 本書では、SDGsがなぜ企業や自治体に必要か、関係者連携のコツは何か、ESGとの関係は何か、ジャパンSDGsアワードの意義は何かを中心に解説し、SDGs先進国への道筋を探ります。

 本書がSDGsについて、企業はもちろん、政策関係者、自治体、大学、メディア、NPO/NGOなど幅広い関係者にとっての理解の一助となれば幸いです。

【目次】

はじめに 今、なぜSDGsか

1 持続可能性の共通言語SDGs

2 SDGsを巡る政府の動き

3 SDGsに企業はどう対応すべきか

4 SDGsに対応する企業の先駆的動き

5 SDGsについての疑問に答える

6 SDGs目標11 持続可能なまちづくり

7 複合的な持続可能性SDGs目標への貢献

8 地方創生・まちてんSDGs宣言

9 SDGs「実装」元年を迎えて

10 SDGsアワード受賞企業に学ぶ

11 SDGsアクションプラン2018

12 SDGs導入のために企業はどうすべきか

おわりに 今後の展望―SDGs先進国へ―

資料1:日本経営倫理学会主催:第9回経営倫理シンポジウム(外務省後援)概要

資料2:経営倫理学会シンポジウム:笹谷秀光基調講演「ESG時代における企業のSDGs活用による競争戦略」

経営倫理学会シンポジウム:笹谷秀光基調講演を動画で見よう

 本書には、経営倫理学会シンポジウム:笹谷秀光基調講演「ESG時代における企業のSDGs活用による競争戦略」が収録されています。

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 月刊総務オンラインをお読みの方には、特別に、その時の動画をここにアップしておきます。

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【書籍の基本情報】
タイトル:環境新聞ブックレット「経営に生かすSDGs講座 --- 持続可能な経営のために」
著者:笹谷秀光 伊藤園常務執行役員 CSR推進部長
発行:環境新聞社
体裁:A5判、本文106ページ
定価:864円(本体800円+税、送料別)

詳しくは環境新聞社のサイト: http://www.kankyo-news.co.jp/

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笹谷オリジナルコラム:

笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第6回>
美的・次世代マーケティング

2018-03-29 16:00

パリのルイ・ヴィトン

 パリのヴァンドーム広場。ココ・シャネルが住んでいたり、ナチス時代に本部が置かれ、映画「パリは燃えているか?」に出てくるパリの爆破をヒトラーに命令され拒否したコルティッツ司令官などで歴史上有名なホテルリッツのある広場です。筆者がパリで最も好きな広場です。2017年10月にパリを訪れた時の印象をお話しします。

 このヴァンドーム広場に行く前に、はっとするようなビル全体へのラッピングが目に入りました。景観規制の厳しいパリですから許可を取ったのでしょうか。

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 良く見るとルイ・ヴィトンの入ったビルでした。ルイ・ヴィトンと言えば、建築家のフランク・ゲーリーの手で2014年に誕生したパリの「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」(ルイ・ヴィトン美術館)がブローニュの森にあります。

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 フランスをはじめとする世界各国の現代芸術の創作活動を支援し、多くの人々にその作品を紹介する複合文化施設だそうです。公式サイトを見ると興味深いです。
http://www.fondationlouisvuitton.fr/ja.html

 最近、有名ブランドもこのような美や環境を企業の志(「パーパス」と言います)として打ち出すところが増えています。モノを売る時代から、美や価値創出を売る時代への変化を感じさせます。ルイ・ヴィトンのこの取り組みは、まさに「美的マーケティング」です。

 この点に関連して、オルタナの小松遥香さんの次のサステナブル・ブランド(オルタナ)サイトでの記事が秀逸です;
「高級ブランドが相次ぎサステナビリティ・シフト加速」http://www.sustainablebrands.jp/article/story/detail/1190318_1534.html

 

建築と街並みが今後の重要な価値

 ブローニュの森にあるルイ・ヴィトン美術館の建物はひときわ目を引きます。

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 フランス人は、昔も今も、建築価値を重視する国民性を持っています。例えば、観光の「緑のミシュラン」日本版では、銀座の国際フォーラムのガラス棟やエルメスのビルが三ツ星になっています。

 国際フォーラムは今後東京五輪・パラリンピックも控え、MICE需要も盛り上がり、インバウンドのインフルエンサーが多く訪日するのでチャンスです。

 

 近くには、まちづくりでグッドデザイン賞を取った丸の内仲通りもあります。今やパリのブランド街の通りのようなおしゃれな街並みになりました。グッドデザイン協会の展示店もあります。この丸の内仲通りの周辺は、三菱地所グループやその関係者が力を入れるエリアです。

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「三菱地所を見に行こう」

 この宣伝の伝え方が大好きなので、「パリにもあったはずだな」と思い、見に行きました。

 周りの歴史的な建物の中でひときわ目立つガラス張りのモダンなビルでした。欧州進出の一つの拠点にするそうです。

 2014年12月に開設されたオフィスビルで、「46 Rue La Boétie」にあります。凱旋門やシャンゼリゼ通りからもほど近いパリ中心部の8区に位置し、三菱地所グループとしてはヨーロッパ大陸に保有する初の物件だそうです。

 このビルのあるボエシー通りは、オスマン通りやサントノーレ通りといった著名な大通りの間に位置しています。

 三菱地所は「人を、想う力。街を、想う力。」がキャッチフレーズでエリアマネジメント力を磨いています。この「想う」というのが含蓄深いです。今後の展開が期待されます。

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パリのユニクロ

 パリのブランド街の一つ、マレ地区は、シャネルなどもありシックな街並みです。

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 その中に日本のユニクロの店舗があります。おなじみのロゴが小さく出ていました。店舗に入ると日本のユニクロとは様相が違います。美的オブジェを置いたコーナーもあり、「奥の院」のようなところにヒートテックのコーナーがあります。日本のクールジャパンの技術を売り込んで、評判が高まっています。

 ヒートテックの効果の「魅せ方」は、SDGsを思わせる、言葉のいらないピクトグラムが功を奏しているようでした。

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 近くには「MUJI」もあります。もはや、これが日本発の「ブランド」と思うフランス人はいないかもしれません。

 

パリは美的マーケティングのプラットフォーム

 このようにパリで現地化すると何でもおしゃれになります。パリはすごい「器」だと思います。換言すれば「プラットフォーム」です。

 それは数々のイノベーションを生んできた都市だからでしょう。

 ちょうど「Nuit Blanch」(白夜祭り)というイベントをやっていて、例えば、歴史を感じさせるパリ市庁舎前で現代芸術のパーフォーマンスを市民参加型でやっていました。

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パリの美的・次世代育成

 パリにはどうしてこのような活力があるのでしょう。その一端は次のようなことかもしれません。私の著書の一節をご紹介します。

 フランス・パリの住宅街16区にマルモッタン美術館があります。印象派の由来となった、モネの『印象、日の出』という有名な絵がある美術館です。筆者はここが好きで、パリに行くとよく訪れます。そんなある日、興味深い光景を見ました。

 フランスの小学生十数人が、教師に連れられてこの絵を車座で囲んでいます。教師がこの絵を見てどう思うか問い掛けます。小学生は「光が美しい」などさまざまな感想を述べ、教師は双方向の方法で実践的授業を進めています。

 「なぜそう感じるか」「絵の描き方にどんな工夫があるか」など、小学生相手とは思えないやり取りをしているのです。解説するのではなく、絵を見て考えさせています。「なるほどなぁ」と感心しました。

 本物の名画を見て小学生が「気づき」を持ち帰ることで、斬新なアイデアや美的感覚を持つ人材が生まれます。フランスでは、個人の才能を花開かせる教育が威力を発揮しているのでしょう。その才能の発揮が効果的な仕組みやコミュニティづくりにつながっているのです。

 斬新なアイデアや構想が採用されるよう、多様性(ダイバーシティ)を認めて社会のダイナミズムを保持しています。フランスは少子化問題も乗り越えました。内閣の閣僚の半数が女性です。

 経済では必ずしも成功しているとはいえませんが、美感覚・景観・まちづくり計画に関しては、やはり欧州の中でも随一といっていいでしょう。

 

パリの建築中の覆いに見る美の追求

 パリ16区、―筆者がかつて住んでいた住宅エリアで面白いものを見つけました。

 ビルの改装の建築現場で「覆い」をしてそこに絵をあしらって景観に溶けこませています。ブルーシートやプラスティックの囲いではなく、建築中でも周りの景観に配慮にする工夫と姿勢には学ぶ点が多いと思いました。

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笹谷オリジナルコラム:

笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第5回>
次世代育成SDGs

2018-03-23 14:00

青少年の体験活動推進企業表彰とSDGs

 筆者が審査委員を務めた関係で平成29年度青少年の体験活動推進企業表彰でのパネルディスカッションでモデレーターを務めました(3月1日)。主催者の文部科学省では、企業のCSR/CSV活動を通じた青少年の体験活動を推進するため企業を表彰しています(今回が5回目)。

  http://www.csr-award2018.jp/ceremony.html#oubo

 これはSDGsの目標4「質の高い教育」に該当し、「SDGsアクションプラン2018」で示された次世代の育成です。パネルは「企業と青少年教育をつなぐ連携とは」というテーマで、モデレーターとして示した論点整理をここに採録いたします。

 

パネルディスカッションで論点提示を行う筆者

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パネルディスカッションでモデレータを行う筆者

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(右は同じく審査委員の明石要一先生)

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青少年を取り巻く状況

 最初に、今の時代状況を読み解く3つの要素を確認しました。相次ぐ文化遺産がヒントになります。2013年に富士山、これは日本人の心に刻まれた文化遺産。それから和食、手漉き和紙、祭り、富岡製糸場、神宿る島。日本的な価値観が世界のユネスコに認められ、しっかりと世界に発信ができて、そこに五輪・パラリンピックが来るわけです。

 また、ICTやAIの進化を活用する「Society5.0」が課題です。日本の良いもの(クールジャパン)をしっかり発信して、ますます増えているインバウンドの方々にも訴求して、レガシーとして遺していくというのが今の時代の課題でしょう。

 政策課題も国際都市東京の形成は「2020」まで、地方創生も2019年までが第1期で、今まさに真っ最中です。加えて「次世代育成」が重要で、全部合わせて日本創生を目指すという状況と整理できます。

 国民全体が「2020年までに」というタイムラインの「締め切り効果」を生かして、それぞれ自分はそれまでに何ができるかを考える必要があります。

 そして、企業にもこれから世界で渡り合っていく羅針盤が欲しいところです。その絶好の羅針盤がSDGs、筆者の言葉で言えば持続可能性に関する世界の共通言語です。今日のテーマはSDGsの4番「質の高い教育」です。このロゴを見るとノートとペンですね。

 

「発信型三方よし」に「学び」を加える

 このような中で、企業は、簡単に言えば「三方よし」、つまり、「自分よし、相手よし、世間よし」という、もともとあった商人哲学を生かして活動すると良いでしょう。

 この三方よしに、今日のご提案として、まず「学び」を加えて欲しいと思います。三方よし構造をつくり、三方のそれぞれが学ぶ。つまり、企業では社員が学び、相手のパートナーも学び、そして世間、つまり地域社会でも学ぶのです。

 もう一点、三方よしには補正が必要です。いつも申し上げているとおり、「陰徳善事」というのが常に一緒に心得としてある。「徳と善いことは隠す」「わかる人にはわかる」「空気を読め」という意味です。ところが、今のグローバル時代には、そして今や日本でも若い世代には通用しない。

 いわゆる「ミレニアル世代」、2000年に成人を迎えた若者 - Facebookのザッカーバーグが代表例です - がいます。その前はX世代といわれ、ザッカーバーグのミレニアル時代をY世代とも言います。さらにそれ以降に生まれた若者はZ世代といいます。このY世代からZ世代までの若者には、「わかる人にはわかる」は、日本人の間でも全然伝わらないです。

 ミレニアル世代の特徴は世間を見る価値観として持続可能性を重視する、SNSなどを徹底的に使いこなす、不要なモノは持たない、買わないといった特徴があります。世代論ですから全員というわけではなくそういうタイプの人の比率が高いということです。

 そこで、筆者は、三方よしに発信を付けろということで「発信型三方よし」を提唱しています。今回の文部科学省での受賞企業は絶好の発信のキッカケをつかみました、これが受賞の大きな意義の一つです。

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本業活用で好循環を

 青少年の体験活動が必要な理由は「体験格差」を是正することです。そこに企業の本業力を使えないかということがポイントです。

 企業が本業を使うとなぜ青少年の体験活動に充実度を与えるか。まず、企業にはいろいろなスキルや資格を持った人がいます。加えて、「本物」の現場を持っている。工場、作業の現場、テレビ局の撮影室の中などリアルな現場がある。学校ではこれらの現場を提供するには限界があります。

 さらに現場に出向けば、生き生きと仕事をしている人たちと直に触れ合うことができます。一方、青少年を迎える社員にとっても学ぶことができて、それにより社員が新たな気づきを得てイノベーションにつながる効果が出てきます。

 この好循環のサイクルができると、本業に好影響が生まれます。簡単に言えば、まず「いいね」と共感を呼ぶのです。次にこの活動をなぜ行うのかをうまく説明すれば「なるほど」と理解が深まります。そして、そんなにいいなら「またね」と継続につながっていくのです。

 この「いいね、なるほど、またね」というサイクルを築いて欲しいと思います。これがCSR/CSV活動のコツです。この循環を目指していると「さすが」という評価につながるのです。

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関係者連携のSDGsで共有価値を創造

 もう一点重要なことは、1社だけで活動するのではなく、「産官学金労言」の連携で行うことです。

 SDGsについてもパートナーシップが重要であると強調されています。昨年12月に発表された「ジャパンSDGsアワード」受賞12団体・企業の中には小学校も選ばれています。江東区立八名川小学校で、教育内容にSDGsを参照しています。この事例を分析すると、青少年の体験活動でも有益なヒントになると思います。

 

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笹谷オリジナルコラム:

笹谷秀光の「協創力が稼ぐ時代」<第4回>
ジャパンSDGsアワード

2018-02-03 07:00

ジャパンSDGsアワード:SDGs「実装元年」を迎えて

 第1回「ジャパンSDGsアワード」の発表(昨年暮れ)で、各セクターのトップランナーが選ばれ、SDGs推進の政府としての方向性が示されました。いよいよSDGs「実装元年」を迎えたと思います。

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「ジャパンSDGsアワード」(平成29年度)は、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が公募し、SDGsで優れた取組を行う企業・団体等を表彰する制度で、2017年度が第1回目です。おかげさまで筆者が勤務する伊藤園も特別賞を受賞しましたので、受賞内容を振り返っておきます。

 第一回の受賞者は、内閣総理大臣賞1団体、内閣官房長官賞3団体、外務大臣賞2団体、SDGsパートナーシップ賞6団体の計12団体です。

(12団体の取り組み紹介はこちら: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/ )

 全受賞団体の代表が勢ぞろいしてプレゼンテーションする政策分析ネットワーク主催のシンポジウムが1月20日に開催されました。外務省国際協力局 地球規模課題総括課長 甲木浩太郎氏、国連広報センター所長根本かおる氏、朝日新聞社報道局デスク北郷美由紀氏がコメンテーターとして参加しました。

 私は伊藤園の枠でプレゼンし、現下の企業のSDGsへの対応での基本的方向を述べましたので、概要を以下に採録しておきます。

 

笹谷のプレゼン:なぜ今SDGsか

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 はじめに、SDGsをめぐり、企業の現在おかれている状況を確認しておきます。

 日本再興戦略で日本企業の競争力を高める、このために、もともとあったトリプルボトムライン、つまり、企業は経済だけでなく環境(E)・社会(S)と接点を持ちながら活動すべきあるという考えが基本です。最近ではこれにガバナンスの規律を強化していくESGという動きになっているのです。

 EとSはもともとありましたが、経済主体の統治構造のところをガバナンスとして強化するという流れです。このESGのうねりがきていると思います。

 そこで、SDGsのタイムラインを考えてみますと、ESGすべてについて重要な決定があったのが2015年でした。まもなく2020年の東京五輪・パラリンピックも来て、大阪の万博招致が2025年、そして2030年のSDGs目標に向かう。こういうタイムラインの中で2018年はまさにSDGsの実装元年と言ってはいいのではないかと思うわけです。

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本業で社会対応力:CSR 再考:本業CSRへ

 ここでCSRについてもう一度捉えなおしておく必要があります。これまでの「フィランソロピー型」のCSRでは継続性がないので、今は本業CSRになっているわけです。

 一方、CSRの訳語の「社会的責任」。この「責任」という訳語のニュアンスは若干狭い。本来的な意味である「レスポンス+アビリティ」。すなわち「社会対応力」と捉え直す必要があります。

 もともと2010年に、CSR関連で網羅的なガイダンスとしてISO26000ができています。これは、国際標準化機構が作った「社会的責任に関する手引き」ということで、今日お集まりの関係者の皆様に適用される。いろんな組織に適用されるわけです。もちろん企業にとってもこれはCSRの羅針盤です。

 この規格は読んでみると、大変網羅性が高く、CSRを進める上で国際合意がありJIS規格にもなっている。これを今日改めて見直していく価値があります。 

 ISO26000では本業でCSRをこなしていくべきであるという点を明確化し、7つの中核主題(やるべきことリスト)を示しました。「組織統治」をきちっと真ん中でやり、「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画およびコミュニティの発展」。この7つのテーマをこなすということになったのです。

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 このようにCSRを社会対応力と捉えますと、別途提唱されている「共有価値の創造」(CSV)につながります。社会価値と経済価値を同時実現する魅力的な概念です。この概念の実践にも持続可能性の共通言語であるSDGsが役立ちます。

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既存の体系を生かす:SDGsとISO26000

 こういう流れの中で今回SDGsが発効されたわけであります。現在、一部上場企業では、7つのテーマで課題の洗い出しが既に終わっている企業が多いわけです。

 そこでISO26000の図にSDGsの各目標を「主として」関係ある項目にマッピングしてみます。例えば、ジェンダーは人権、労働慣行に関係がある。8番は働きがいのある職場づくり。6、7、13、14,15番は環境の関連です。公正な事業慣行は16番。消費者課題のところは「つくる責任、つかう責任」(目標12)や3番の健康。コミュニティ系でいけば11番が代表なわけです。全体に関係あるものとして1番、2番、10番、17番です。

 このように主に関係あるところに位置づけながら、今までの体系をうまく使って2030年の目標を念頭に置きながら活動する。これによってCSRが最新課題に対応できるものになります。

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共有価値創造戦略:SDGsとCSV

 そして、今回のSDGsは企業の役割も強化しました。このためSDGコンパス、企業の導入指針がありますが、非常に良くできています。

 まず、チャンスは何か、次にリスクは何かの両方を見直すことによって経済価値の実現・競争優位とリスク回避と社会課題の解決につながります。これは経済価値と社会価値を同時実現しようというCSVをさらに最新の世界的な社会課題と絡めることでバージョンアップできる構造になっているわけです。SDGsを使うことによって競争戦略に役立てることができます。

 

投資家にも訴える:ISO26000とESG

 もう一点、7つの中核主題のISO26000体系を整えておけば、真ん中にGがありますし、Eもあります。そして残りの5項目がSであると理解すればいのです。このようにISO26000体系はESGの対処にも十分に役立てることができる優れた国際標準です。

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SDGs先進国を目指す:政府のSDGsアクションプラン2018 

 政府はSDGsアワードの発表とともに「SDGsアクションプラン2018」を発表しました。その中でSDGs先進国を目指し世界に発信していくことを掲げました。

 主要実行項目の中に、「環境・社会・ガバナンス(ESG)投資の推進等」という項目も盛り込まれました。

 伊藤園では以上の考えを応用してSDGs体系を作っていますのでそれに即して伊藤園の取り組みも紹介し、私のプレゼンとしました(約9分半でした)。

 

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