ヒーローインタビュー

今も昔も組織に必要なのは心動かす「風度」を備えた人材 —— 歴史小説家・童門冬二さん

月刊総務 編集部
最終更新日:
2022年12月13日
gs221213100

2023年年頭の「HERO INTERVIEW」を飾るのは、本誌で35年以上連載中の『歴史の中の総務部長』でもおなじみの小説家、童門冬二さん。かつて東京都庁に勤務し、知事秘書や広報室長などを歴任された童門さんが描く小説は、歴史好きはもとより、ビジネスの指南書としても多くの読者を引き付けてやまない。先の見通せないこの時代、歴史と組織管理に造詣の深い童門先生の目にはどのように映っているのか。この先の組織づくり、人づくりで大切なことは何か。お話をうかがった。

写真◎田口 哲也
文◎石田 ゆう子

編集部 先生は東京都庁にお勤めのときから執筆を始められ、1956年に最初のご著書『旅がらす大名』を出版。1960年には『暗い川が手を叩く』が芥川賞候補となり、都庁を退職後の1983年に発表された『小説 上杉鷹山』は、今も読み継がれる大ヒット作品です。昔から、作家を志していらしたのですか?

童門 冬二さん
童門 冬二(どうもん ふゆじ)さん
1927年東京生まれ。1945年の終戦後、東京都庁に入庁。知事秘書、広報室長、企画調整局長、政調室長などを歴任。1958年執筆活動開始。1960年第43回芥川賞候補。1979年退職し作家活動に専念。1999年春の叙勲で勲三等瑞宝章受章。代表作に米沢藩を再生した名藩主がテーマの『小説 上杉鷹山』『上杉鷹山の経営学』がある。それらを収録した『完全版 上杉鷹山』を2019年に出版。

童門 子供の頃からつづり方(作文)が好きでしたね。小学校5年生のときには文部大臣から賞をいただいたこともありました。特に落語的なものが好きで、学芸会で1人で落語をやったりね。同級生や先生はみんな寝ていましたけれど、ほかのお客さんは喜んでいましたよ。優等生だけど優等生の代表にはなれないような、そんな子供でした。

編集部 歴史物をずっと書かれていますが、当時から歴史がお好きだったのでしょうか。

童門 はい。あの頃は歴史や地理、国語などの教科を1人の先生が持っていたじゃないですか。それがちょっと変わった先生で、あるときは、『古事記』に出てくるヤマタノオロチのことを話し出す。「頭が8つに割れた大蛇なんているわけがない。あれは、島根県の製鉄業者の『たたら製鉄』のことをいっているんだよ」という。炉にふいごで空気を吹き掛けたときのようすが、蛇が火を吹いたように見えたんだと。そんなふうに『古事記』であろうと、『日本書紀』であろうと、神々の話の中に生活者の歴史が描かれている。そのようなことを聞いて育ったことが、私の時代小説の根っこにはあるのでしょう。

今の時代にも取り入れたい「不易流行」の教え

編集部 そんな歴史への造詣の深さと、都庁にお勤めのときの組織でのさまざまな経験が相まって、先生ならではの歴史小説のスタイルが出来上がったわけですね。

童門 それはもういろいろと、複雑な人間関係の中で働いていましたから(笑)。

編集部 本誌が1985年5月号から連載をお願いしている『歴史の中の総務部長』も今月号で448回を迎えました。毎回、歴史上の人物を、まるで見てきたかのようにイキイキとした会話で描写されていますが、この主人公となる人物は、どのように選んでいらっしゃるのでしょう。

続きは「月刊総務プレミアム」をご契約の会員様のみお読みいただけます。

  • ・付加価値の高い有料記事が読み放題
  • ・当メディア主催の総務実務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・「月刊総務デジタルマガジン」で本誌「月刊総務」も読み放題
  • ・本誌「月刊総務」も毎月1冊、ご登録いただいたご住所にお届け
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツも割引価格でご利用可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


ヒーローインタビュー」の記事

2023年02月20日
企業の自律的な変革を支援。デジタル時代のベスト・パートナー【株式会社エル・ティー・エス】
2023年01月19日
独自の冷凍技術とITで地域のパン屋さんを全国区に —— 株式会社パンフォーユー・矢野 健太さん
2022年12月13日
今も昔も組織に必要なのは心動かす「風度」を備えた人材 —— 歴史小説家・童門冬二さん
2022年11月14日
自身初の領域でトップに就任。人と風土を生かし、さらなる成長へ メディックス社長・田中正則さん
2022年10月17日
社会と自然が共鳴しながら発展する リジェネラティブなあり方を追求 社会起業家・濱川明日香さん
2022年09月14日
幸福な未来の働き方をけん引する「バーチャル・ファースト」企業 —— Dropbox Japan
2022年08月17日
最先端のABW研究とデザイン力でウェルビーイングな空間を実現
2022年07月12日
AI通訳機など常識を変える製品で、世界一エキサイティングな企業へ
2022年06月10日
アルバイト出身の副社長が「働き方『開拓』」を推進中
2022年05月16日
行動指針やHRポリシーを軸に、成長をけん引できる管理部門を実現
2022年04月11日
医師不足という社会課題に挑む 医師が手掛ける医療ベンチャー
2022年03月10日
空間再生流通事業で社会に貢献 時代に合わせた新しい価値を創出
2022年02月28日
設置型ベビーケアルームを通して子育てインフラが整う社会に
2022年01月14日
金融ビジネスも働き方も変革 目指すは、幸せ創出カンパニー
2021年12月08日
ご近所スキルシェアアプリで新しい働き方、暮らし方を応援
2021年11月15日
AI健康アプリで健康経営を支援 誰もが自然に健康になれる社会に
2021年10月29日
週休3日でパフォーマンスを最大化 無人ストアを展開する600株式会社
2021年09月08日
クラウド上で配達物を一元管理 総務やメール室のDXを推進
2021年08月23日
すべての人の「はたらく」に革新を 人事システムのリーディングカンパニー
2021年08月01日
理念で一つになったプロ集団がすべての人に資産運用の機会を提供

関連記事

  • 「働きがいのある会社」トップ企業のハイブリッドワークの形 戦略総務を実現できるデバイスとは? PR
  • コスト削減だけじゃない! 働き方が変わり、コミュニケーションも生まれる「照明」のすごい効果 PR
  • 災害への備えは平時から。企業の防災担当者を強力にサポートする東京都のサービスとは PR

特別企画、サービス