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1984年設立のデジタルマーケティングの総合コンサルティング企業、株式会社メディックス。クリエイティブ・プロダクションとして創業した同社は、いち早くインターネット広告代理店へと事業を転換。市場の拡大とともに急成長を遂げてきたが、昨今、コロナの追い打ちもあって、その勢いが鈍化。そこで新たなトップとして招かれたのが、豊富な経営ノウハウを持つ田中正則さんだ。いかに新たな船のかじ取りをしていくのか、うかがった。
写真◎田口 哲也
文◎石田 ゆう子
編集部 まずはリクルートに入られてから今に至るまでの経緯お聞かせてください。
田中 リクルートにはちょうど30年いました。通信ネットワーク事業やHR事業などに携わりましたが、人材派遣のリクルートスタッフィンググループの役員や関連会社のトップとして、経営能力を磨く機会に恵まれたことは大きな経験でした。それまでは、ひたすらいいものを作ることで競争優位を保つ事業にかかわっていたのですが、人材派遣では商品で競合との差別化はできない。そうした中でいかに業界トップの利益を創り出していくか。それを体現できたことは大きかったです。
リクルート退社後は、展示会やイベントなどを手掛ける企業のトップとして約4年間、事業再生などを担いました。その後、スタートアップ企業の支援や経営支援コンサルティングなどを行う会社を起業。その一方で、人事ソリューションを提供する会社の取締役を兼任したり、テクノロジーを活用したビジネスインフラを提供する会社の社外取締役として上場を経験したり。そんなふうにさまざまな企業の経営支援や次世代経営者選びなどに携わったあと、古くから経営層とお付き合いのあった当社に入りました。
編集部 直接的なきっかけは?
田中 当社は2016年、データセンター事業という大きな新規事業を立ち上げて子会社を設立したのですが、その経営があまりうまくいかず、サポートしてほしいといわれて参加したことがきっかけです。結果的にその事業は他社に譲渡することとなり、それを成し遂げたところで私の役割も終わるはずだったのですが、前後して、インターネット広告代理店として成長し続けていた本体の経営にも揺らぎが見え始めていた。そこにコロナという打撃もあって経営の立て直しが必要になり、社長としてやってほしいと頼まれました。
「かじ取り」のだいご味を忘れ難く65歳で再び社長に
編集部 ぜひ引き受けますと?
田中 いえ、迷いましたね。一番の気掛かりは健康面でした。以前、社長をしたときもそうだったのですが、眠れないし、胃薬も手放せない。私も65歳。できれば社外役員のような立場で応援する方がお役に立てますよ、とお伝えしていました。
ただ、そういう苦しみがあっても、船長として企業のかじ取りをすることはとても楽しいんですよ。どうやって未来に向かって船を進めていくのか。どう設定してどういう方向に行くか。そうしたかじ取りのだいご味は忘れられませんでした。結局、2021年末頃から副社長として経営戦略などの策定にまずは着手し、2022年4月、代表取締役社長に就任しました。
編集部 デジタルマーケティングの総合コンサルティングという、これまで携わってきた企業とはまた違った業態ですが、そこは経営を引き受けるにあたって気にはなりませんでしたか?
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