長引けば会社の信用が失墜することも。パニックを回避し、影響を抑える停電発生時の2つの初動対応

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以前、大手電力会社の管内で送電関係のケーブルが発火し、大規模な停電が発生したことがありました。東京都内を中心に50万戸以上が停電し、鉄道や信号機の停止による交通まひや店舗営業に大きな影響を与えました。幸い代替送電ルートに切り替えたことで比較的早く復旧し、首都圏が深刻な機能不全を起こすには至りませんでした。今回は停電発生時における対応や防止策について紹介していきます。
停電は侮れない。ある老舗観光ホテルの事例
停電というのは、いわばリスクのグレーゾーンにあるインシデントの一つです。突然照明が消え、電子機器が止まって「あっ!」と思っても、多くの場合数分から長くて30分程度で復旧するので、あまり気にも留めません。WordやExcelなどは自動保存機能が付いているのでデータの消失は最小限にとどめられるし、業務用サーバーなどはUPSと呼ばれる非常用電源を標準装備しているので、大事には至らないでしょう。
しかし、慣れというのは怖いもので、このように安心し切っているときに限って、冷や汗ものの停電パニックが起こったりするのです。筆者は仕事先のホテルのマネジャーから次のような話を聞きました。
ある老舗の観光ホテルは、夏休みとあってたくさんの旅行者や家族連れでいっぱいでした。ところがそろそろ夕食という時間帯に、突然停電が発生。どうも電力会社の送電トラブルではなさそうです。急きょブレーカーなどをチェックしたものの、問題はありませんでした。従業員たちは停電の原因がさっぱりわからず、右往左往するばかり。こうしている間にも客室はエアコンが切れて蒸し暑くなり、テレビも見られなくなりました。窓のない廊下は非常灯だけで薄暗く、館内放送もできません。外出先から戻ったマネジャーは、ホテル内のパニックを目の当たりにして驚きます。急きょフロントや客室係、厨房の調理師たちを集め、汗だくになりながら全ての客室を一つひとつ回っておわび行脚に徹する羽目になったのです。
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