総務の引き出し(防災)
従業員、顧客、取引先……利害関係者それぞれの情報ニーズとは 非常時コミュニケーションへの備え
BCP策定・気候リスク管理アドバイザー、文筆家 昆 正和
最終更新日:
2025年01月21日

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防災といえば、とかく私たちは物的な備えや対策のみに配慮することが多いものです。しかし前回「守るべき人の顔が思い浮かばなければ失格! あなたの会社は大丈夫? 2W1Hで再確認する防災力」でも述べたように、防災の基本は活動の目的、役割、手段をどこまで有機的に意識しているかにかかっているといっても過言ではありません。そこで今回は、そうした心構えや意識の持ち方のもう一つの側面、非常時のコミュニケーションにフォーカスします。なお、ここでのコミュニケーションには、安否報告などの社員間の伝達は含めないものとします。
非常時のコミュニケーションの重要性
緊急事態下では、おびただしい数の情報が錯綜して現場が混乱し、パニックに近い状態になることもしばしばです。こんなときは、目下の被害や損失の大きさだけに心をとらわれて、しかるべき相手と適切なタイミングで適切な内容のコミュニケーションをはかる余裕が失われてしまう可能性も否定できません。
そこで、望ましいコミュニケーションの在り方としてまず心得ておきたいのは、平時より情報を伝達すべき相手(対象者)をしっかりと見定めておくことです(図表)。一般に情報を伝達する対象者は「利害関係者」と呼ばれ、こうした人々に伝える内容やタイミングはそれぞれ異なりますから、前もって彼らを特定しておくことで、どの時点でどのような情報を必要としているかが見えてくるわけです。
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