総務の引き出し(防災)

企業の防災対策入門編:身近な災害から地震まで。何をどこまで備える? 今すぐできる取り組みは?

防災ジャーナリスト 戸津 弘貴
最終更新日:
2024年06月06日
20240606

正月早々に大きな地震が発生した2024年。たび重なる震災に、家庭だけでなく企業でも対策が急務となっています。一方で、煩雑な日常業務に加えて防災対策も進めなくてはならない担当部署の負荷も課題です。そもそも何から始めたらよいかわからない、この備えで十分なのか不安……など、悩みが尽きないのではないでしょうか。とはいえ、可能性の低い大災害を想定して一から備えるのは手間がかかり、費用面でも現実的ではありません。防災対策の内容を分析して、すぐ取り組むべきことと、段階的に実現していくことなどを整理して、今できるところから始めてみましょう。

企業に求められる「防災」とは何か?

企業における「防災」には、BCPの観点はもちろん、従業員の安全、オフィスの機能確保、帰宅困難者対策など幅広い対策が求められます。自助、共助、公助の観点からも、従業員などから見た場合、企業は共助の機能を求められますが、法人としては自助、ほかのフロア、テナント、近隣企業との「共助」を果たす必要もあります。

法的には、労働契約法、建築基準法、消防法など各種法令により、企業は適切な防災対策を講じることを求められています。たとえば労働契約法において企業は、従業員の安全を確保する法的責任(安全配慮義務)を負っており、災害が発生した場合、企業が適切な防災対策を講じなければならないとされています。

さらに、東京都の帰宅困難者対策条例では、事業者に対して従業員との連絡手段確保や、避難場所・帰宅経路の確認・周知が規定されています。また、災害時に従業員が一斉に帰宅してしまうと交通網に大きな影響が出たり、緊急車両の稼働の妨げになることも考慮され、事業所内に3日分の飲料水や食料を備えるよう定められています。

続きは「月刊総務プレミアム」をご契約の会員様のみお読みいただけます。

  • ・付加価値の高い有料記事が読み放題
  • ・当メディア主催の総務実務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・「月刊総務デジタルマガジン」で本誌「月刊総務」も読み放題
  • ・本誌「月刊総務」も毎月1冊、ご登録いただいたご住所にお届け
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツも割引価格でご利用可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

h-totsu

防災ジャーナリスト
戸津 弘貴

学生時代、阪神・淡路大震災の際、震災3日後にボランティアとして現地入りして活動した経験をきっかけに、防災関連の研究、取材などに取り組み、防災関連の情報サイト「防災スタイル」を運営。東日本大震災では津波で流された写真、アルバムの洗浄、返却プロジェクト「思い出サルベージ」に参加し、ソフトバンク株式会社やAdobeの協力を受け、返却システムの構築や、地元中学生にレタッチ講習を行うなどのコーディネートも務めた。その後は、防災関連の取材を重ねて、「マイ・タイムライン」や「フェーズフリー」という防災キーワードが普及する前から同種の行動概念に沿った防災情報を提供。ITmedia NEWSでの防災記事連載「デジタル防災を始めよう」をはじめ、防災関連の記事の執筆、識者としてのコメントなどを行っている。公益財団法人日本財団のYouTube動画「【ガジェット】ネットで購入できる『最新防災ガジェット』5選ー災害 あなたができるアクションー」に、防災専門家として出演。

総務の引き出し(防災)」の記事

2025年01月21日
従業員、顧客、取引先……利害関係者それぞれの情報ニーズとは 非常時コミュニケーションへの備え
2024年12月13日
守るべき人の顔が思い浮かばなければ失格! あなたの会社は大丈夫? 2W1Hで再確認する防災力
2024年11月19日
防災備蓄ばかり用意していてはダメ。命を守り、被害の拡大を防ぐ、災害発生直後に必要な3つの対応
2024年10月11日
過去の教訓はもう当てはまらない! 企業が対処すべき水害対策……台風は3日前からの行動が重要に
2024年09月25日
単調で成果が見えにくい……。防災業務の経験の先に、総務担当者としてのキャリアアップはある?
2024年08月30日
緊急チェック! 南海トラフ地震臨時情報終了で気が緩んでいる今、再点検すべき大地震対策の盲点
2024年06月06日
企業の防災対策入門編:身近な災害から地震まで。何をどこまで備える? 今すぐできる取り組みは?
2023年03月01日
2022年の災害・防災総括と2023年度へ向けての考え方
2023年01月26日
もし停電になってしまったらどうすべき? 冬の防寒・暖房対策
2022年12月21日
防災展示会の種類と特徴・2023年の開催スケジュール
2022年11月22日
台風・大雨に備える2022(5) 台風進路予想の見方と活用
2022年10月25日
台風・大雨に備える2022(4) 停電対策の方向性と実践
2022年09月22日
台風・大雨に備える2022(3) 水害情報の収集と避難
2022年08月22日
台風・大雨に備える2022(2) 浸水対策を実施する
2022年07月21日
台風・大雨に備える2022(1) 水害対策の前提……対応方針を策定する
2022年06月17日
水害への備え 2022年シーズン前の確認ポイント
2022年05月17日
「大地震」と「震災」の基本
2022年04月27日
「火山の噴火」の実態と対策(2) 富士山噴火による首都圏への影響
2022年03月11日
「災害」を知る 「火山の噴火」の実態と対策(1)
2022年02月10日
2021年の災害・防災総括と2022年度へ向けての考え方
2022年01月17日
「群衆雪崩」への備えと対策
2021年12月09日
「地震火災」への備えと対策
2021年11月16日
企業の防災備蓄(5) 寝具・各種用品の備蓄
2021年10月21日
企業の防災備蓄(4) 食料の備蓄
2021年10月05日
企業の防災備蓄(3) 水の備蓄
2021年08月18日
企業の防災備蓄(2) 非常時のトイレを確保する
2021年08月06日
企業の防災備蓄(1) 徒歩帰宅の危険から命を守る

関連記事

  • エンゲージメントを高めるオフィスの条件とは? 事例から学ぶトレンドを押さえた空間づくり PR
  • 【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は? PR
  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR

特別企画、サービス