総務の引き出し(防災)

2022年の災害・防災総括と2023年度へ向けての考え方

ソナエルワークス代表  高荷 智也
最終更新日:
2023年03月01日
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2023年は史上最悪の震災、関東大震災からちょうど100年目を迎える年です。年度の終わりに、2022年の防災・災害トピックスの振り返りを行い、本年度の防災対策・BCPに生かしましょう。

事件と事故について

自然現象と違い、事件や事故は防止することができます。自社での発生を防ぐための対策を検討することが重要です。

知床遊覧船沈没事故(4月23日)

北海道の知床半島で民間の遊覧船が沈没し、死者・行方不明者26人を生じさせる大惨事となりました。この事故は船舶のメンテナンスや点検の不足、強風・波浪注意報が発令されている中での出航など、運行管理の問題が大きな原因とされています。適切な業務が行われていれば回避できた事故であり、その意味で人災といえます。

幼稚園バス3歳女児死亡事件(9月23日)

静岡県牧之原市の認定こども園で、通園バス車内に当時3歳の女児が置き去りにされ、熱中症で死亡しました。原因はバスを降車する際の点検不足というあまりにも単純なミスであり、5秒ほどの時間をかければ防ぐことができた事故です。人の命を預かる産業においては、こうした細かな業務事件と事故についてを絶対におろそかにしてはなりません。

韓国ソウルの群衆雪崩(10月29日)

韓国ソウルの繁華街イテウォンにおいて、密集した若者が折り重なるように倒れる「群衆雪崩」が発生し、日本人2人を含む157人が死亡しました。日本では2001年の明石花火大会歩道橋事故における群衆雪崩事故以降、雑踏警備や誘導などに気を配るようになりましたが、2度と発生させてはならない事故であるといえます。なお、群衆雪崩は大都市直下での大地震による徒歩帰宅でも生じることが想定されており、大地震直後に「徒歩で帰宅させない」ための準備・備蓄が求められています。

人災と戦争について

事件や事故はどちらかといえば「自社が発生させない」ことを意識する項目であるのに対し、人災と戦争は「巻き込まれた際にどう対処するか」を検討する、自然現象に近いリスク対象となります。

ロシアによるウクライナ軍事侵攻(2月24日)

国連常任理事国にして、アメリカをしのぐ世界最大の核兵器保有国であるロシアが国家間の戦争を開始したという事実は、ロシアの隣国である日本も無視できません。これまでは比較的軽視されていた安全保障リスクに対応すべき、新しいフェーズへ移行したという認識が必要です。

KDDIによる大規模通信障害(7月2日)

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著者プロフィール

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ソナエルワークス代表
高荷 智也

備え・防災アドバイザー/BCP策定アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災対策」をテーマに、堅く思われがちな防災をわかりやすく伝える活動に従事。「企業の実践的BCP策定」ポイントを解説する専門家でもある。講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。防災系YouTuber、Voicyパーソナリティーとしても活躍中。

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