ビジネスケアラーとは、「仕事をしながら家族等の介護に従事する者」のこと。「ワーキングケアラー」とも。労働人口全体が減少するなか、特に中小企業では中核人材がビジネスケアラー化することで、仕事との両立が実現できなければパフォーマンス低下に留まらず、介護離職に至り事業継続が危ぶまれると懸念されている。
家族介護に従事する人々の数は、2020年の約678万人から、2025年には約795万人に達するとみられている。これに伴い、ビジネスケアラーの数は同2020年の約262万人から、2025年には307万人に増加する見込みだ。
また、2030年には家族介護に従事する人々833万人のうち、ビジネスケアラーの数は約4割(約318万人)に達すると予想されており、雇用側でも制度・体制を整えておくことが重要である。
先述の状況に対し、民間企業での介護両立支援については、育児に関するものと比較すると取り組みは少し遅れている。2024年9月に実施されたニッセイの調査によると、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化について取り組んでいる事業者は半数以下(48.8%)であった。
政府は「育児・介護休業法」を改正し、2025年4月に施行する。同改正法では介護離職を防止するため、早期(40歳など)での両立支援制度の情報提供義務化、介護期におけるテレワーク制度の努力義務化などが盛り込まれている。
また、中小企業向けには「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」があり、従業員1人1年度あたり30万円(※上限5人まで)が支援される制度などがある。
(出典:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」、厚生労働省「両立支援等助成金」)