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私が人事の仕事を始めてから30年ほどになります。その間、毎年のように日本全国至るところでいわれ続けてきたのが「求める人物像の明確化」という課題です。知らない人が聞いたら、「いつまで明確化に取り組んでいるのか」「なぜ、そんなにできないのか」といわれてしまうかもしれません。しかし、実際「求める人物像の明確化」はとても難しく、なかなか「うちの会社はできている」と豪語される会社はありません。「求める人物像の明確化」のいったい何が難しく、そして、どうすればよいかについて考えてみたいと思います。
使う言葉が曖昧で多義的。抽象的な要素の羅列だけではダメ
そもそも「明確化」とはどういうことを指すのでしょうか。「コミュニケーション能力」や「論理的思考能力」のような言葉で定義すればよいのでしょうか。そう思っている会社も多いと思うのですが、答えは「否」です。
問題は2つあります。まず「コミュニケーション能力」などの言葉がそもそも曖昧で多義的です。そんな言葉で定義したところで、明確には何を指しているのかがわかりません。「空気を読める」ことなのか、「論理的に話せる」ことなのか、「人と親密になれる」ことなのか、「表現力が豊か」なことなのか。全て違う内容です。曖昧ないくら言葉で定義をしても「明確化」できるわけがありません。
では、意味がはっきりした一義的な言葉で表現できればよいかというと、まだそれでも「明確化」には至りません。求める人物像を明確にするのは採用活動に生かすためです。広告やスカウトメールの文面を考えたり、イベントの企画をしたり、面接での選考基準として目線をそろえたりするために使うものです。
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