総務の引き出し(労働法)

従業員が副業・兼業の場合はどうなる? 今秋施行の「フリーランス新法」、その中身と適用対象者は

弁護士 安西 愈
最終更新日:
2024年02月07日
202401s_00

フリーランス新法といわれる「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が2023年4月28日に成立し、公布の日である2023年5月12日から1年6か月(2024年11月12日)を超えない範囲である2024年の秋までには、ガイドラインなどが整備され本法が施行される。対象のフリーランスについて2年前の政府調査ではその対象人数は462万人とされ、半数以上は副業・兼業の人であるとされている。そこで今回はフリーランス新法について解説する。

本法の適用されるフリーランスとは

本法では、適用対象者を「特定受託事業者」といい、次のようなものを対象とする(第2条)。

特定受託事業者

  • 個人であって従業員を使用しないもの(雇用保険の適用のない週20時間未満かつ31日未満の短時間・短期間従業員は従業員に該当しない予定)
  • 法人であって代表者以外にほかの役員などがなく、かつ従業員を使用しないもの

また、本法の適用を受ける業務を委託する事業者を「特定業務委託事業者」といい、次のものが該当する(第2条6項)。

特定業務委託事業者

  • 個人であって従業員を使用するもの
  • 法人であって2以上の役員または従業員を使用するもの
  • <該当しないもの>
  • 法人であって代表者以外にほかの役員などがなく、かつ従業員を使用しないもの
※したがって、上記に該当しない個人の業務受託事業者と個人の業務委託事業者との間の取引には、必ずしも交渉力などの格差が生じやすいとはいえないため、本法の適用がない。

続きは「月刊総務プレミアム」をご契約の会員様のみお読みいただけます。

  • ・付加価値の高い有料記事が読み放題
  • ・当メディア主催の総務実務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・「月刊総務デジタルマガジン」で本誌「月刊総務」も読み放題
  • ・本誌「月刊総務」も毎月1冊、ご登録いただいたご住所にお届け
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツも割引価格でご利用可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

写真(安西愈)

弁護士
安西 愈

労基署、労働省勤務を経て、1971年より弁護士(第一東京弁護士会)。第一東京弁護士会副会長、最高裁司法研修所教官、日弁連研修委員長、東京最賃審議会会長等歴任。著書に、『採用から退職までの法律知識』(第14版)ほか多数。

総務の引き出し(労働法)」の記事

2024年11月06日
他社の仕事もして長時間労働になったら自己責任? 副業・兼業において企業側に管理義務はあるか
2024年10月17日
法律的に管理監督者の地位が否定されて高額な割増賃金を負担することも……企業側に対策はある?
2024年09月04日
名ばかり役職で割増賃金を適用していないことも 会社の管理職と労基法上の管理監督者の違いとは?
2024年08月05日
半日休んだ日に残業したら、割増賃金は発生する? 労基法における年休取得時の実労働時間の考え方
2024年07月03日
内定式出席→入社拒否の学生にペナルティーはある? 新卒者採用内定問題を法律的に見ると……
2024年06月05日
法改正で企業のカスハラ対策が義務化へ 「お客さまは神さま」では許されない問題行為への対応は?
2024年05月07日
入社半年が経過し「試用期間」終了 「不適格で本採用を見送りたい……」、どんな事由なら有効か?
2024年04月03日
高年齢者だって無期転換ルールが適用される 定年後の有期雇用において忘れてはいけない手続きは?
2024年03月05日
改正で4月から義務化される「無期転換事項の書面明示」 対象者への明示タイミングとその内容は?
2024年02月07日
従業員が副業・兼業の場合はどうなる? 今秋施行の「フリーランス新法」、その中身と適用対象者は
2024年01月16日
【改正労働基準法施行規則】記載例も紹介! 有期労働者の契約締結・更新時に明示すべき労働条件
2023年12月07日
労働条件明示ルール改正における「就業場所・業務の変更範囲」 人事権が制限されない記載とは?
2023年11月15日
営業社員に「募集資材のコピー代を払わせる」は有効? 業務関連費を労働者に負担させる際の注意点
2023年10月11日
年休の取得が難しいのはなぜ? 430万人に拡大する「シフト制勤務者」への対応が社会問題に
2023年09月14日
独立個室型を設置するなら適法?  トランスジェンダー社員のトイレ問題と事務所衛生基準規則改正
2023年08月21日
テレワーク時の労働時間をどう把握する? 「事業場外みなし労働時間制」適用ガイドラインを解説
2023年07月11日
横領した社員を即時解雇したら労基法違反に? 懲戒解雇で使用者が気を付けておくべきこと
2023年06月13日
不適法の場合は割増賃金が高額に? 注意しておきたい「変形労働時間制」の法定要件
2023年05月10日
「代休」は法律で定められた制度ではない? 今さら聞けない「振休」と「代休」の違い
2023年04月13日
どこまで必要? 判例から考える、上司の部下に対するメンタルヘルス管理責任
2021年08月16日
コロナワクチン接種と職場の問題

関連記事

  • 【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は? PR
  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR
  • 大切なのは「自社ならでは」のオフィスづくり 社員の「心」を解析すると幸せな働き方が見えてくる PR

特別企画、サービス