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わが国では、労働安全衛生法(以下、安衛法)で原則年1回の定期健康診断が使用者に義務付けられている。これは法律上の義務で、その違反には罰則が定められている。そして、この義務は、企業の労働者に対する安全配慮義務でもある。この健診を怠ったため社員が自病の悪化に気付かず、重篤となり、入院・手術等を余儀なくされたり、死亡という結末を招くような場合、使用者がこの義務を怠ったことと、社員側の疾病の悪化との間に相当因果関係が認められれば、使用者は義務違反として損害賠償しなければならないこともある。
使用者の社員に対する年1回の法定健診義務とは
安衛法第66条においては、事業者の義務として「常時使用する労働者を雇い入れるとき」(安全衛生規則(以下、規則)第43条)および「常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回(別表の)項目について医師による健康診断を行わなければならない」(規則第44条)と定められている(図表1)。
図表1:法定健診項目
1 | 既往歴および業務歴の調査 |
---|---|
2 | 自覚症状および他覚症状の有無の検査 |
3 | 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査 |
4 | 胸部エックス線検査および喀痰検査 |
5 | 血圧の測定 |
6 | 貧血検査 |
7 | 肝機能検査 |
8 | 血中脂質検査 |
9 | 血糖検査 |
10 | 尿検査 |
11 | 心電図検査 |
※第3号、第4号、第6号から第9号までおよび第11号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
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