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コロナ感染症対策もあって国内で広がったテレワーク勤務だが、最近は「仕事は出勤して対面で行うべきである」との会社の方針から、その中止や廃止が多くなった。テレワーク勤務として家庭と仕事および職場がうまく一体で展開できるのに、従業員としては急に会社から一方的に中止を命じられても困るといった問題が広がっている。そこで、最近「テレワーク勤務は、社員にとって権利か義務か」といった法的な問題に関心が向いているように思われる。また、テレワーク勤務の就業規則を策定して労働基準監督署(以下、労基署)に届け出ずに行っている会社も多いが、中止に関連して、就業規則に基づかないテレワーク勤務は「実は労働基準法違反だったのではないか?」といった疑問も出てきている。
テレワーク勤務は就業規則に定めないとできないのか?
テレワーク勤務は、労働基準法(以下、労基法)上の勤務制度ではないため、就業規則に規定することを要件とはしていない。
このことは、厚生労働省(以下、厚労省)の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」においても「通常勤務とテレワーク勤務において、労働時間制度やその他の労働条件が同じである場合は、就業規則を変更しなくても、既存の就業規則のままでテレワーク勤務ができます」と述べている。しかし、「例えば従業員に通信費用を負担させるなど通常勤務では生じないことがテレワーク勤務に限って生じる場合があり、その場合には、就業規則の変更が必要となります。また、テレワーク勤務の導入に際して、例えばフレックスタイム制を採用したい場合は、既存の就業規則にその規定が定められていなければ、就業規則の変更が必要となります」としている。
これは、フレックスタイム制は労基法上の勤務制度であるため、同法第32条の3で労使協定および就業規則上の定めを要件としており、さらに就業規則の法定記載事項として「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」(労基法第89条第5号)とされているためである。情報通信機器などの経費、郵送費、事務消耗品などの負担を従業員にさせる場合は、就業規則への記載が必要となるが、テレワーク勤務自体については法定制度ではないため、就業規則の必要記載事項ではない。
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