総務の引き出し(労働法)

どこまで必要? 判例から考える、上司の部下に対するメンタルヘルス管理責任

弁護士 安西 愈
最終更新日:
2023年04月13日
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会社に代わり部下を指揮命令して業務遂行する部・課長等は、メンタルヘルス管理に関しても安全配慮義務の実行義務を負わなければならない。今回は、部・課長等上司がどのようなケースで、部下のメンタルヘルス管理に配慮をする必要があるか、判例から考える。

部・課長等上司は、会社の安全配慮義務の代理監督者責任を負う

事業主の労働者に対する業務に起因するメンタルヘルス疾患の発症防止のための健康管理義務の法的義務の根拠は、基本的には労働契約に基づく安全配慮義務にある。

すなわち、労働契約法第5条で、「労働者の安全への配慮」として、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められている。

したがって、業務に内在する危険による著しい長時間労働・強度の心理的過重負荷業務等に対する心身の健康障害防止義務は、事業主自体にあり、それは代表取締役等の法人の執行機関としての執行義務である。しかしながら、実際には会社が法人の負うそれらの責任をそれぞれの職制に授権し、部・課長等が部下を指揮命令して業務を遂行している。

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著者プロフィール

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弁護士
安西 愈

労基署、労働省勤務を経て、1971年より弁護士(第一東京弁護士会)。第一東京弁護士会副会長、最高裁司法研修所教官、日弁連研修委員長、東京最賃審議会会長等歴任。著書に、『採用から退職までの法律知識』(第14版)ほか多数。

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