ポイントはワーク・ライフ・バランス 誰もが働きやすい組織づくりが女性活躍推進につながる
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私たちのビジネス社会を取り巻く環境の変化は年ごとに加速し、そして複雑化し、課題も難化し続けています。そのような背景の中、SDGsが目指す、持続的に企業価値を上げて成長し続けるためには、時代のニーズに沿った経営戦略を構築し、さらには人材の質と量を最適化させることが求められます。
組織にとっては経営戦略上、必要かつ重要な人材を明確にし、人材ポートフォリオ(企業が事業戦略達成のために、どのような能力を有した人材がどのタイミングでどの程度必要かを分析したもの)を適時最適化することが必要です。また、ただちにその改革に踏み出すことが求められており、その経営こそが多様性を生かす「ダイバーシティ経営」である、と今年度の初回からお伝えしてきました。しかしながら、日本においてのダイバーシティ経営は定着が難しく、世界的なレベルにおいては大きく後れを取っているのが現状です。
前回は、ダイバーシティ経営への戦略的方向性欠如の壁、アンコンシャス・バイアスが及ぼす壁、慣例主義の壁という、日本におけるダイバーシティ経営を阻む3つの壁について説明しました。今回はこの壁を乗り越えるために必要なことを解説します。特に女性活躍支援における現状と課題についてより深く考察し、ダイバーシティ経営の定着を目指すために必要なポイントについて見ていきましょう。
多くの企業が人材の採用・配置・育成に課題
今、日本企業は経営戦略に必要な人材を確保できているのでしょうか。少子高齢化現象は日本における最重要課題であり、労働人口の減少は由々しき事態でもあります。現在、大企業も中小企業も人材を確保するのは大変難しく、さらに経営戦略の実現に必要な人材の採用・配置・育成が約3分の2の企業で実現できていないのが現状です(図表1)。
また、人手不足感、仕事内容のミスマッチを感じている企業では生産性の低下も見られるという報告もあります。しかし、上記に挙げたこと以外にもダイバーシティ経営の定着が困難な理由として、日本企業の抱える、可視化されにくいところに潜む「定着を阻む壁」も大きく影響していることは否めません。ここからは、女性活躍支援にスポットを当て「定着を阻む壁」における課題と現状、効果的な対応を掘り下げていきましょう。
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