「サステナブル・デザイン」が、自社の未来と利益につながるわけ 今求められるSX経営

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近年、持続可能性(サステナビリティ)という言葉は社会に広く浸透し、企業経営において、もはや選択肢ではなく必要不可欠な要素となっています。中でも、気候変動や生物多様性の喪失といった地球環境問題は、人類全体が直面する世界共通の長期的な課題です。 こうした社会課題に対応するために生まれた概念が「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」です。SXは、企業自身の持続可能性だけでなく、社会全体のサステナビリティも両立させる未来のビジョンを描きます。本連載では、その実現を目指す新たな経営スタイルを「SX経営」と定義し、その基盤となる意識と行動の変革を「サステナブル・デザイン」と位置付け、企業の新たな価値創造への道を探ります。
SX経営とは何か
「SX経営」とは、企業が自社経営と社会の双方において「サステナビリティ」(持続可能性)を追求し、経済価値と環境価値を両立させる新たな経営手法です。従来の経営モデルのように過去の実績や経験、技術等の延長による短期的な利益追求ではなく、今後起こり得る地球環境問題等への適応や改善をも視野に入れ長期的な未来の絵姿を描き、その実現に向けて「バックキャスト」し、現在における課題を見いだし、自社の強み等と併せてその課題解決をはかっていくことになります。
地球温暖化による異常気象の増加、森林破壊や海洋汚染の深刻化、化石燃料の枯渇といった長期的な環境問題は、直接的な影響が及ばない中では、「実感」することが困難ですが、ひとたび遭遇してしまうととてつもない経営危機に見舞われる可能性もあるため、企業単体ではなく、社会全体で挑む必要のある大きな社会課題になってきています。
SX経営の主な特徴は、以下の通りです。
(1)長期的視点の導入
企業の経営利益のみならず、社会全体の持続可能性を考慮した長期的な経営戦略が求められます。
(2)ステークホルダーとの共創
投資家、株主、顧客、従業員、政府、自治体、研究機関、地域社会等、多様なステークホルダーとの「共創」の実践が求められます。
(3)システム全体の変革
設計、資源調達、部品・製品製造、物流、販売、使用、再資源・再使用、廃棄等、製品・サービスの各般にわたって、ビジネスモデル全体を見直し、バリューチェーン、エコシステムの構築が求められます。
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