総務の引き出し(SDGs)
ESGは「投資」だけじゃない! 総務部門が把握しておくべき、自社の「ESG問題」とその対応
小樽商科大学大学院 商学研究科 准教授 泉 貴嗣
最終更新日:
2023年07月13日
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企業におけるSDGsの実現に向けた取り組みとは、ビジネスのさまざまな活動を通じて社会問題や環境問題の解決に取り組むことを意味します。また、そのような活動を自社の成長可能性とリスクの低減の両立につなげなければなりません。また、ビジネスで社会問題や環境問題の解決をするには、それにふさわしい組織であることが求められます。自社が社会の一員として、実際にふさしい組織であるかを考えるときのキー概念となるのが、環境(Environment)、社会(Social)、組織統治(Governance)を総称したESGです。今回はこのESGについて考えてみたいと思います。
環境問題と社会問題の発生には企業が深くかかわっている
SDGsの基本理念は「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」ですが、そもそもSDGsが必要になったのは、環境問題や社会問題が深刻化し、さまざまな面から取り残された人が出ているからです。この社会には気候変動による自然災害で生活環境が脅かされている人々、海洋や山林の乱開発によって漁業や農林業など職業の安定が脅かされている人々、経済発展に伴い裕福になった人と比べ、困窮している人々、不合理な慣習によって不平等や格差に苦しめられている人々など、さまざまな取り残された人がいます。
これらは私たちの社会の持続可能性を脅かす重大なリスクです。そして、これらの問題の多くはみなさんもご存じのように、企業が深く関与しています。つまり、環境問題(E)と社会問題(S)は、企業の経営による意思決定や組織の在り方、つまり組織統治(G)から始まることが多いのです。
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