LGBTQ当事者は職場でどんなことに困っている? 企業による性的マイノリティ支援の取り組み

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SDGsの重要なテーマの一つであるジェンダー平等について、特にLGBTQの観点から、企業での具体的な取り組み方などを解説します。
SDGsとジェンダー平等
SDGsは持続可能な開発目標で全ての人々が平等に暮らせる未来を目指しています。その17の開発目標の5番目に「ジェンダー平等を実現しよう」というものがあります。ジェンダーという言葉は、広辞苑には「社会的・文化的に形成される性別」と記載されており、内閣府では「特定の社会が男性及び女性にふさわしいと考える社会的に構築された役割、態度、行動、属性を指す」と定義されています。
要するに、生物学的な性別とは異なり、社会や文化によって形成される性別のことを指し、男性らしさや女性らしさのステレオタイプ、男性は青、女性はピンクを好むという通説、男性は理系が多く女性は文系が多いという先入観などが含まれます。組織に求められる多様性の中で、最も代表的な属性は性別だと思われます。現在の日本では、「男性・女性」として求められる役割といった、個人より性別によって生き方や働き方が決められることがまだまだ多いですが、近年、男性、女性の性別属性のほかに「LGBTQ」といった性的マイノリティも概念として入ってきています。
これからは、社会的文化的につくられたものにかかわらず、全ての人が尊重され個人としての能力や個性を発揮し、それをお互いに認め合う社会こそが不確実で変化の激しい時代に対応し、イノベーションを生み出すことができるともいわれています。先に述べたように、SDGsは持続可能な開発目標で全ての人々が平等に暮らせる未来を目指していますが、LGBTQとどのように結びつくのか、疑問を抱く声も聞かれます。今回は、LGBTQに視点を置き、 SDGsが目指す社会の実現に向けてジェンダー平等を組織の中でどのように取り入れることで、持続可能な社会の実現につながるのかについて述べていきたいと思います。
企業におけるLGBTQの現状
まずは、LGBTQの意味から見ていきましょう。図表1のように、LGBTQは5つのカテゴリーをそれぞれの頭文字を用いて常用されています。
図表1:LGBTQについて
L(Lesbian・レズビアン) | 体の性は女性、心の性も女性、恋愛対象は女性 |
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G(Gay・ゲイ) | 体の性は男性、心の性も男性、恋愛対象は男性 |
B(Bisexual・バイセクシュアル) | たとえば、体の性が女性なら、心の性も女性、恋愛対象は男性と女性の両方 |
T(Transgender・トランスジェンダー) | 体と心の性に違和感がある。恋愛対象は異性、同性のどちらか、または両方 |
Q(Questioning・クエスチョニング) | 心の性や恋愛対象が定まっていない、またはあえて定めていない、わからないなど特定の枠に属さない |
次に、企業におけるLGBTQへの認知の状況を見ていきましょう。
厚生労働省委託事業である「令和元年度 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」によれば、企業の関心は高く、LGBTQに関して聞いたことがあるという企業は9割を超え、適した職場環境を整える重要性を感じている企業も7割を超えるといわれています。しかし、実際に環境整備に対応している企業は約3割にとどまります。その理由としていちばん多いのは、「社内に当事者がいない」というものですが、現実には、カミングアウトしていない、声を上げにくいという事実を企業側が把握できていない可能性も潜んでいるのではないでしょうか。
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