総務の引き出し(SDGs)

ダイバーシティ経営成功のカギは「管理職の理解度」 無意識の偏見に気付き多様性を認める職場へ

Office HIRAYAMA 代表 平山 陽子
最終更新日:
2024年08月22日
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前回より、ダイバーシティ経営の具体的な実現ステップを2回に分け解説してきました。今回はその後編です。ダイバーシティ経営は中途半端に取り組んでしまうと社内にハレーションを起こし、むしろ悪手となることは何度もお伝えしてきました。丁寧に、根気強く、実現するまで継続していくことが重要です。前回は、ダイバーシティ経営の方針と枠組みをどう決めるかについてお話ししましたが、今回は決定した施策やルールを現場でいかに実行・調整し、実現させていくかについて考えていきます。

ダイバーシティ推進のために現場をいかに巻き込むか

ダイバーシティ経営を進める上で本連載にて何度か取り上げているのが、経産省のダイバーシティ導入ガイドライン「ダイバーシティ2.0」にある7つのアクションです。 前回はこの(1)~(4)のステップについてお話ししましたが、今回は(5)~(7)のステップについて詳しく解説します。

【方針と枠組みを決める】作業
(1)経営戦略への組み込み
(2)推進体制の構築
(3)ガバナンスの改革
(4)全社的な環境・ルールの整備

【実行・調整・実現する】作業
(5)管理職の行動・意識改革
(6)従業員の行動・意識改革
(7)情報発信・対話

まずこのステップに至るということは、前段の【方針と枠組みを決める】作業がクリアになった状況だと思います。会社として「何のためにやるか」がクリアになり「経営陣が具体的なKPIをコミット」している。そして経営陣をリーダーとした「推進体制」や「どんな施策をやるか・どうルールを変えるか」まで確定した状況です。

この上で、今回のフェーズでは、確定した方針や施策・ルールについて現場の管理職・従業員をいかに巻き込み、浸透、実行させていくか。そして実行した上で起きた問題にどう対処するかが問われています。

管理職が持ちがちな「無意識の偏見」を解消していくには

まず管理職への展開についてて見ていきましょう。

(5)管理職の行動・意識改革

現場の中核となる管理職がどれだけ施策の理解をしているか、納得できているかは、ダイバーシティ経営の成否を分ける鍵といえます。ダイバーシティ経営はこれまでの慣習や行動様式を大きく変えます。多様性を尊重するということは、若い世代においては浸透度が高いですが、年齢の高い管理職においてはまだまだ「無意識の偏見」が残る企業も多いです。

たとえば、あなたの会社ではこんな「無意識の偏見」はありませんか?

  • 成果のためには、残業も大事 → 多様な働き方の理解不足
  • 短時間勤務の女性には、営業職は無理 → 「働き方改革」の実行意思が弱い
  • 稼ぎ頭の〇〇部は、社内でも意見が通りやすい → 過度な成果主義
  • 〇〇大卒は優秀 → 優劣・学歴偏重

長年染み付いた価値観を変革させるのは、なかなか難しいものです。「外国籍の人材を〇人採用する」と頭でわかっていても、無意識に評価を下げてしまい、なかなか採用に至らないケースもあるでしょう。リモートワークを取り入れても、機能させようという意識が低ければ、相談したいときにうまく話せないと困ってしまう若手社員が発生したり、改革が悪手になるケースもあります。まずどう管理職の意識・行動を変えるか。「ダイバーシティ2.0」では、以下2つの取り組みを紹介しています。

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著者プロフィール

著者

Office HIRAYAMA 代表
平山 陽子

株式会社電通を経て、大学で心理学を学びカウンセラーとして個別カウンセリングを開始。さらに、コーチングファシリテーターの認定を受け、コーチングセミナーから企業や個人の成長を支援する研修までさまざまに活動を展開。現在は人材育成インストラクターや組織構築に関わるコンサルティングを行っている。また、SDGs公式ファシリテーターとして企業をはじめ大学から小学校まで多数活動中。

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