気候変動への対応は単なる「コスト」じゃない カーボンニュートラル実現が企業のチャンスに

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今回から数回にわたって、前回ご紹介した「SX実現のために対応すべき社会的重要課題」の主なものついて、その概要とともに、企業における対策策や取り組み事例などを紹介します。第2回となる今回は、「カーボンニュートラル(脱炭素)」について解説します。
気候変動とカーボンニュートラル
SX実現に向けて最も重大な世界共通課題の一つが「気候変動」です。地球温暖化に伴う気候変動は、極端な気象現象の増加、海面上昇、生態系の変化など、自然環境と人間社会の双方に深刻な影響を及ぼしています。
その原因は、自然的要因に加えて、人間活動に起因して排出される二酸化炭素(CO2)をはじめとする「温室効果ガス(Greenhouse Gases:GHG)」によるものです。
主要な温室効果ガス
- 二酸化炭素(CO2):化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の燃焼、森林破壊などが主な排出源
- メタン(CH4):土地利用、畜産業、廃棄物の分解、天然ガスの漏えいなど
- 一酸化二窒素(N2O):農業(特に化学肥料)、工業プロセス
- フロン類(HFC、PFCなど):冷媒、溶剤、発泡剤などとして使用
特に産業革命以降、人間活動における石油資源をはじめとした化石燃料の大量使用が、二酸化炭素濃度の急激な上昇を引き起こし、地球規模の気候バランスに大きなゆがみを与えており、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告においても「人為的要因」が気候変動の主要因であることは、もはや「疑う余地がない」と明言されています。
こうした中、国際社会は、2015年にフランス、パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決め(パリ協定)を行い、世界共通の「2度目標(努力目標1.5度以内)」が掲げられ、その達成手段として、「カーボンニュートラル(炭素中立)」の考え方が主流となりました。
カーボンニュートラルとは、人間の活動によって排出される温室効果ガスの量を、植林やカーボンオフセット、再生可能エネルギーの導入、二酸化炭素回収・貯留(CCS)などの手段により差し引きゼロにする取り組みを指します。
わが国では、2020年10月に日本政府から「2050年カーボンニュートラル宣言」が発せられ、以降、企業による事業活動をはじめ一般の生活者が団結してその実現に向けた国民的取り組みを進めています。
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