SDGsの話題は「青くさい」と笑われる…… メンバーの心理的安全性を損なわせる経営層の対応
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企業がSDGsの実現を目指すとは、企業活動を通じて社内外のESG問題の抑制と解決をはかり、それによって成長可能性の向上と事業リスクの低減を両立することだといえるでしょう。企業活動とはつまり、企業を構成するメンバーの一人ひとりの業務です。メンバーが業務の中にSDGsの実現に向けた取り組みを実装するには、まずはSDGsに関する議論が自由にできる組織風土が必要です。今回はこの組織風土について組織行動学者、エイミー・エドモンドソン氏の知見を参考にして考えてみましょう。
SDGsについての真剣な議論に「勇気」が必要なわけは?
残念ながら多くの企業でSDGsの実践について真剣に議論する、ということは現時点では「勇気」が必要です。SDGsという言葉はビジネスの世界でも広く知られるようになりましたが、本格的にSDGsの実現に向けて取り組み、それを自社の成長可能性と事業リスクの低減に役立てている企業はまだまだ多くありません。本気で取り組んでいる企業が多数派ならば、この連載でも以前ご紹介した「SDGsウォッシュ」という言葉は生まれてこなかったでしょう。むしろESG問題の抑制や解決に対してさほど効果がない既存の取り組みにSDGsのラベルを貼って、お茶を濁している企業が多く存在しています。上場企業の場合はサステナビリティ関連事項の開示の義務化が進み、いやが応でもステークホルダーからSDGsに関する具体的な成果が求められるようになりつつあるので、この問いの対象から外すこととして、このことは何を意味するのでしょうか?
一つの可能性として考えられるのは、多くの企業、とりわけ日本の企業の圧倒的大多数を占める中小企業の経営層は、意識的か無意識的かはさておき、実際には「SDGsは経営課題として優先順位が低い」と認識しているということです。
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