総務の引き出し(SDGs)
企業だけでDE&Iは実現しない。育児・LGBTQ等当事者の声をくみ取るボトムアップの仕組み
小樽商科大学大学院 商学研究科 准教授 泉 貴嗣
最終更新日:
2023年06月14日
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前回、企業がSDGsの基本理念を実現するときの「DE&I(Diversity,Equity&Inclusion)」という考え方の必要性についてお伝えしました。しかし、経営者の「トップダウン」や企業による「上からの取り組み」だけでは「当事者のニーズ」とずれてしまい、お互いに意図しない結果を招くこともあります。そこで、今回は当事者のニーズを実現しやすい仕組みとして近年注目されている、「ERGs/ERG(Employee Resource Groups:従業員リソースグループ)」と、それを支援する理解者「アライ(Ally)」について考えてみたいと思います。
共通の属性を持つ人のニーズを可視化するグループ「ERGs」
企業はさまざまな属性を持った人で構成されています。たとえば同性ばかりが集まり、一見同じような属性の人たちばかりに見える会社でも、育児中の人、介護中の人、障がいがある人、LGBTQの人など、ライフステージや生まれつきの特質によって、さまざまな属性を持つ人が働いています。
また、見た目で属性がわかる人もいれば、そうでない人もいます。ERGsとは、このような共通の属性を持つ人からなる、業務や職制を越えた職場のグループであり、グループのメンバーが属性に由来する業務上の課題や取り組み方法について共有したり、課題の解決を議論するものです。多くの場合、ERGsは企業内の非公式、あるいは草の根的なグループです。つまり、ERGsはボトムアップの「DE&I」だといえるでしょう。
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