総務の引き出し(SDGs)

SDGsの担い手としてあるべき姿勢とは

小樽商科大学大学院 商学研究科 准教授 泉 貴嗣
最終更新日:
2022年11月24日
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企業がSDGsの実現へのアクションを進めるには、社外の環境問題や社会問題に取り組むだけでは不十分です。企業も社会を構成する一つのパーツである以上、法令などの社会のルールを守るとともに、社会の期待に応えて組織をマネジメントする、いわゆるコンプライアンスが求められます。SDGsの担い手としてふさわしい企業になるには、社会のさまざまなルールを的確に理解し、それを組織内部のマネジメントにしっかり生かすことが重要です。そこで今回は、そのあるべき姿勢について考えてみましょう。

SDGsの時代の顧客のニーズ

企業がその本業で環境問題、社会問題を解決するビジネスを確立する。つまり【ビジネスのプロセス=SDGs実現のプロセス】にすることは、社会のサステナビリティにとって非常に重要であるだけでなく、顧客からのニーズになりつつあります。

今までも顧客が調達(購買)時に法令遵守を求めていましたが、今はサステナブル調達の潮流もあり、これに加えて調達先企業の人権問題の予防など、より幅広い取り組みを求めています。これらの顧客のニーズは経営課題であるとともに、SDGsの各ゴールやそれらに付随する各ターゲットと密接にかかわっています。かつて企業は「QCD」、いわゆる品質、コスト、納期の3つが優れていれば顧客から選ばれると考えられていましたが、現在の顧客ニーズは従来のQCDにとどまらず、取引相手に高い社会性を求めるようになっています。

また、以前に言及した「将来の従業員」である若者の企業観・労働観の変化も、労働市場が企業に高い社会性を求めている要因と理解すべきでしょう。もはや企業は、製品やサービスの機能が優れているだけで評価される時代ではありません。SDGsの時代においては、その担い手である企業の社会性も顧客などのニーズとなっているのです。だからこそSDGsの担い手である企業は、コンプライアンスの実現を通じて、自社の社会性を高めることが重要な経営課題となるのです。

法令遵守だけでは不十分

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著者プロフィール

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小樽商科大学大学院 商学研究科 准教授
泉 貴嗣

専門はサステナビリティ経営、ビジネス倫理。自治体の中小企業政策や中小企業のサステナビリティ経営の支援、上場企業の常勤監査役などを経て現職。著書に『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門〜中小企業経営者&担当者が知っておくべき85の原則』(技術評論社)など。

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