総務の引き出し(SDGs)
これからの戦略総務にとって重要な役割に? 地域との良好な関係構築が事業活動の安定につながる
小樽商科大学大学院 商学研究科 准教授 泉 貴嗣
最終更新日:
2023年10月12日
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当たり前のことですが、企業は社会の一員です。社会の一員であるということは、すなわち企業は地域の一員であるということです。実際に多くの企業は事業拠点がある地域から人材の供給を受けています。また、人材だけでなく、企業は有形無形のさまざまなリソースや機会を地域から調達しています。それゆえ企業と地域のサステナブルな関係は、SDGsのテーマであり、重要な経営課題だといえるでしょう。そこで、今回は企業と地域の関係性について考えてみましょう。
企業は地域なくして存在し得ない
冒頭に書いたように、企業は地域の一員であり、地域からさまざまなリソースや機会を調達しています。このことが意味するのは、そもそも企業は地域という物理的基盤・空間なくしては存在し得ない、地域は企業が存在する「大前提」だということです。そして、その地域の「在り方」が事業拠点の持続可能性に大きな影響を与えます。
たとえば地域の防災対策が不十分であれば、被災リスク(事業拠点の復旧コストなど)が強く懸念されます。治安が悪ければ、安全な営業活動は困難になります。文教水準が低ければ、近隣で優秀な人材を調達することが困難になります。これから事業拠点を開設する場合は立地を選ぶことでこのリスクを回避することはできますが、気候変動や社会課題の深刻化を考慮すると、将来にわたってその地域が良好なビジネス環境を維持できる保証はありません。そして、すでに事業拠点を開設していれば、これらのリスクは常に意識する必要があります。
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