「見える化・つなぐ化・自動化」DXの3つの力でSXを推進 人が中心のデジタル活用で経営改革を
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SX経営が企業変革の中核に据えられる中で、DXは単なる効率化の枠を超え、環境・社会価値を実装する「経営能力」へと進化しています。データが企業の「意欲」や「良心」を映す時代、SXとDXの融合が切り開く未来経営の形を考えてみたいと思います。
SXとDXの融合が意味する「経営構造の再設計」
「SX経営」が企業成長の中心に位置付けられる今、もう一つの変革軸である「DX」は、欠かせない存在になっています。SXが「持続可能な未来をデザインする思想」であるなら、DXはその思想を「見える化し、つなぎ、動かす」ための実行エンジンです。
かつてデジタル化は、業務効率化やコスト削減のための手段に過ぎませんでした。しかしながら、現在では、AI、IoT、ブロックチェーン、大規模データベースなどの技術が、企業の環境・社会インパクトを可視化し、制御し、未来の価値へと変換する力を持ち始めています。つまり、「SXとDXの融合」とは、データドリブンな倫理によって未来価値を創造する経営変革だといえるのです。
デジタルが開くSXの3つの進化軸
SXの実行を支えるDXの力は、「見える化」「つなぐ化」「自動化」の3つに整理できます。
(1)見える化 企業の環境行動をデータで証明する
IoTやセンサーによってエネルギー使用量や排出量をリアルタイムで把握し、AIが最適稼働を導き出します。
SuMPOがけん引するLCA(ライフサイクルアセスメント)やEPD(環境製品情報開示)プログラムと連携すれば、製品単位でCFP(カーボンフットプリント)等の環境負荷を定量化することも可能です。この「環境の見える化」は、ESG投資を促進するSX経営における信頼の証しにもなります。
(2)つなぐ化 バリューチェーン全体での協働を可能にする
ブロックチェーンやクラウド連携により、調達・製造・販売・リサイクルまでの情報を一気通貫で結びます。現状では、技術やコスト情報等の漏えいを懸念されることから、セキュリティ対策の進展とともに、急速に流れができつつあります。
この連携は、サステナブル経営が個社対応からサプライチェーン全体の連携のもと進められる中で、共創型バリューチェーンへの変革を促進し、サステナブル経営の質をさらに高める起爆剤となります。
(3)自動化 繰り返しを価値創造に変える
AIの社会導入が急速に進む中、需要予測、再資源化プロセスの最適制御、設備管理の自動化などが格段に進展しています。これにより、人間は創造的・倫理的判断に集中できるようになります。
DXの目的は「人を減らすこと」ではなく、「人を価値創造に戻すこと」と考えること。この視点を持つことで、経営管理の在り方も大きく変化していくことが予想されます。
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