「災害対策」から「激化する気候変動」に適応するレジリエンス経営へ 求められるBCPの再定義
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日本企業は今、かつて経験したことのないスピードと規模で、気候変動の影響にさらされています。全国で繰り返される「観測史上初」の豪雨、台風の巨大化、猛暑日の増加、河川氾濫、ゲリラ豪雪。これらはもはや「自然災害」ではなく、企業の事業構造と経営判断の前提を根底から揺さぶる「構造的な気候リスク」です。そして、その衝撃を最初に受け止めるのが、人・設備・拠点・安全を扱う総務部門なのです。
今回は、気候変動リスクが企業にもたらす影響を再整理し、(1)新しいBCP(気候変動BCP)の考え方、(2)現場レベルの対応力(レジリエンス)の構築、(3)企業文化としての防災・復旧力の強化、(4)総務部門が果たすべき戦略的役割について、解説します。
気候変動が招く「事業停止リスク」の現実
企業活動に押し寄せる新しい災害パターンは、これまで経験した事例だけでもさまざまなケースが想定されます。以下は、日本各地の工場・物流センター・販売拠点で、近年発生した事象の一例です。これらの被害は徐々に範囲も経済的損失規模も気候変動の厳しさと連動して、ますます増加しています。
<増加している災害影響の例>
- 短時間豪雨による工場・物流倉庫の浸水
- 猛暑による作業現場の熱中症リスク増大
- 広域停電による操業停止・サーバーダウン
- 台風・豪雪による出勤停止・交通機能麻痺
- サプライヤー停止による生産遅延・欠品
- 貨物港の閉鎖や空路停止による物流の途絶
企業にとっての損失は、単なる建物被害ではありません。生産停止や納期遅延、ブランド毀損、人員の健康被害、財務リスクなど、多面的かつ長期的です。これらは今後も確実に増加します。だからこそ、BCPは「非日常の危機」ではなく、「常に起こり得る事業リスク」として扱うべき局面に入っているのです。
BCPは「災害対策」から「気候変動適応」へ
気候変動による自然災害の頻度と規模が増し、従来のBCPでは対応できないケースが増えています。企業は過去データに基づく計画から脱却し、未来に起こり得る機構被害を想定した「気候適応型BCP」へ転換する必要があります。
以下は、従来のBCPの区分と、今後の気候変動の拡大から予想される適応範囲の在り方の例です。
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