『月刊総務』は全国の総務担当者を対象に「リスキリングに関する調査」を実施し、157名から回答を得た。
- 調査結果概要
- 約9割がリスキリングの必要性を感じているが、実際に取り組んでいる企業は3割未満
- リスキリングに取り組む理由は「業務効率化」「デジタルリテラシーの底上げ」「イノベーション創出」など
- リスキリングに取り組んでいない理由は「何をすればよいかわからない」「スキルやノウハウがない」「経営陣の理解がない」
- リスキリングに取り組んでいる企業で、教育プログラムを用意できているのは約3割
- 8割以上がリスキリングの進捗管理をしていない
- リスキリング実施の課題は「社員のモチベーション」「時間の確保」「教育プログラムの策定」など
- 身につけさせたいスキルは「プロジェクトマネジメント」「企画力・構築力」「ロジカルシンキング」など
- リスキリングの1人あたりの年間予算は「1万円未満」が最多
約9割がリスキリングの必要性を感じているが、実際に取り組んでいる企業は3割未満
「リスキリング」とはなにか知っているか尋ねたところ、「よく理解している」と「なんとなく理解している」が合わせて50.9%と、約半数がリスキリングを理解しているという結果になった(n=157)。
リスキリングの必要性を感じているか尋ねたところ、「とても必要」と「やや必要」が合わせて86.6%と、約9割が「リスキリング」が必要だと思っていることがわかった(n=157)。
<必要だと思う理由 / 一部抜粋>
- 時代の変化、技術の進歩に伴い知識を得る必要性を感じてはいるものの、日々の業務上では中々そのような機会が得られず、より自発的に活動する必要があると感じている
- 急激な環境変化で働き方が大きく変わってきており、社員の底上げが必要と感じているので
- 職種によって、従来の知識や技術では仕事が無くなってきており、新しい分野への職域拡大が必要となるため
- メンバーシップ型からジョブ型への移行が必要と感じるため
- 60歳以降も長くイキイキと働くため
- ITリテラシーに不安のあるメンバーが一定数存在することが、ITサービスの導入やデータ活用を円滑に進めることへのハードルとなっている側面があるため
<必要ないと思う理由 / 一部抜粋>
- 経営側と雇用される側の意識が異なる
- デジタルスキルやテクニックに関しての情報収集スキームを自分自身で獲得すれば良いと思うため
会社でリスキリングに取り組んでいるか尋ねたところ、「とても取り組んでいる」が2.5%、「やや取り組んでいる」が24.2%、「全く取り組んでいない」が73.2%という結果になりました(n=157)。
リスキリングに取り組む理由は「業務効率化」「デジタルリテラシーの底上げ」「イノベーション創出」など
リスキリングに取り組む理由について尋ねたところ、「業務効率化のため」が76.2%で最も多く、「デジタルリテラシーを底上げするため」と「イノベーションを起こすため」が52.4%と続いた(n=42/リスキリングに取り組んでいる企業)。
リスキリングに取り組んでいない理由は「何をすればよいかわからない」「スキルやノウハウがない」「経営陣の理解がない」
リスキリングに取り組んでいない理由について尋ねたところ、「何をすればよいかわからないから」が44.3%で最も多く、「実施するためのスキルやノウハウがないから」が41.7%、「経営陣の理解がないから」が33.9%と続いた(n=115/リスキリングに取り組んでいない企業)。
リスキリングに取り組んでいる企業で、教育プログラムを用意できているのは約3割
リスキリングの教育メニューはどのように決めているか尋ねたところ、「会社が教育プログラムを用意している」が31.0%、「社員自身が学びたい内容を選択している」が69.0%という結果になった(n=42/リスキリングに取り組んでいる企業)。
<教育プログラムの策定方法 / 一部抜粋>
- 社外の専門家に任せた
- 人事部門が社外セミナー等の受講を経験し、プログラムに反映した
- 自社オリジナルのカリキュラムを確立している
- e-ラーニングを体験した
8割以上がリスキリングの進捗管理をしていない
リスキリングの進捗管理をしているか尋ねたところ、「個人の習熟度を管理している」が14.3%、「個人に任せている」が85.7%という結果になった(n=42/リスキリングに取り組んでいる企業)。
リスキリング実施の課題は「社員のモチベーション」「時間の確保」「教育プログラムの策定」など
リスキリングの実施で課題に感じていることを尋ねたところ、「社員のモチベーション」が76.2%で最も多く、「時間の確保」が66.7%、「教育プログラムの策定」が64.3%と続いた(n=42/リスキリングに取り組んでいる企業)。
<その他、課題に感じていること / 一部抜粋>
- 予算の都合で一部のマネジメント社員にのみ教育の機会を与えているが、社員全員に機会を提供したい
- 社員のモチベーションに任せる部分が多く、個人間格差が大きくなる
- 自発的に学んでほしいが会社の押し付けになっていないか心配
- 職種転換を前向きにとらえ、抵抗なく学習できるようにするためのマインドセット
- 自社に何が適切なリスキング教育なのか判断しづらい
身につけさせたいスキルは「プロジェクトマネジメント」「企画力・構築力」「ロジカルシンキング」など
どんなスキルを身につけさせたいと思うか尋ねたところ、「プロジェクトマネジメント」が73.8%で最も多く、「企画力・構築力」が69.0%、「ロジカルシンキング」が64.3%と続いた(n=42/リスキリングに取り組んでいる企業)。
リスキリングの対象者対象者をどのように決めているか尋ねたところ、「全社員対象」が59.5%で最多となった(n=42/リスキリングに取り組んでいる企業)。
リスキリングの1人あたりの年間予算は「1万円未満」が最多
総評
今回の調査では、リスキリングの必要性を感じている方が多いものの、取り組みはなかなか進んでいないことが明らかになった。
リカレント教育が「自分のキャリアアップのために、働くことと学ぶことのサイクルを長期的に回していくこと」であるのに対し、リスキリングは「会社が社員の能力を開発するために、短い期間でスキルを身に付けさせること」を指す。
アンケートの中で、教育プログラムや進捗管理を社員の自主性に任せている企業が多いことがわかったが、リスキリングのあるべき姿としては、企業がもっと主導する必要がある。また、経営戦略として積極的な投資ができるかどうかが、これからの企業成長を左右するだろう。
【調査概要】
調査名称:リスキリングに関する調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2022年6月15日〜2022年6月21日
有効回答数:157件
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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