『月刊総務』調査 人権リスクの対象は8割が「ハラスメント」。リスクに対し対策している企業は6割にとどまる 月刊総務 編集部 最終更新日: 2022年08月09日 注目の総務コンテンツ セミナー・イベント予定一覧◆1/10更新 2024年雇用保険法等改正への対応実務 編集部厳選! 総務1年生は必読◆4/24更新 押さえておくべき2024年施行の法令改正 新入社員の教育や既存社員のリスキリングに! スタートアップのバックオフィス(法務) スタートアップのバックオフィス(人事・労務) スタートアップのバックオフィス(経理・財務) 1ヶ月のアクセスランキング 【冬の災害時ライフハック】暖房が使えないときは必ず思い出して! 防寒に有効なキッチンアイテム 成果が見えにくい総務の仕事、どう評価する? モチベーションがアップする目標設定のコツ 2028年に変更になる被保険者の条件とは? 雇用保険制度等改正法で企業が注視しておくべき項目 中企庁が下請法改正へ意見募集 「買いたたき規制の見直し」や「下請け」の用語変更も 思い返すと……職場のあの一言、あれはセクハラだった? 男女の認識に大きなズレ 民間調査 『月刊総務』は全国の総務担当者を対象に「人権リスクに関する調査」を実施し、112名から回答を得た。 調査結果概要 ほぼ全ての企業が自社に人権リスクありと認識。ハラスメントが約8割で最多 人権リスクに対する取り組みをしているのは約6割。内容は「通報・相談窓口の設置」「人権研修の実施」「各種社内制度の変更・改善」など 半数近くが「人権デュー・ディリジェンス」という言葉を聞いたことがない 8割以上が「人権デュー・ディリジェンス」は必要だと回答 人権リスクに取り組んでいる企業のうち、「人権デュー・ディリジェンス」の実施は2割未満 人権侵害が発覚した際のガイドラインを定めている企業は2割未満 人権デュー・ディリジェンス:企業が取引先を含めた人権侵害を把握し、予防策を講じる仕組みのことを指す。 ほぼ全ての企業が自社に人権リスクありと認識。ハラスメントが約8割で最多 自社にどんな人権リスクがあると思うか尋ねたところ、「ハラスメント」が80.4%で最多となった(n=112)。 ハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラなど):80.4%過剰・不当な労働時間:42.0%労働安全衛生:34.8%ジェンダー(性的マイノリティを含む)に関する人権問題:34.8%プライバシーの権利:26.8%差別:24.1%賃金の不足・未払、生活賃金:17.9%知的財産権:12.5%テクノロジー・AI に関する人権問題:10.7%外国人労働者の権利:9.8%サプライチェーン上の人権問題:9.8%居住移転の自由:8.9%賄賂・腐敗:8.0%表現の自由:7.1%消費者の安全と知る権利:6.3%社会保障を受ける権利:5.4%強制的な労働:5.4%救済へアクセスする権利:4.5%結社の自由:1.8%先住民族・地域住民の権利:1.8%環境・気候変動に関する人権問題:1.8%児童労働:0.9%その他:3.6%自社に人権リスクはない:2.7% 人権リスクに対する取り組みをしているのは約6割 人権リスクに対する取り組みをしているか尋ねたところ、「はい」が55.4%、「いいえ」が44.6%という結果になった(n=112)。 取り組み内容は「通報・相談窓口の設置」「人権研修の実施」「各種社内制度の変更・改善」など 取り組みをしている企業に対し、どんな取り組みをしているのか尋ねたところ、「通報・相談窓口の設置」が67.7%で最も多く、「人権研修の実施」が56.5%、「各種社内制度の変更・改善」が53.2%と続いた(n=62/人権リスクに対する取り組みをしている企業)。 通報・相談窓口の設置:67.7%人権研修の実施:56.5%各種社内制度(人事・評価・働き方等)の変更・改善:53.2%ダイバーシティに関する社内啓発活動の実施:46.8%従業員の勤務状況や労働時間のモニタリング:41.9%労働組合との意見交換:35.5%定期的な従業員/取引先アンケートの実施:25.8%バリアフリー設備の導入 :16.1%「サプライヤー行動規範」の策定:12.9%持続可能な責任ある原料の調達 :11.3%人権報告書/サステナビリティ報告書等の作成・公開:8.1%人権への負の影響の特定・分析・評価:4.8%人権に関するリスクの評価結果に関する情報公開 :1.6%その他:1.6% 〜人権の取り組みを実施する上で連携しているステークホルダー〜専門家:61.3%従業員:58.1%取引先:24.2%地域住民:6.5%株主・投資家:6.5%消費者:4.8%NGO、NPO:3.2%その他:3.2%連携していない:14.5% 人権尊重方針を策定して公表しているのは2割未満 人権尊重方針を策定しているか尋ねたところ、「策定して公表している」は19.6%と2割未満にとどまり、「策定する予定はない」が47.3%という結果になった(n=112)。 半数近くが「人権デュー・ディリジェンス」という言葉を聞いたことがない 「人権デュー・ディリジェンス」とはなにか知っているか尋ねたところ、「よく理解している」は10.7%、「なんとなく理解している」は21.4%、「言葉は知っているが内容はあまり理解していない」は22.3%、「言葉を聞いたことがない」が45.5%という結果になった(n=112)。 8割以上が「人権デュー・ディリジェンス」は必要だと回答 「人権デュー・ディリジェンス」の必要性を感じているか尋ねたところ、「とても必要」と「やや必要」が合わせて81.3%と、8割以上が必要だと思っていることがわかった(n=112)。 <必要だと思う理由 / 一部抜粋> ESGの一環を担う項目だから 消費者の意識が向上しており、会社やブランド価値の維持向上のため 就労者が国際化しているため 社会的な流れに沿って取り組むべきであると思うから <必要ないと思う理由 / 一部抜粋> 経営者の理解が全く無いので、やっても無駄 会社の規模が小さいため なぜ取り組まないといけないのかがわかっていない 人権リスクに取り組んでいる企業のうち、「人権デュー・ディリジェンス」の実施は2割未満 人権リスクに対する取り組みをしている企業に対し、「人権デュー・ディリジェンス」を実施しているか尋ねたところ、「実施している」は19.4%と2割未満にとどまった(n=62/人権リスクに対する取り組みをしている企業)。 「人権デュー・ディリジェンス」実施の課題は「予算が足りない」「従業員の理解度が足りない」など 「人権デュー・ディリジェンス」を実施している企業に対し、実施する中で課題に感じることはあるか尋ねたところ、「予算が足りない」と「従業員の理解度が足りない」がともに41.7%で最多となった(n=12/人権デュー・ディリジェンスを実施している企業)。 「人権デュー・ディリジェンス」を実施していない理由は「実施するためのノウハウがない」「何をすればよいかわからない」「実施するための時間がない」など 人権リスクに対する取り組みをしているけれど「人権デュー・ディリジェンス」は実施していない企業に対し、実施していない理由を尋ねたところ、「実施するためのノウハウがないから」が51.4%で最も多く、「何をすればよいかわからないから」と「実施するための時間がないから」が32.4%と続いた(n=37/人権デュー・ディリジェンスを実施していない企業)。 人権侵害が発覚した際のガイドラインを定めている企業は2割未満 人権侵害が発覚した際の、被害者救済と問題是正のためのガイドラインを定めているか尋ねたところ、「定めている」が19.6%、「定めていない」が80.4%という結果になった(n=112)。 総評 今回の調査では、ほとんどの企業が自社に人権リスクがあることを認識している一方で、リスクに対する取り組みは十分にできていない実態がわかった。 また、「人権デュー・ディリジェンス」という言葉自体の認知度は低かったものの、その必要性を感じている人の割合は高く、昨今の社会情勢やSDGs、ESG経営などへの関心の高まりから、人権についての対応を意識するようになった総務が多いようだ。基礎知識の不足や何から着手すべきかわからないという声も多く、取り組みの参考になる企業事例やケーススタディをもっと学びたいという総務のニーズも明らかになった。 【調査概要】調査名称:人権リスクに関する調査調査機関:自社調査調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか調査方法: Webアンケート調査期間:2022年7月13日〜2022年7月21日有効回答数:112件 ■調査結果の引用時のお願い※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など ※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。 著者プロフィール 月刊総務 編集部 パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。
著者プロフィール 月刊総務 編集部 パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。