『月刊総務』調査

健康経営が会社の業績向上につながると8割以上が回答。メリットは「社員の働きやすい環境の整備」

月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年02月07日
20240208_『月刊総務』調査結果(2)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「健康経営についての調査」を実施し、244人から回答を得た。

前回( 2021年03月)調査はこちら

  1. 調査結果 概要

健康経営に取り組んでいる企業は約6割

健康経営に取り組んでいるか尋ねたところ、59.0%「取り組んでいる」と回答し、2021年2月の調査より6.7ポイント増加した(n=244)。

グラフ1

健康経営に取り組んでいない理由を尋ねたところ、「ノウハウやスキルがないから」が50.7%で最も多く、「何をすればよいかわからないから」が44.0%と続いた(n=75/健康経営に取り組んでいない企業)。

グラフ2

健康経営に取り組むメリットは「社員の働きやすい環境の整備」、デメリットは「費用対効果がわかりにくい」

健康経営に取り組むメリットはなんだと思うか尋ねたところ、「社員の働きやすい環境の整備」が50.0%で最多となった(n=244)。

グラフ3

健康経営に取り組むデメリットはなんだと思うか尋ねたところ、「費用対効果がわかりにくい」が66.8%で最多となった(n=244)。

グラフ4

8割以上が健康経営が会社の業績向上につながると回答

健康経営は会社の業績向上につながると思うか尋ねたところ、85.6%が「つながる」と回答した(n=244)。

グラフ5

強化したい健康対策 1位「ストレスチェック」2位「健康に関するセミナー」3位「従業員サーベイ」

社員の健康対策で実施しているものについて尋ねたところ、「健康診断」が95.9%で最も多く、「ストレスチェック」が77.5%、「予防接種・ワクチン補助」が68.0%と続いた(n=244)。

グラフ6

また、関心のある健康対策やこれから強化したい健康対策について尋ねたところ、「ストレスチェック」が最多となった(n=244)。

グラフ7

<その他、関心のある健康施策 / 一部抜粋>

  • 操作ログ取得による労働時間・休日稼働の実態把握
  • 昇降デスクの導入
  • 受動喫煙対策
  • 健康診断の結果による社員評価のプラス査定
  • AIによる検診

健康に関するデータを取得しているのは約2割(健康診断・ストレスチェックを除く)

健康診断やストレスチェック以外で健康に関するデータを取得しているか尋ねたところ、17.2%が「取得している」と回答した(n=244)。

  • 取得している:17.2%
  • 取得していない:82.8%

<取得しているデータ / 一部抜粋>

  • 歩数
  • 睡眠データ
  • スポーツ時間

取得していない理由を尋ねたところ、「コストがかかるため」が44.6%で最も多く、「管理が難しいため」が41.1%、「どんなデータを取得すればよいかわからないから」が36.6%と続いた(n=202/健康データを取得していない企業)。

グラフ8

データをどのように取得しているか尋ねたところ、57.1%が「個人を識別しないマスデータとして取得している」と回答した(n=42/健康データを取得している企業)。

  • 個人を識別しないマスデータとして取得している:57.1%
  • 個人に紐づくデータとして取得している:42.9%

<取得したデータを元に行っている施策/一部抜粋>

  • 数値のいい部署の上長へのヒアリング
  • イベントやe-ラーニングの企画
  • 禁煙・卒煙、コンスタントな運動推進
  • 歩数に応じたポイント付与

力を入れている健康施策はメンタルヘルスが最多。「遺伝子検査による食生活改善」「脳ドックの補助」を実施している企業も

特に力を入れている健康施策について尋ねたところ、「メンタルヘルス」が43.9%で最多となった。また、27.9%が「力を入れているものはない」と回答した(n=244)。

グラフ9

<自社で工夫している健康施策 / 一部抜粋>

  • 社内ポータルでの動画によるストレッチ
  • 遺伝子検査による食生活改善
  • アプリを使った健康促進
  • 脳ドックの補助

身体的・精神的不調予備軍へのアプローチは約3割にとどまる

身体的不調予備軍に対するアプローチをしているか尋ねたところ、24.5%が「している」と回答した。また、精神的不調予備軍に対するアプローチをしているか尋ねたところ、30.7%が「している」と回答した(n=244)。

グラフ10

不調予備軍をどのように把握しているか尋ねたところ、「サーベイの結果」が47.4%で最多となった(n=95)。

  • サーベイの結果:47.4%
  • 管理者へのヒアリング:36.8%
  • 従業員アンケート:31.6%
  • 外部相談窓口の設置:27.4%
  • 1on1の実施:25.3%
  • その他:13.7%

<その他>

  • 長時間労働者のチェック
  • 身体の不調は健診結果。精神の不調はアプリ
  • 遅刻、欠勤などの勤怠から

<身体的不調予備軍に対するアプローチ内容 / 一部抜粋>

  • イントラネットでの啓発
  • 外部EAP(従業員支援プログラム)を利用しての健康相談窓口の開設
  • 健康診断や人間ドック結果に基づく個別支援
  • 過重労働者と産業医の面談

<精神的不調予備軍に対するアプローチ内容 / 一部抜粋>

  • 人事サーベイを月1度実施
  • 管理職向けストレスケア研修や医療職による全員面談など
  • 公認心理師によるカウンセリング実施
  • 無料電話相談の紹介
  • ハラスメント防止などのオンライン研修の実施

総評

今回の調査では、健康経営は会社の業績向上につながるという認識を持つ総務が多いことがわかった。半数が健康経営に取り組むメリットを「社員の働きやすい環境の整備」と回答しており、それによる生産性の向上が業績向上にも寄与すると考えられる。

一方、実際の取り組みとしては「健康診断」や「ストレスチェック」のように義務化されている内容が上位にきている他は取り組みにばらつきが見られた。また、身体的・精神的不調予備軍に対するアプローチができているのも約3割という結果だった。

これから取り組みたいことで上位にあがっている「ストレスチェック」や「従業員サーベイ」は、データを取った後の分析や施策への落とし込みが重要となる。データの活用に苦労している総務も多いかと思われるが、プロフェッショナルな戦略総務として、価値あるデータを自社ならではの施策に落とし込むところまでを遂行していただきたい。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2023年12月11日〜2023年12月22日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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