『月刊総務』調査

半数以上が会社のDX推進の取り組みは不足と評価。課題は「従業員のリテラシー不足」が最多。

月刊総務 編集部
最終更新日:
2022年04月07日
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『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「DXに関する調査」を実施し、118人から回答を得た。

  1. 調査結果概要

    半数以上が会社のDX推進の取り組みは「足りていない」と評価

    会社の事業計画にDXは組み込まれているか尋ねたところ、「はい」が47.5%、「いいえ」が52.5%という結果となった(n=118)。

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    会社のDX推進度をどのように評価するか尋ねたところ、「取り組んでいるがやや足りていない」と「取り組んでいるが全く足りていない」が合わせて51.8%と、半数以上が会社のDX推進度をネガティブに評価していることがわかった(n=56/事業計画にDXが組み込まれている企業)。

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    <自社のDX推進でうまくいっているポイント / 一部抜粋>

    • BCPを前提としたシステムのクラウド化。 経営目標に明確化され全社活動となっている
    • DXではないが、デジタル化によって紙の給与明細の廃止による郵送コストと郵送に至るまでの工数が削減された。WEB会議、WEB採用に切り替えたため、出張費が大幅に削減された
    • 推進途中であるが、全従業員を対象にDX教育の実施、個人の業務問題解決や効率化を目的としてDXによる業務改善を進めている

    <自社のDX推進で足りていないと思うポイント / 一部抜粋>

    • 紙帳票をエクセルで回覧できるようにしたレベルをDXとして取り扱っているなどの事例もあり、単純な業務改善の枠を超えていない部分がある
    • 経営からの方針としてDX対応の指示が出ているが、明確ではないので、対応計画が抽象的になり具体的に進まない
    • スポットでデジタル化されているが、全体的に統合されていない。設備管理面でのデジタル化は進んでいない。

    DX推進の課題1位「従業員のリテラシーが足りない」2位「コストがかかる」3位「対応できる人材がいない」

    DXの推進でどんな課題があるか尋ねたところ、「従業員のリテラシーが足りない」が58.5%で最も多く、「コストがかかる」が54.2%、「対応できる人材がいない」が52.5%と続いた(n=118)。

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    • 従業員のリテラシーが足りない:58.5%
    • コストがかかる:54.2%
    • 対応できる人材がいない:52.5%
    • DX推進に割く時間がない:31.4%
    • 経営陣の理解がない:22.9%
    • 課題はない:4.2%
    • その他:10.2%

    2021年度に会社全体のデジタル化が進んだ企業は75.5%で2020年度より12.3ポイント減

    2021年度を振り返り、会社全体のデジタル化は進んだと思うか尋ねたところ、「とても進んだ」と「やや進んだ」が合わせて75.5%と、デジタル化が進んだと回答した企業は2020年度の調査から12.3ポイント減少した(n=118)。※かっこ内は前回調査(n=139)

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    • とても進んだ:11.9%(25.2%)
    • やや進んだ:63.6%(62.6%)
    • 全く進まなかった:24.6%(12.2%)

    前回調査:https://www.g-soumu.com/articles/linkage-2021-04-soumu2020-2021questionnaire

    また、どの部門のデジタル化が進んだか尋ねたところ、管理部門(経理・総務)が84.3%で最多となった(n=89/デジタル化が進んだと回答した企業)。

    • 管理部門(経理・総務):84.3%
    • 営業部門:42.7%
    • 人事部門:31.5%
    • 製造部門:1.2%
    • 販売・カスタマーサポート部門:11.2%
    • 研究・開発部門:9.0%
    • 広報・IR部門:5.6%
    • 物流・倉庫部門:5.6%

    デジタル化されている業務1位「入退社・勤怠管理」2位「給与・経費計算」3位「請求書・契約書」

    どんな業務がデジタル化されているか尋ねたところ、「入退社・勤怠管理」が60.2%で最も多く、「給与・経費計算」が59.3%、「請求書・契約書」が43.2%と続いた(n=118)。

    • 入退社・勤怠管理:60.2%
    • 給与・経費計算:59.3%
    • 請求書・契約書:43.2%
    • 顧客管理:33.9%
    • 営業(オンライン商談):32.2%
    • 文書管理:30.5%
    • 受注管理:28.0%
    • 備品管理・発注:24.6%
    • 出張手配:21.2%
    • 社内問い合わせ対応:20.3%
    • 電話・受付:13.6%
    • 施設管理:13.6%
    • 採用・研修:11.0%
    • 株主総会・取締役会:11.0%
    • 健康管理:8.5%
    • デジタル化されていることはない:5.9%
    • その他:1.7%

    また、コロナ禍を機にデジタル化された業務はあるか尋ねたところ、「コロナがきっかけになったものはない」が47.5%で最も多く、「営業(オンライン商談)」が24.6%、「請求書・契約書」が15.3%と続いた(n=118)。

    2022年度にデジタル化したい業務1位「文書管理」2位「請求書・契約書」

    2022年度にデジタル化したい業務はあるか尋ねたところ、「文書管理」が37.3%で最も多く、「請求書・契約書」が29.7%、「社内問い合わせ対応」が20.3%と続いた。

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    • 文書管理:37.3%
    • 請求書・契約書:29.7%
    • 社内問い合わせ対応:20.3%
    • 電話・受付:18.6%
    • 備品管理・発注:18.6%
    • 健康管理:16.9%
    • 受注管理:15.3%
    • 施設管理:14.4%
    • 入退社・勤怠管理:14.4%
    • 顧客管理:11.9%
    • 給与・経費計算:10.2%
    • 採用・研修:9.3%
    • 株主総会・取締役会:7.6%
    • 出張手配:4.2%
    • 営業(オンライン商談):3.4%
    • その他:10.2%

    約7割がデジタル化の推進はコロナ対策が関係していると回答

    デジタル化が進んだのはコロナ対策が関係していると思うか尋ねたところ、「関係している」が70.8%という結果となった(n=118)。

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    <関係していると思う理由やエピソード / 一部抜粋>

    • 経営陣がアナログな考えでITが推進されなかったがコロナがきっかけで、ツールが導入され、在宅ワークが開始された
    • 全社員へのモバイルPC、スマートフォン貸与などにより在宅勤務の体制が整い、それに伴った業務フローの検討が進んだ
    • デジタル化が進んでいない大手取引先への対応に引っ張られて進まない場面が多かったが、取引先がリモートワークをようやく取り入れてくれたので運用が加速できた

    IT 関連の投資等に利用できる助成制度は半数以上が「知っているが活用したことはない」

    IT 関連の投資等に利用できる助成制度を活用したことがあるか尋ねたところ、「知っているが活用したことはない」が54.2%という結果となった(n=118)。

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    総評

    今回の調査では、会社のDX推進をある程度ポジティブに評価する声はあるものの、従業員のリテラシー不足などの課題があることも明らかとなった。また、最低限のアナログからの脱却にとどまり単純な業務改善の域であるなど会社のDXに対する認識を厳しく指摘する声もあり、総務としてのDXへの視座は高いものの、理想と現実のギャップが生じている企業が多くあるだろう。

    コロナ禍におけるリモートワークがきっかけでデジタル化が推進されたという事例も多くあり、これまで経営陣の理解が得られにくかった企業でも半強制的にツールの導入などが進んだことがわかる。これももちろん大きな一歩だと思うが、個々の業務をデジタルに置き換えて満足するのではなく、それによってサービスや業務そのもの、そして企業文化を変革していく「真のDX」を引き続き推進していってほしいと思う。


    【調査概要】
    調査名称:DXに関する調査
    調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
    調査方法: Webアンケート
    調査期間:2022年3月23日〜2022年3月29日
    有効回答数:118件
    ※各回答項目の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合があります

    ■調査結果の引用時のお願い
    ※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
    例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

    ※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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