『月刊総務』調査

テレワーク導入企業の半数以上がオフィス回帰の傾向。BCP策定は自然災害への対策が最優先

月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年01月10日
20240110_『月刊総務』調査結果(2)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「BCPBCMとコロナ対応の振り返りについての調査」を実施し、93人から回答を得た。

  1. 調査結果 概要

テレワーク導入企業の半数以上がオフィス回帰の傾向

オフィス回帰しているか尋ねたところ、半数以上が「出社が増えている」と回答した(n=61/テレワークを導入している企業)。

グラフ1

オフィス回帰でよかったことは「コミュニケーションの取りやすさ」がトップ

オフィス回帰でよかったと思うことを尋ねたところ、「コミュニケーションの取りやすさ」が89.5%で最多となった(n=57)。

グラフ2

<オフィス回帰により発生した業務や困ったこと / 一部抜粋>

  • オフィスを縮小したので、全員が出社できる席数がない。
  • 特定の部門だけがオフィス回帰するので不公平感が出ている。
  • 来客対応の急増。
  • コロナ化でWEB会議をすることが当たり前となっている中、騒音問題は喫緊の課題。

総務は他の職種と比較し、出社頻度に違いはあるか尋ねたところ、4割以上が「総務の方が出社回数が多い」と回答した(n=57)。

総務の方が出社回数が多い:41.9%
他の職種と変わらない:58.1%

事業継続マネジメント(BCM)策定済みは約2割

事業継続マネジメント(BCM)を策定しているか尋ねたところ、策定済みは2割程度にとどまった(n=93)。

グラフ3

BCP策定済み・策定中の全ての企業が「自然災害(地震、水害等)」への対策を盛り込む

事業継続計画(BCP)の策定状況について尋ねたところ、「策定済み」と「策定中」を合わせて約6割という結果となった(n=93)。

グラフ4

BCP対策済み・対策中の企業に対し、どんなリスクに対してBCP対策をしているか尋ねたところ、全社が「自然災害(地震、水害等)」への対策をしていると回答した(n=54/BCP対策済み・対策中の企業)。

グラフ5

BCP策定済み及び策定中の企業に対し、新型コロナウイルス感染症拡大に対応するため、2020年2月以降に新たに策定・改定した対策はあるか尋ねたところ、「テレワーク制度の整備」が64.8%で最多となった(n=54/BCP対策済み・対策中の企業)。

  • テレワーク制度の整備:64.8%
  • 情報の電子化(ペーパーレス化等):35.2%
  • 従業員の安否確認手段の確立:22.2%
  • 緊急時の指揮命令系統の確立:20.4%
  • 業務システムのクラウド化:18.5%
  • 事業所の安全性確保:11.1%
  • 緊急時初動対応の社内周知(社員向けマニュアル作成、研修等):11.1%
  • 予備在庫の確保:5.6%
  • 自社サーバーのバックアップ:5.6%
  • 代替生産先・仕入れ先・業務委託先・販売場所の確保:3.7%
  • 業務の復旧訓練:3.7%
  • 事業所・生産・物流拠点の分散:1.9%
  • 新たに策定・改定したものはない:18.5%

今後、どんな対策を強化すべきだと思うか尋ねたところ、「情報の電子化」が43.0%で最多となった(n=93)。

グラフ6

コロナ対応に点数をつけると約半数が70点以上と回答

自社のコロナ対応を振り返り、点数をつけると何点になるか尋ねたところ、約半数が70点以上と回答した(n=93)。

グラフ7

<点数の理由 / 一部抜粋>

  • 81~90点:社内でクラスターの発生を0に抑えたから。
  • 81~90点:いちはやく正確な情報を収集し、従業員が不安にならないような対応に努め、大きな混乱を招くことなく業務を行えたため。
  • 61~70点:クラスターは発生せず、事業も止まらなかったので、完璧ではないが、不合格でもない。
  • 31~40点:比較的状況の変化に対応出来ていたと思うが、療養期間などが明確に定まらず、そのような基準についてはあいまいな制度にしかならず、事後対応が多かった。
  • 31~40点:現場社員への休業手当などの対応に追われた管理部門に対して全くケアできていない。

コロナ対応で困ったこと 1位「感染者が出た時の対応」2位「消毒液やマスクの手配」3位「アクリル板や空気清浄機等の手配」

コロナ対応で困ったことについて尋ねたところ、「感染者が出た時の対応」が87.1%で最多となった(n=93)。

グラフ8

<コロナ対応で困ったことやエピソード / 一部抜粋>

  • 使わなくなったアクリル板の扱い(捨てにくく、保管中)。
  • 部署毎に業務の性質が異なるため、テレワークが実施できる部署とできない部署との格差ができ、全社的にテレワークを推進することに限界を感じた。
  • マスクが全国的に品薄になった際に会社で用意するのが責務となったこと。
  • 家族等が感染し濃厚接触者になった場合の出社判断がややこしかった。

コロナ5類移行で止めた対応は「アクリル板や空気清浄機の手配」「従業員への出社制限」など

コロナ5類移行に伴い止めたコロナ対応はあるか尋ねたところ、「アクリル板や空気清浄機の手配」が59.1%で最も多く、「従業員への出社制限」が53.8%と続いた(n=93)。

グラフ9

7割以上がコロナ対応で「業務のデジタル化」に進展

コロナ対応によって、会社として進んだこと、改善したと思うことはあるか尋ねたところ、「業務のデジタル化」が71.0%で最も多く、「働き方の多様化」が60.2%、「ペーパーレス」が49.5%と続いた(n=93)。

グラフ10

<コロナ対応により、後回しになってしまった総務の仕事 / 一部抜粋>

  • オフィス移転が延期になった。
  • BCP計画策定(感染症対策)に比重が偏り、(災害対策)の見直しが後回しとなった。
  • 社内行事や職場懇親会の支援が取りやめになりました。

3割以上がコロナ禍で福利厚生に影響あり

コロナ禍によって福利厚生(法定外福利費)の内容に影響があったか尋ねたところ、3割以上が影響があったと回答した(n=93)。

グラフ11

<増えた項目(n=31/影響があった企業)>

  • 医療・健康:64.5%
  • ライフサポート:19.4%
  • 住宅関連:12.9%
  • 文化・体育・レク:12.9%
  • 慶弔関連:3.2%
  • 福利厚生代行:3.2%

<減った項目(n=31/影響があった企業)>

  • 文化・体育・レク:54.8%
  • 慶弔関係:19.4%
  • 住宅関連:9.7%
  • 福利厚生代行:6.5%
  • 共済会:3.2%

総評

今回の調査では、テレワークを行っている企業でオフィス回帰の傾向があることがわかった。オフィス回帰といってもコロナ前と同じに戻るのではなく、ハイブリッドな働き方も継続される中で、新たなオフィスの在り方を模索している企業が多いと思われる。働き方の多様化が進んだ中で、オフィスもただ他社の好事例を真似るのではなく、自社の軸を持って進化させることが求められるだろう。

また、BCPについては前回調査よりも意識が数ポイント下がる結果となった。コロナ禍の落ち着きが結果に現れたと思われる。しかし、年始に令和6年能登半島地震が発生し、再度BCPへの意識が高まるだろう。リスクの多様化に振り回されることなく、あらためて自社にとってのリスクは何かを整理し、地道にPDCAを回すことが重要となる。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2023年11月16日〜2023年11月23日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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