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『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「職場のジェンダーギャップについての調査」を実施し、113人から回答を得た。
- 調査結果 概要
約9割の企業で役員や管理職は男性が多い
役員や管理職の内訳について、男性と女性の比率を尋ねたところ、約9割が男性が多いと回答した(n=113)。
約6割が昇進・昇格の機会は男性が優位
昇進・昇格の機会に男女差があると感じるか尋ねたところ、約6割が男性が優位であると回答した(n=113)。
<フリーコメント / 一部抜粋>
- 育児休暇のハンデが無くなるよう規則が改定されたが、実際の運用(≒評価)がどうなるかは出たとこ勝負の感じがします。
- 能力的に差異はないが、入社後の実務経験の積ませ方に差があり、本人の自覚含め、女性の方がやや後手となる。
- 女性活躍を標榜して、半ば見切り発車的に役員登用をしたりして、外面上の体裁は取っているが、実際に女性に特化した教育やキャリアデザインなどおよそない。男性のような働き方が出来る人しか、マネージャーにならず、他は半ば諦めのような雰囲気となっている。
- 最近は女性の役職者率を上げるために、能力に疑問がある人材の登用もある。
約半数が転勤・異動の機会に男女差がある
転勤・異動の機会に男女差があると感じるか尋ねたところ、約半数が「ある」と回答した(n=113)。
<フリーコメント / 一部抜粋>
- 転居を伴う異動は男性の方が多い。
- 家族がいる場合は女性は転勤を辞退する。男性の場合は単身赴任ができる。
約6割が男女で給与に不平等はない
男女で給与の不平等があると感じるか尋ねたところ、約6割が「男女差はない」、約4割が「男性が優位」と回答した(n=113)。
給与の不平等があると回答した方に対し、給与の不平等を是正する取り組みをしているか尋ねたところ、約8割が「していない」と回答した(n=44/給与の不平等があると回答した方)。
半数以上が業務分担に性別が考慮されている
業務分担に性別が考慮されていると思うか尋ねたところ、半数以上が「はい」と回答した(n=113)。
<業務分担に男女差があると感じる場面 / 一部抜粋>
- 力仕事やストレス負荷が高い仕事は男性が行う。
- 事務職は女性のみ(求人にそのように明記はされていない)。
- 雑用に分類される業務については、女性に割り振られる事が多い。
約8割が教育の機会に男女差はない
教育の機会に男女差があると感じるか尋ねたところ、8割以上が「男女差はない」と回答した(n=113)。
約2割が採用枠に男女の内訳を設定している
採用枠に男女の内訳を設定しているか尋ねたところ、約2割が「設定している」と回答した(n=113)。
半数以上が会社全体としてジェンダーバイアスを感じる一方、総務の仕事では6割以上が感じないと回答
会社全体としてジェンダーバイアスを感じることがあるか尋ねたところ、半数以上が「感じる」と回答した。また、総務の仕事の中でジェンダーバイアスを感じることがあるか尋ねたところ、6割以上が「感じない」と回答した(n=113)。
<ジェンダーバイアスを感じる場面 / 一部抜粋>
- 秘書など女性のみの職種あり。
- 女性は育休や結婚退社をするので重要な業務を任せにくいと思われている。
- 他部門をまたぐ仕事は男性が多い。庶務的な仕事は女性が多い。
- いまだにお茶を入れたり、給湯室の掃除を女性のみが担当する。
ジェンダー平等を掲げている企業が行っている施策1位は「ハラスメント教育」
会社としてジェンダー平等を掲げているか尋ねたところ、半数以上が掲げていないと回答した(n=113)。
掲げている:46.0%
掲げていない:54.0%
ジェンダー平等を掲げている企業に対し、どんな施策を行っているか尋ねたところ、「ハラスメント教育」が73.1%で最も多く、「男性育休取得率の向上」が69.2%、「働き方の多様化」が63.5%と続いた(n=52/ジェンダー平等を掲げている企業)。
<ジェンダー平等に取り組んでいない理由 / 一部抜粋>
- 経営陣含め会社全体の意識が低い。
- 予算がないから。
- 業界的に男性中心の産業であるため。
約半数が仕事に性別による役割分担は必要だと回答
仕事をする上で、性別による役割分担は必要だと思うか尋ねたところ、約半数が必要だと回答した(n=113)。
<フリーコメント / 一部抜粋>
- 体力的に性差はあるが、性別というよりも特性として捉えた方がよいと感じることが多い。
- 男性でも育休取得は推進されており、産休育休が女性特有のものとは思わない。各々のライフステージにあわせた配慮が必要だと思う。
- 性別でというよりかは家庭の事情や家族構成によっては分担の仕方に配慮は必要だと思う。
7割以上が、ジェンダー不平等を解消するための施策は必要だと回答
ジェンダー不平等を解消するための施策を実施する必要はあると思うか尋ねたところ、7割以上が必要だと回答した(n=113)。
<必要だと思う理由 / 一部抜粋>
- 男女ともアンコンシャスバイアスに気づかないことが多く、少しずつ嫌悪感を感じている気がするため。
- ジェンダーだけでなく、ダイバーシティは人的経営の上でも必要。
- ジェンダー不平等を解消していけば、活躍の場が広がり、それが巡り巡って会社の利益や貢献につながるので必要だと感じました。
- 制度上は平等だと思いますが、一部の社員(特に高齢の方)には男尊女卑の考え方が残っており、そこに対応する必要があると感じるため。
<必要ないと思う理由 / 一部抜粋>
- 不平等を感じていないから。
- 何が平等で、何が不平等かを検討した際に、いわゆる昔の男女雇用機会均等法でうたわれていたような差は無くなっているから。
<その他ジェンダーバイアスについての意見・感想 / 一部抜粋>
- ジェンダーギャップよりも産育休取得者のフォローに回るスタッフへの待遇を制度化してほしいです(産育休のフォローをしたスタッフに手当を出した場合補助金がもらえるなど)。
- 何かしら対策をしないとは思っているが、何から手を付ければよいのかがわからない。
- 自分の会社は古い体質なので、本質的な改革を望みたいが、トップマネジメントがそう考えているか疑問。
- 若い世代は教育せずともジェンダー平等の意識があるが、年配層はジェンダーによるバイアスを感じる。
総評
今回の調査では、企業におけるジェンダーギャップについて、キャリアや給与の面でいまだ男性優位の企業が少なくないことが明らかとなった。2023年6月に内閣府が発表した「女性版骨太の方針」では、2030年までに女性役員比率を30%以上へという目標が掲げられている。それに伴い、女性の活躍促進に向けて取り組みを推進している企業もある中で、今は過渡期といえるだろう。
フリーコメントには、体力やストレス耐性が必要な仕事は男性、補佐の役割は女性という固定観念がまだ強くあるという声も複数見られた。ジェンダーバイアスが存在している場合、それに本当に意味があるのかを特に若い世代はシビアな目で見ている。合理的に説明ができるかどうかは、今後の採用にも大きく影響すると考えられる。「昔からこうしていたから」といった慣例は度外視し、人員配置や役割分担が適切であるかを見直すことが求められるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年4月10日〜2024年4月18日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
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