『月刊総務』調査

副業制度がある会社は約3割で前回調査より増加傾向。一方、副業人材を活用している企業は1割未満

月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年05月08日
『月刊総務』調査結果(202403sidejobquestionnaire)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「副業・兼業についての調査」を実施し、146人から回答を得た。

前回( 2021年08月)調査はこちら

  1. 調査結果 概要

副業制度がある会社は約3割で、2年前の調査より12.8ポイント増加

会社で副業が認められているか尋ねたところ、「制度があり認められている」32.2%で、2021年8月の調査より12.8ポイント増加した(n=146)。

グラフ1

副業のメリット「収入アップ」「人脈が広がる」「キャリアの幅が広がる」など

副業にはどんなメリットがあると思うか尋ねたところ、「収入がアップする」が78.1%で最も多く、「人脈が広がる」が47.3%、「スキルが向上する」と「キャリア形成の幅が広がる」がいずれも43.2%と続いた(n=146)。

グラフ2

副業のデメリットは「過重労働になる」が最多

副業にはどんなデメリットがあると思うか尋ねたところ、「過重労働になる」が80.1%で最も多い回答を得た(n=146)。

グラフ3

<社員の副業で困ったエピソード / 一部抜粋>

  • 制度があるにも関わらず、申請せず勝手に行っている人がいる
  • 副業分の労働時間管理がなされておらず、体調不良になる従業員がいた
  • 休日の副業を求められたが、社内規定上副業を認めておらず断ったところ、早期に転職されてしまった

約7割が副業先での社員の労働時間を「把握していない」

副業先での社員の労働時間を把握しているか尋ねたところ、「把握している」が34.0%で、2021年8月の調査より5.4ポイント増加したものの、約7割が副業先での社員の労働時間を把握していないことがわかった(n=47/副業が認められている企業)。

グラフ4

副業人材を活用している企業は1割未満

副業人材を活用しているか尋ねたところ、「活用している」が8.9%、「活用していない」が91.1%という結果になった(n=146)。

グラフ5

副業人材活用メリットは「必要なときだけ人材を確保できる」「即戦力になる」など

副業人材を活用するメリットはなんだと思うか尋ねたところ、「必要なときだけ人材を確保できる」が49.3%で最も多く、「即戦力になる」が47.3%と続いた。前回調査では「自社にないスキルを活用できる」が63.9%で最多だったが、今回は40.4%で、23.5ポイント減少する結果となった(n=146)。

グラフ6

副業人材活用の懸念は、「会社のノウハウや機密情報の流出」「労働時間・給与管理の問題」「活用のノウハウがない」など

副業人材を活用する懸念点はあるか尋ねたところ、「会社のノウハウや機密情報の流出」が63.0%で最も多く、「労働時間・給与管理の問題」が61.0%、「活用のノウハウがない」が35.6%と続いた(n=146)。

グラフ7

約3割の総務が副業経験あり

本アンケートに回答した総務の方自身が副業をしたことがあるか尋ねたところ、約3割が副業経験があることがわかった(n=143/総務として働いたことがある人)。

グラフ8

<どんな副業をしているか / 一部抜粋>

  • 業務改善コンサルティング
  • 社会保険労務士
  • セミナー講師

<やってみたい副業 / 一部抜粋>

  • 異業種の事務管理部門
  • 現状からスキルを広げる仕事。現在の業務では経験できない幅を広げるまたは専門性を高める仕事
  • 在宅でできる仕事

現在副業をしていない総務の約8割が、副業をしてみたいと回答

現在副業をしていない総務に対し、今後、副業をしてみたいと思うか尋ねたところ、約8割が副業をしてみたいと回答した(n=125/総務として働いたことがあり、現在副業をしていない人)。

グラフ9

約2割の企業が社内副業制度あり

社内副業制度があるか尋ねたところ、約2割があると回答した(n=146)。

グラフ10

総評

今回の調査では、副業制度がある企業は約3割で2年前の前回調査より12.8ポイント増加しており、副業が推進されていることがわかった。少子高齢化による労働力不足を背景に、政府も副業解禁を推奨している。働き方の多様化や人材の流動化、自律的なキャリア形成の促進やチャレンジする機会の創出なども副業推奨の目的として挙げられる。

副業を認める企業が増える一方で、副業先での労働時間の把握ができていない企業が多く、副業制度を運用する総務人事側の対応が追いついていないことも明らかとなった。労働基準法で労働時間の通算ルールが定められている。把握できていない企業は、労務管理のルールを今一度見直す必要がある。

また、総務自身の副業への意欲が高いこともわかった。総務のキャリア形成という観点で考えると、自身の日常の業務を汎用化し、環境を変えて通用するかどうかチャレンジするとよいだろう。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年3月10日〜2024年3月18日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


『月刊総務』調査」の記事

2024年12月09日
総務は自身の成功よりも組織の成果を重視。総務経験年数が長いほど「総務を続けたい」意欲あり
2024年11月08日
7割以上が「評価制度は総務の仕事を適切に評価していない」と回答。目標管理が難しいとの声も
2024年11月01日
本当に「オフィス回帰」している? コロナ禍から「テレワーク実施状況」を調査し続けて見えたこと
2024年10月09日
総務が利用を推奨する福利厚生と実際の利用率にギャップ。リスキリング・健康経営関連は伸び悩む
2024年09月09日
7割以上の総務が情報収集に注力。現場からの情報収集は、約半数が「ぶらぶら総務」を実践
2024年08月09日
8割以上の企業が社内コミュニケーションに課題あり。課題内容は「社員の参加意識の醸成」が最多
2024年07月08日
約7割が外国人従業員の雇用を検討。雇用したことのある4社に1社がトラブル経験あり
2024年06月07日
7割以上がジェンダー不平等解消の施策は必要と回答。行っている施策1位は「ハラスメント教育」
2024年05月08日
副業制度がある会社は約3割で前回調査より増加傾向。一方、副業人材を活用している企業は1割未満
2024年04月05日
介護・治療と仕事の両立支援は進んでいない実態が明らかに。介護状況の実態把握にも課題あり
2024年03月07日
約9割のミドルマネジメント層がプレイングマネジャー。負担を軽減する工夫を何もしていない企業も
2024年02月07日
健康経営が会社の業績向上につながると8割以上が回答。メリットは「社員の働きやすい環境の整備」
2024年01月10日
テレワーク導入企業の半数以上がオフィス回帰の傾向。BCP策定は自然災害への対策が最優先
2023年12月22日
4割以上の総務が転職意向あり。「総務のスキルを生かしてキャリアアップしたい」など前向きな声も
2023年11月02日
半数の企業が人的資本経営に取り組んでおり、取り組む理由は「優秀な人材を確保するため」が最多
2023年10月04日
会社全体のデジタル化が進んだと8割以上が回答。一方、8割の総務は収集データを活用できていない
2023年09月01日
8割以上の企業が障がい者雇用に課題あり。受け入れ先は、総務・人事・経理などの管理部門が最多
2023年08月04日
リスキリングについて8割が「知っている」と回答。実施企業は増えるも、一人当たり予算は減少傾向
2023年07月03日
週休3日制のメリットはワーク・ライフ・バランスの向上がトップ。導入ネックは部署間の不公平など
2023年05月30日
7割以上がインターンシップの採用直結に賛成。大手に優秀な学生を早期に確保されるとの懸念も
2023年04月21日
9割の総務が男性育休を「推進したい」一方で、自社が「男性育休がとても取りやすい」は2割以下
2023年03月15日
「オフィスの方がテレワークより生産性高く働ける」が上昇。2割の企業が「オフィス予算を増やす」
2023年02月13日
約8割の総務が「経営判断に影響力を発揮」。仕事内容ややりがいの満足度も高い傾向
2023年01月16日
SDGsに取り組んでいる企業のうち半数以上が2030年に達成すべきゴールを「定めていない」
2022年12月15日
9割以上が「企業のSNS活用は必要」とするも、半数以上が自社のSNS活用は「全く進んでいない」
2022年11月10日
Z世代のマネジメントは「難しい」の回答が半数以上。「ハラスメント扱いされる」といった悩みも
2022年10月11日
中途入社者の「オンボーディング」。充実度により定着率22ポイント、パフォーマンス30ポイントの差
2022年09月09日
「総務が成果を出せている」役職あり・なしで21ポイントの差。4割弱の総務が「アジャイル」実践
2022年08月09日
人権リスクの対象は8割が「ハラスメント」。リスクに対し対策している企業は6割にとどまる
2022年07月05日
「リスキリング」に取り組んでいる企業は3割未満。その大多数が学ぶ内容、進捗管理を個人任せに
2022年06月09日
事業承継に関わったことのある総務は2割以下。国の公的支援策を7割近くが「知らない」
2022年05月19日
ウェルビーイングに取り組んでいる企業は約半数。測定のアセスメント実施は約2割にとどまる
2022年04月07日
半数以上が会社のDX推進の取り組みは不足と評価。課題は「従業員のリテラシー不足」が最多。
2022年03月01日
約8割が総務の仕事を社内にアピールできず。総務は「なんでも屋」「雑用係」のイメージ
2022年01月27日
コロナ禍のBCPは見直す必要があるも未対応。テレワークは出社とのハイブリッドで継続が半数
2021年12月23日
女性特有の健康課題を問題視するもセクハラを心配する声。フェムテックの活用に6割強が興味あり
2021年11月29日
オンライン商談用の個別ブース不足が課題に。今後のオフィスの役割は「社内コミュニケーション」
2021年11月01日
約9割の総務が総務の仕事が好きと回答。一方、総務の仕事は適正に評価されていないとの声が多数
2021年10月22日
心身の不調を訴える従業員が昨年より増加傾向。テレワークによるコミュニケーション不足などが要因
2021年09月30日
約7割の企業が副業先での社員の労働時間を「把握していない」。総務は自身の副業に意欲的な傾向に
2021年07月29日
約7割の総務が男性育休を推進したいと回答する一方、3割以上が何の施策もしていない
2021年06月30日
約2割の企業は水害対策未実施。9割以上がテレワーク中の水害を想定した対策ができていない
2021年06月03日
8割以上がワーケーションの導入を未検討。ネガティブイメージは仕事と休暇の線引きが曖昧になる
2021年04月19日
テレワーク手当の実施率は約3割。福利厚生の課題は平等性、制度の利用率、経営層の理解など
2021年04月09日
9割が2020年度に会社のデジタル化が進んだと回答。2021年度に求めるものもデジタルツールの導入が最多
2021年03月04日
社員の健康管理が難しくなったが約7割。オンライン活用による新たな健康経営の取り組みが目立つ
2021年01月26日
緊急事態宣言対象地域の9割以上がテレワークを実施。2割の総務はテレワーク期間中も毎日出社
2020年12月22日
73.4%が対面研修のオンライン化に着手したが、うち59.0%がオンライン研修を対面に戻したいと回答
2020年11月12日
テレワークで会社の方向性を伝えにくくなったが8割。社員のエンゲージメント低下を実感
2020年09月30日
テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しいが7割超。テレワーク推進でストレスが増えたと実感
2020年08月26日
これからの働き方はオフィスとテレワークの融合が7割超。オフィスの見直しは占有面積の縮小
2020年07月31日
新型コロナでやっておけばよかったBCP対策は、テレワーク制度の整備、情報の電子化など
2020年06月30日
緊急事態宣言中に完全リモートワークができた総務は1.6%。出社理由は郵便物の対応など

関連記事

  • エンゲージメントを高めるオフィスの条件とは? 事例から学ぶトレンドを押さえた空間づくり PR
  • 【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は? PR
  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR

特別企画、サービス