『月刊総務』調査

SDGsに取り組んでいる企業のうち半数以上が2030年に達成すべきゴールを「定めていない」

月刊総務 編集部
最終更新日:
2023年01月16日
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『月刊総務』は全国の総務人事担当者を対象に「SDGsについての調査」を実施し、116名から回答を得た。

  1. 調査結果概要

約7割の企業がSDGsに取り組んでいる

所属している会社がSDGsに取り組んでいるか尋ねたところ、約7割が「取り組んでいる」と回答した(n=116)。

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<取り組んでいる内容 / 一部抜粋>

  • CO2削減(低排出係数への切替、太陽光発電の導入)
  • LED化工事により、オフィス使用電力量は、2018年から2020年にかけて前々年比78%まで削減。
  • 節水型トイレタンクに交換。
  • 会議開催時には、どのゴールを目的としているか 会議資料にアイコンを入れて意識する。
  • フードバンクへ食料の提供。
  • 紙の名刺を希望者のみの発行とし、基本的にはWEB名刺を利用している。また、紙の名刺も再生紙としている。

総務が主体になって取り組んでいる項目は「働きがいも経済成長も」が最多

SDGsに取り組んでいる企業に対し、特に総務が主体となって取り組んでいる項目について尋ねたところ、「働きがいも経済成長も」が33.3%で最多となった(n=81/SDGsに取り組んでいる企業)。

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半数以上が2030年に自社が達成すべきゴールを定めていない

SDGsに取り組んでいる企業に対し、2030年に自社が達成すべきゴールを定めているか尋ねたところ、半数以上が「定めていない」と回答した(n=81/SDGsに取り組んでいる企業)。

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SDGsに期待するメリットは「会社のイメージ向上」が最多。一方、取り組んでいる企業でそのメリットを感じているのは半数以下

SDGsに取り組むことでどんなメリットがあると思うか尋ねたところ、「会社のイメージ向上」が69.0%で最多となった。一方で、実際に取り組んでいる企業に対して実感しているメリットを尋ねたところ、最も期待が多かった「会社のイメージ向上」は45.7%と、実感できている企業は半数に満たない結果となった。また、SDGsに取り組んでいる企業の23.5%はメリットを実感していないこともわかった(n=116)。

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SDGsに取り組んでいない理由は「人手がない」「何から始めたらよいかわからない」など

SDGsに取り組んでいない企業に対し、取り組んでいない理由を尋ねたところ、「人手がない」と「何から始めたらよいかわからない」が45.8%で最多となった(n=24/SDGsに取り組んでいない企業)。

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SDGsに取り組む上での課題は「取り組みを社内に浸透させるのが難しい」「事業をSDGsと結びつけるのが難しい」など

SDGsに取り組む上での課題を尋ねたところ、「取り組みを社内に浸透させるのが難しい」が56.0%で最も多く、「事業をSDGsと結びつけるのが難しい」(48.3%)、「取り組みを社外にアピールするのが難しい」(32.8%)が続いた(n=116)。

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<SDGsに取り組む上での課題 / 一部抜粋>

  • コストと相容れない部分があり、上層部に理解を得にくいことがある。
  • 採用時のメリットとなるものの、予算や時間、人材が割かれていない中では、やってる担当部門や担当者が疲弊する可能性がある。
  • 取り組む大切さはわかるが、実務との兼ね合いが図れず、手段が見つからないままあいまいに進んでいる。

7割以上がSDGsの取り組みについて情報開示をしている。情報開示の方法は「コーポレートサイトへの掲載」が最多

SDGsの取り組みについて情報開示をしているか尋ねたところ、72.8%が「している」と回答した(n=81/SDGsに取り組んでいる企業)。

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<情報開示の方法 (n=59/SDGsの取り組みについて情報開示をしている企業)>

コーポレートサイトへの掲載:59.3%
採用サイトへの掲載:28.8%
決算説明資料:25.4%
中期経営計画説明資料:23.7%
統合報告書:18.6%
プレスリリース:18.6%
有価証券報告書:13.6%
コーポレートガバナンス報告書:13.6%
SNS(Facebook、Twitter等):13.6%
ブログ・オウンドメディア:3.4%
記者発表会:1.7%
その他:11.9%

9割以上の総務がSDGsをもっと推進したい

総務として、SDGsをもっと推進したいと思うか尋ねたところ、「とても推進したい」と「やや推進したい」が合わせて92.2%と、9割以上が推進したいと思っていることがわかった(n=116)。

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<推進したいと思う理由 / 一部抜粋>

  • 会社の市場価値向上に繋がる。 それを総務主体で実現できるなら、総務も稼げる部門になるため。
  • EMS活動と重なる点も多いため、従業員の理解促進のために取り組みたいと感じる。
  • 欧州などの状況を 見ると、取り組まない企業は生き残れないと思うため。

SX(サステナビリティトランスフォーメーション)を理解できている総務は1割未満

SX(サステナビリティトランスフォーメーション)とはなにか知っているか尋ねたところ、「よく理解している」は7.8%にとどまり、30.2%が「言葉を聞いたことがない」と回答した(n=116)。

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※「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を指す。 出所:経済産業省『伊藤レポート 3.0 』

7割以上が自社もSXに取り組むべきだと回答

自社もSXに取り組むべきだと思うか尋ねたところ、73.3%が「はい」と回答しました(n=116)。

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<取り組むべきだと思う理由 / 一部抜粋>

  • SDGsに取り組む上で事業にいかに反映させるかが重要だと思ったから。
  • 取引先とのビジネスの必須条件となってくると思うため。
  • 事業に反映させないと経営陣の理解を得にくいから。
  • SXに取り組む事で、自社の製品のアピールになると思うから。
  • 事業との関連性を高めることがサステナビリティ推進にとって必須だから。

<取り組む必要がないと思う理由 / 一部抜粋>

  • コスト的に合わない。
  • 言葉が先行しているが、下地ができていないので啓発できない。
  • 現時点では理想的過ぎて時期尚早に感じるため。

総評

今回の調査では、約7割の企業がSDGsに取り組んでいるものの、そのうち半数以上が2030年に自社が達成すべきゴールを定めていないことが明らかになった。SDGsは2030年が達成年度として定められている。もちろん、ゴールを達成すればよいということではなく、達成できてもできなくても、その先のありたい未来の姿に向けて活動を継続することが重要だが、全社のベクトルを合わせるためにも、自社がSDGsで何を目指すのか、ゴールは設定すべきだろう。

SDGsに取り組む上での課題は「取り組みを社内に浸透させるのが難しい」という回答が最多となった。「建前の活動ではなくきちんと効果のある活動にすることが必要だ」など、SDGs推進担当者だけでなく、ステークホルダーも巻き込みながら意味のある取り組みにしていきたいという声が複数あった


【調査概要】
調査名称:SDGsについての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2022年12月12日〜2022年12月24日
有効回答数:116件

■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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