『月刊総務』調査

約9割のミドルマネジメント層がプレイングマネジャー。負担を軽減する工夫を何もしていない企業も

月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年03月07日
20240307_『月刊総務』調査結果(2)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「ミドルマネジメントについての調査」を実施し、230人から回答を得た。

※本調査における「ミドルマネジメント層」は、課長職・マネジャー相当のことを指す。

  1. 調査結果 概要

9割以上が自社のマネジメント層を「スキル不足」と評価も、自分自身のマネジメントスキルは「発揮できている」が6割と、認識に大きな乖離

ミドルマネジメント層のスキルが足りないと感じることがあるか尋ねたところ、9割以上がスキル不足を感じていることがわかった(n=230)。

グラフ1

<スキル不足を感じる理由 / 一部抜粋>

  • プレイングマネジャーであり、マネジメントスキルが乏しい。
  • 育成をするスキームが不十分。
  • 能力でなく、年数や年齢での昇格があるため。

また、ミドルマネジメント層に自身のマネジメントスキルをどう評価するか尋ねたところ、約6割が発揮できていると回答した(n=63/ミドルマネジメント層)。

グラフ2

ミドルマネジメント層の自己評価と全体の評価に51.3ポイントの乖離があり、認識に差があることがわかった。

総務のマネジャーになりたい理由「成長したい」、なりたくない理由「割に合わない」

マネジャー層に対し、マネジャーに昇進してよかったと思うか尋ねたところ、8割以上がよかったと回答した(n=63/ミドルマネジメント層)。

グラフ3

また、リーダー層及び役職なしの方にマネジャーになりたいと思うか尋ねたところ、半数以上がなりたくないと回答した(n=106/リーダー層・役職なし)。

グラフ4
グラフ5
グラフ6

育成が追い付かないなどの要因で、約半数がミドルマネジメント層の人数が不足

ミドルマネジメント層の人数が足りているか尋ねたところ、約半数が足りていないと回答した(n=230)。

グラフ7

ミドルマネジメント層が足りない理由は、「マネジメント職の育成が追い付いていない」が約7割で最多となった(n=118/ミドルマネジメント層が足りない企業)。

グラフ8

約9割のミドルマネジメント層が「プレイングマネジャー」であることが明らかに

ミドルマネジメント層がプレイング業務を行っているか尋ねたところ、約9割がプレイングマネジャーであることがわかった(n=230)。

グラフ9

マネジャーになる条件について尋ねたところ、直属の上司からの推薦が約6割で最多となった(n=230)。

  • 直属の上司からの推薦:59.6%
  • 人事評価で所定の条件がある:52.2%
  • 決まりはなくケースバイケース:35.7%
  • 昇格試験:29.1%
  • わからない:4.3%

社員に昇格を打診して断られたことがあるか尋ねたところ、3割以上があると回答した(n=142/昇格打診について把握している人)。

  • ある:35.9%
  • ない:64.1%

<断られた理由 / 一部抜粋>

  • 責任を負いたくない。
  • 管理職になることで残業代がなくなり賃金が減る。
  • 専門職としてプレイヤーのままでキャリアアップしたい点と、その方が総合的な付加価値が高い。

ミドルマネジメント層に求めるのは「部下を育成する力」「チームを統率する力」など

ミドルマネジメント層に求めることについて尋ねたところ、「部下を育成する力」が最多となった(n=230)。

グラフ10

3割がミドルマネジメント層の負担を軽減する工夫を何もしていない

ミドルマネジメント層の負担を軽減する工夫をしているか尋ねたところ、3割が何も工夫をしていないことがわかった(n=230)。

グラフ11

社員に対し、マネジメント層になりたいと思うモチベーションをどう醸成しているか尋ねたところ、約半数が「給与・待遇を良くする」と回答した(n=230)。

  • 給与・待遇を良くする:48.3%
  • 教育・研修を充実させる:31.3%
  • ロールモデルを示す:27.8%
  • 求める要件を明確化する:25.2%
  • キャリアコンサルティングを行う:10.9%
  • その他:0.9%
  • 何もしていない:27.0%

理想のマネジャーは「リーダーシップが高い」「傾聴力が高い」「後ろ盾になってくれる」

グラフ12

総評

今回の調査では、ミドルマネジメントのほとんどがプレイングマネジャーであり、プレイヤー業務に追われるなどの要因から、マネジメントスキルの習得に課題が多いことがわかった。

ミドルマネジメント層自身は「マネジャーになってよかった」と思っている人が多い一方で、その次を担う層は「割に合わない」と昇進に意欲的ではない。会社としてミドルマネジメント層の負担を軽減する取り組みはあまり進んでおらず、改善が必要な状況となっている。

まずは、マネジメントに向き合う余裕を作るため、業務の棚卸しを行うことが大切となる。足元に不要な会議はないか、効率化できるルーティン業務はないかなど、テクノロジーも上手に活用しながら日常業務の生産性をあげることがベースとして求められる。

総務としては、リスキリングの観点からも、スキルアップのための手段やメニューをしっかり現場に示すことが必要だ。同時にロールモデルを示すなど、会社の目標やパーパスと紐付けながら自社が求めるマネジャー像を提示することが、現場の成長意欲や定着へとつながるだろう。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年1月15日〜2024年1月23日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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