『月刊総務』調査

Z世代のマネジメントは「難しい」の回答が半数以上。「ハラスメント扱いされる」といった悩みも

月刊総務 編集部
最終更新日:
2022年11月10日
20221109_00

『月刊総務』は全国の総務人事担当者を対象に「Z世代のマネジメントについての調査」を実施し、70名から回答を得た。

※Z世代:1990年代後半〜2010年代前半生まれのこと

  1. 調査結果概要

半数以上がZ世代のマネジメントは難しいと回答

Z世代社員のマネジメントに難しさを感じるか尋ねたところ、「とても感じる」と「やや感じる」が合わせて55.7%と、半数以上がZ世代社員のマネジメントに難しさを感じていることがわかった(n=61/Z世代を採用している企業)。

<どんな難しさがあるか / 一部抜粋>

  • モチベーションアップのために、どのようなアプローチが効果的なのかがわからない
  • 言われたことはとりあえずこなすが、それ以外はしないし、自分で考えない
  • 上の世代の現場の社員が価値観のシフトができていない
  • 自己評価が高く、正当な注意・指導も「パワハラで心療内科に行く」などと発言する
  • 我々の世代の考え方と異なり、ハラスメント扱いされることが多い

<Z世代のマネジメントで工夫していること / 一部抜粋>

  • 興味関心の高い分野を任せてみる
  • 成功体験を積ませること、失敗させないこと、一人ではなく社内に必ず味方がいると認識させること
  • 見て覚えろとは言わないようにする。理解するまで教えてから作業させる
  • 傾聴することを意識する。成功へ自ら導けるようなコーチングを実施する
  • 言われたことしかしないので、1から10どころか50くらいまで教える。
  • 評価や賃金などの人事制度、多様な働き方への変更(リモートワーク、ドレスコース緩和など)

Z世代の9割以上が「ワーク・ライフ・バランス重視」、8割以上が「フレキシブルな勤務体制を重視」

Z世代社員の価値観にどんな特徴を感じるか尋ねたところ、「ワーク・ライフ・バランス重視である」は「とてもあてはまる」と「ややあてはまる」が合わせて96.7%、「フレキシブルな勤務体制を重視する」は86.9%と、働き方の柔軟性を重視していることのわかる結果になった(n=61/Z世代を採用している企業)。

Z世代のスキルは約9割が「デジタルリテラシーが高い」「情報処理能力が高い」

Z世代社員のスキルにどんな特徴を感じるか尋ねたところ、「デジタルリテラシーが高い」は「とてもあてはまる」と「ややあてはまる」が合わせて90.1%、「情報処理能力が高い」は86.9%という結果になった(n=61/Z世代を採用している企業)。

<Z世代社員の価値観やスキルの傾向で感じること / 一部抜粋>

  • 転職に対するハードルが低い
  • 完璧な自分であることのこだわりが強いと感じる
  • 仕事に対するこだわりが少なく効率的で負荷のないことを好む傾向にある
  • 言われたことを言われたようにすることはできるが、自ら考えての作業や行動はできない人が多いように感じる
  • 社外の会社などとも積極的に交流をしていてたり、様々なコミュニティを持っている

<Z世代社員とジェネレーションギャップを感じること / 一部抜粋>

  • 上下関係の意識が低い
  • 時間内はまじめに仕事をするが、定時になれば仕事が残っていても相談なく帰る
  • 仕事とプライベートのメリハリが大きい
  • 業務指示に対して、簡単に”できません”と言えるもしくは、”やりたくない”という
  • 福利厚生に対する要求が強く、会社負担がないと参加しない

約4割がZ世代の採用活動は難しいと回答

Z世代の採用活動に難しさを感じるか尋ねたところ、「とても感じる」と「やや感じる」が合わせて39.3%と、約4割が難しさを感じていることがわかった(n=61/Z世代を採用している企業)。

Z世代の採用で今後強化したいのは「SNSを活用した情報発信」「動画配信」など

Z世代の採用活用で工夫していることを尋ねたところ、「Webサイトの充実」が45.9%で最も多く、「選考のスピード感を上げる」(41.0%)、「選考後のフィードバック」(39.3%)が続いた。また、今後取り組みたいこと・強化したいことは「SNSを活用した情報発信」(42.6%)と「動画配信」(36.1%)が上位に挙がった(n=61/Z世代を採用している企業)。

約半数が採用のための情報発信でSNSを活用していない

採用のための情報発信で活用しているツールを尋ねたところ、「Twitter」が26.2%で最も多く、「Youtube」が19.7%と続いた。また、「あてはまるものはない」が47.5%と、約半数が採用のための情報発信でSNSを活用していないことがわかった(n=61/Z世代を採用している企業)。

総評

今回の調査では、Z世代のマネジメントにおいて、考え方や価値観の違いに悩む現場の声が多く挙がった。特に「いわれたことしかできない」「見て覚えろとはいえないので丁寧に説明する」のように、仕事の教え方・任せ方について苦心している方が多くいた。また、「転職に対するハードルが低い」という回答も複数あり、Z世代のやる気を引き出し、いかにエンゲージメントを高めるかというところに課題を感じている企業が多いようだ。

Z世代の採用については、6割が「世代による違いはない」と回答しているが、Z世代の情報収集方法に合わせた「SNSを活用した情報発信」「動画配信」への関心は高まっている。総務人事も新しい手法を取り入れ、Z世代のマネジメント及び採用に向けて工夫する必要があるだろう。


【調査概要】
調査名称:Z世代のマネジメントについての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2022年10月12日〜2022年10月29日
有効回答数:70件

■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


『月刊総務』調査」の記事

2024年04月05日
介護・治療と仕事の両立支援は進んでいない実態が明らかに。介護状況の実態把握にも課題あり
2024年03月07日
約9割のミドルマネジメント層がプレイングマネジャー。負担を軽減する工夫を何もしていない企業も
2024年02月07日
健康経営が会社の業績向上につながると8割以上が回答。メリットは「社員の働きやすい環境の整備」
2024年01月10日
テレワーク導入企業の半数以上がオフィス回帰の傾向。BCP策定は自然災害への対策が最優先
2023年12月22日
4割以上の総務が転職意向あり。「総務のスキルを生かしてキャリアアップしたい」など前向きな声も
2023年11月02日
半数の企業が人的資本経営に取り組んでおり、取り組む理由は「優秀な人材を確保するため」が最多
2023年10月04日
会社全体のデジタル化が進んだと8割以上が回答。一方、8割の総務は収集データを活用できていない
2023年09月01日
8割以上の企業が障がい者雇用に課題あり。受け入れ先は、総務・人事・経理などの管理部門が最多
2023年08月04日
リスキリングについて8割が「知っている」と回答。実施企業は増えるも、一人当たり予算は減少傾向
2023年07月03日
週休3日制のメリットはワーク・ライフ・バランスの向上がトップ。導入ネックは部署間の不公平など
2023年05月30日
7割以上がインターンシップの採用直結に賛成。大手に優秀な学生を早期に確保されるとの懸念も
2023年04月21日
9割の総務が男性育休を「推進したい」一方で、自社が「男性育休がとても取りやすい」は2割以下
2023年03月15日
「オフィスの方がテレワークより生産性高く働ける」が上昇。2割の企業が「オフィス予算を増やす」
2023年02月13日
約8割の総務が「経営判断に影響力を発揮」。仕事内容ややりがいの満足度も高い傾向
2023年01月16日
SDGsに取り組んでいる企業のうち半数以上が2030年に達成すべきゴールを「定めていない」
2022年12月15日
9割以上が「企業のSNS活用は必要」とするも、半数以上が自社のSNS活用は「全く進んでいない」
2022年11月10日
Z世代のマネジメントは「難しい」の回答が半数以上。「ハラスメント扱いされる」といった悩みも
2022年10月11日
中途入社者の「オンボーディング」。充実度により定着率22ポイント、パフォーマンス30ポイントの差
2022年09月09日
「総務が成果を出せている」役職あり・なしで21ポイントの差。4割弱の総務が「アジャイル」実践
2022年08月09日
人権リスクの対象は8割が「ハラスメント」。リスクに対し対策している企業は6割にとどまる
2022年07月05日
「リスキリング」に取り組んでいる企業は3割未満。その大多数が学ぶ内容、進捗管理を個人任せに
2022年06月09日
事業承継に関わったことのある総務は2割以下。国の公的支援策を7割近くが「知らない」
2022年05月19日
ウェルビーイングに取り組んでいる企業は約半数。測定のアセスメント実施は約2割にとどまる
2022年04月07日
半数以上が会社のDX推進の取り組みは不足と評価。課題は「従業員のリテラシー不足」が最多。
2022年03月01日
約8割が総務の仕事を社内にアピールできず。総務は「なんでも屋」「雑用係」のイメージ
2022年01月27日
コロナ禍のBCPは見直す必要があるも未対応。テレワークは出社とのハイブリッドで継続が半数
2021年12月23日
女性特有の健康課題を問題視するもセクハラを心配する声。フェムテックの活用に6割強が興味あり
2021年11月29日
オンライン商談用の個別ブース不足が課題に。今後のオフィスの役割は「社内コミュニケーション」
2021年11月01日
約9割の総務が総務の仕事が好きと回答。一方、総務の仕事は適正に評価されていないとの声が多数
2021年10月22日
心身の不調を訴える従業員が昨年より増加傾向。テレワークによるコミュニケーション不足などが要因
2021年09月30日
約7割の企業が副業先での社員の労働時間を「把握していない」。総務は自身の副業に意欲的な傾向に
2021年07月29日
約7割の総務が男性育休を推進したいと回答する一方、3割以上が何の施策もしていない
2021年06月30日
約2割の企業は水害対策未実施。9割以上がテレワーク中の水害を想定した対策ができていない
2021年06月03日
8割以上がワーケーションの導入を未検討。ネガティブイメージは仕事と休暇の線引きが曖昧になる
2021年04月19日
テレワーク手当の実施率は約3割。福利厚生の課題は平等性、制度の利用率、経営層の理解など
2021年04月09日
9割が2020年度に会社のデジタル化が進んだと回答。2021年度に求めるものもデジタルツールの導入が最多
2021年03月04日
社員の健康管理が難しくなったが約7割。オンライン活用による新たな健康経営の取り組みが目立つ
2021年01月26日
緊急事態宣言対象地域の9割以上がテレワークを実施。2割の総務はテレワーク期間中も毎日出社
2020年12月22日
73.4%が対面研修のオンライン化に着手したが、うち59.0%がオンライン研修を対面に戻したいと回答
2020年11月12日
テレワークで会社の方向性を伝えにくくなったが8割。社員のエンゲージメント低下を実感
2020年09月30日
テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しいが7割超。テレワーク推進でストレスが増えたと実感
2020年08月26日
これからの働き方はオフィスとテレワークの融合が7割超。オフィスの見直しは占有面積の縮小
2020年07月31日
新型コロナでやっておけばよかったBCP対策は、テレワーク制度の整備、情報の電子化など
2020年06月30日
緊急事態宣言中に完全リモートワークができた総務は1.6%。出社理由は郵便物の対応など

関連記事

  • 「働きがいのある会社」トップ企業のハイブリッドワークの形 戦略総務を実現できるデバイスとは? PR
  • コスト削減だけじゃない! 働き方が変わり、コミュニケーションも生まれる「照明」のすごい効果 PR
  • 災害への備えは平時から。企業の防災担当者を強力にサポートする東京都のサービスとは PR

特別企画、サービス