『月刊総務』調査

半数の企業が人的資本経営に取り組んでおり、取り組む理由は「優秀な人材を確保するため」が最多

月刊総務 編集部
最終更新日:
2023年11月02日
20231102_report_『月刊総務』調査結果(2)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「人的資本経営についての調査」を実施し、52人から回答を得た。

  1. 調査結果 概要

半数の企業が人的資本経営に取り組んでいる

人的資本経営に取り組んでいるか尋ねたところ、半数が取り組んでいると回答した(n=52)。

グラフ1

人的資本経営に取り組んでいる理由は「優秀な人材を確保するため」が最多

人的資本経営に取り組んでいる理由を尋ねたところ、「優秀な人材を確保するため」が88.5%で最も多く、「人材や働き方の多様化に対応するため」が73.1%、「離職率を低減させるため」が61.5%と続いた(n=26/人的資本経営に取り組んでいる企業)。

グラフ2

人的資本経営の取り組みで注力していること1位「従業員満足度」2位「育成」3位「スキル」「育児休業」

人的資本経営の取り組みの中で注力していることについて尋ねたところ、「従業員満足度」が80.8%で最も多く、「育成」が76.9%、「スキル」と「育児休業」が57.7%と続いた(n=26/人的資本経営に取り組んでいる企業)。

  • 従業員満足度:80.8%
  • 育成:76.9%
  • スキル:57.7%
  • 育児休業:57.7%
  • 法令遵守:50.0%
  • 精神的健康:46.2%
  • 身体的健康:46.2%
  • 採用:46.2%
  • ダイバーシティ:38.5%
  • リーダーシップ:30.8%
  • 安全:30.8%
  • 福利厚生:30.8%
  • 賃金の公正性:23.1%
  • 労働慣行:19.2%
  • 非差別:11.5%
  • 児童労働・強制労働:3.8%
  • 組合との関係:3.8%
  • 維持:3.8%
  • サクセッション:3.8%

人的資本に関する情報開示方法は「有価証券報告書/事業報告」が最多

人的資本に関する情報を開示しているか尋ねたところ、21.2%が開示していると回答した(n=52)。

また、開示している方法について尋ねたところ、「有価証券報告書/事業報告」が81.8%で最多となった(n=11/開示している企業)。

  • 有価証券報告書/事業報告:81.8%
  • コーポレートガバナンス報告書:27.3%
  • 中・長期経営計画:18.2%
  • コーポレートサイト:18.2%
  • 統合報告書:9.1%
  • サステナビリティレポート:9.1%
  • 採用サイト:9.1%

人的資本経営のガイドラインに沿った取り組みができているのは約2割

人的資本経営のガイドラインに沿った取り組みができているか尋ねたところ、できている企業は約2割にとどまった。また、約2割の総務がガイドラインを知らないと回答した(n=52)。

グラフ3

人的資本経営のガイドラインの中で重視しているかつ課題を感じている項目は「育成」が最多

人的資本経営のガイドラインの中で特に重視している項目と課題を感じている項目について尋ねたところ、いずれも「育成」が最多となった(n=52)。

グラフ4
グラフ5

人的資本経営がミッションとして設定されている総務は約3割

総務の年間目標や活動計画の中で、人的資本経営に関することはミッションとして設定されているか尋ねたところ、32.7%が設定されていると回答した(n=52)。

グラフ6

半数以上の総務が人的資本経営を普段から意識している

総務の仕事をする上で、人的資本経営を普段どのくらい意識しているか尋ねたところ、半数以上が意識していると回答した(n=52)。

  • とても意識している:13.5%
  • やや意識している:40.4%
  • あまり意識していない:32.7%
  • 全く意識していない:13.5%

人的資本経営を推進する課題は「費用対効果がわかりにくい」が最多

人的資本経営を推進する上でどんなことが課題になると思うか尋ねたところ、「費用対効果がわかりにくい」が57.7%で最も多く、「収集すべきデータがわからない」が40.4%、「経営陣の理解が得られない」が36.5%と続いた(n=52)。

グラフ7

総評

今回の調査では、半数の企業が人的資本経営に取り組んでいるものの、ガイドラインに沿った取り組みができているか尋ねたところ、できている企業は約2割、また総務の年間目標や活動計画の中で、人的資本経営に関することがミッションとして定められている企業も約3割にとどまることがわかった。

人的資本経営は優秀な人材を確保するために必要だという認識が高い一方で、費用対効果がわかりにくい、収集すべきデータがわからないなどの課題も明らかになった。メリットや必要性は認識されている一方で、具体的な方法論については情報が足りていない総務も多いことがうかがえる。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2023年9月11日〜2023年9月25日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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