『月刊総務』調査

「オフィスの方がテレワークより生産性高く働ける」が上昇。2割の企業が「オフィス予算を増やす」

月刊総務 編集部
最終更新日:
2023年03月15日
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『月刊総務』は全国の総務担当者を対象に「オフィスについての調査」を実施し、224名から回答を得た。

  1. 調査結果概要

2020年調査結果

2021年調査結果

約6割がこの3年でオフィスの見直しを実施。実施内容は「レイアウトの変更」が最多

この3年間でオフィスの見直しをしたか尋ねたところ、「見直しをした」が58.5%、「見直しを検討している」が25.0%と、合わせて8割以上がオフィスの見直しを実施または検討していることがわかった(n=224)。

グラフ1

<実施した内容 (n=224)>
レイアウトの変更:74.0%
占有面積縮小:35.1%
拠点の集約:20.6%
コワーキングスペースやレンタルオフィスの契約:20.6%
占有面積拡大:13.0%
規模縮小のための移転:10.7%
拠点の分散化:7.6%
地方への移転:0.8%
本社機能の廃止:0%
その他:7.6%

約2割がオフィス予算を増やす方針

今後のオフィス予算の方針を尋ねたところ、約2割が「増やす」と回答した(n=224)。

グラフ2

8割以上がオフィス移転の予定なし。移転の目的は「働き方改革」「ABW導入」など

オフィス移転の予定はあるか尋ねたところ、「ある」が16.1%、「ない」が83.9%という結果となった(n=224)。

<オフィス移転の目的 / 一部抜粋>

  • ビル老朽化
  • 働き方変革オフィスをつくるため
  • ABW導入などテレワークとの融合策
  • オフィスの利用変化・立地の見直し等のため
  • 事業戦略、従業員満足度向上、採用強化

これからの働き方は「オフィスとテレワークの融合」が約7割

これからの働き方はどうなると思うか尋ねたところ、「オフィスとテレワークの融合」が67.4%という結果となった。2020年及び2021年の調査結果と比較すると、「オフィスメイン」が微増した(n=224)。

グラフ3

「オフィスの方が生産性高く働ける」の回答が前回調査より20.4ポイント増加

オフィスとテレワークのどちらが生産性が高く働けると思うか尋ねたところ、オフィスと回答した人が74.6%と前回の調査の54.2%から20.4ポイント増加。テレワークと回答した人が25.4%という結果となった(n=224)。

グラフ4

<オフィスの方が生産性高く働けると思う理由/ 一部抜粋>

  • テレワークでは偶発的なアイデアは生まれにくい。
  • 意見集約と決断のスピードが速い。
  • オフィスの方がファシリティが充実している。
  • チームワークによる高い生産性。

<テレワークの方が生産性高く働けると思う理由/ 一部抜粋>

  • テレワークのほうが自分のペースで集中して時間のロスなく仕事ができる。
  • 通勤時間や移動時間の短縮により、業務に充てる時間が多く確保できるため。
  • リラックスをして仕事にのぞめる。

これからのオフィスの役割1位「社内コミュニケーションの場」2位「チームで作業をする場」3位「社風・文化を醸成する場」

これからのオフィスの役割はなんだと思うか尋ねたところ、「社内コミュニケーションの場」が89.7%で最も多く、「チームで作業をする場」が78.1%、「社風・文化を醸成する場」が58.0%と続いた(n=224)。

グラフ5

これからのオフィスで重視する機能1位「コミュニケーションスペース」2位「Web会議スペース」3位「一人で集中できるスペース」

これからのオフィスでは、どんな機能を重視するか尋ねたところ、「コミュニケーションスペース(ラウンジ、社食など)」が76.3%で最も多く、「Web会議スペース」が59.4%、「一人で集中できるスペース」が40.6%と続いた(n=224)。

グラフ6

現在のオフィスの課題1位「個別ブースが足りない」2位「コラボレーションスペースが足りない」3位「会議室や来客スペースが足りない」

現在のオフィスの課題はなにか尋ねたところ、「個別ブースが足りない」が57.6%で最も多く、「コラボレーションスペースが足りない」が47.3%、「会議室や来客スペースが足りない」が42.0%と続いた。2021年の調査結果と比較すると個別ブースの不足は6.1ポイント減と解消傾向にある一方、コラボレーションスペースの不足は13.8ポイント増となった(n=224)。

グラフ7

オフィスづくりで重要視していること1位「コミュニケーション」2位「生産性・効率」3位「チームビルディング」

オフィスづくりで重要視していることを尋ねたところ、「コミュニケーション」が87.1%で最も多く、「生産性・効率」が60.7%、「チームビルディング」が47.3%と続いた(n=224)。

グラフ8

<従業員が出社したくなるようなオフィスにするための工夫/ 一部抜粋>

  • 福利厚生制度の充実
  • 全フロアのフリーアドレス化
  • サイネージ(社内情報発信)を設置
  • 偶発的なコミュニケーションの場として、カフェスペース設置
  • 働き方に合わせたワークスペースを選択できるようにABW対応のオフィスへリニューアルした

4割以上がABW(Activity based Working)を推進

ABWを推進しているか尋ねたところ、「とても推進している」と「やや推進している」が合わせて44.2%と、4割以上が推進していることがわかった(n=224)。

ABW(Activity based Working):従業員がその時々の仕事の内容に応じて、最も効率的に仕事を行うにはどの場所が最適なのかを決定して仕事を進めるワークスタイルのことを指します。

グラフ9

2割以上が社員の働く場としてサードプレイスを契約。前回調査より2.3ポイント増加。

今後社員の働く場所としてオフィス・自宅の他にサードプレイス(コワーキングスペース、レンタルオフィス、サテライトオフィスなど)の契約を考えているか尋ねたところ、「契約している」が前回の調査から2.3ポイント増加した。一方で「契約しない」が57.1%という結果となった(n=224)。

グラフ10

バーチャルオフィスの知名度は上がるも、7割以上が導入する予定なし

バーチャルオフィスを導入しているか尋ねたところ、「バーチャルオフィスを知らない」は前回調査に比べて10.5ポイント減少した。一方で「導入する予定はない」が72.8%という結果となった(n=224)。

グラフ11

総評

2020年、2021年とオフィスについての調査を実施し、前回まではリモートワークの急激な推進とそれに伴う働き方の変化への対応が結果に色濃く出ていた。今回の調査では、新しいワークスタイルに慣れてきた一方で、あらためてコミュニケーションやコラボレーションの場としてのオフィスの意義が見直されていることがうかがえる。

この約3年の試行錯誤を経て、「オフィスの方がいい仕事」「テレワークの方がいい仕事」も見えてきたところだろう。蓄積したデータや従業員の声をきちんと検証し、「出社したくなる」求心力のある場へと、オフィスもトランスフォーメーションさせていってほしい。


【調査概要】
調査名称:オフィスについての調査
調査機関:自社調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2023年2月10日〜2023年2月20日
有効回答数:224件

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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