『月刊総務』調査

約8割が総務の仕事を社内にアピールできず。総務は「なんでも屋」「雑用係」のイメージ

月刊総務 編集部
最終更新日:
2022年03月01日
202202_Q27

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「総務の仕事に関する調査」を実施し、269人から回答を得た。

  1. 調査結果概要

6割以上の総務が新型コロナで仕事量が増加し、約8割が「これまでにない仕事が発生」

新型コロナによって総務の仕事量に変化があったか尋ねたところ、「仕事が増えた」が62.8%という結果となった(n=269)。

202202_Q1
  • 仕事が増えた 62.8%
  • 仕事が減った 5.2%
  • 変化はない 32.0%

また、新型コロナによって総務の仕事内容に変化があったか尋ねたところ、「これまでにない仕事が発生した」が78.8%という結果となった(n=269)。

202202_Q2
  • これまでにない対応が発生した 78.8%
  • 創意工夫が必要な仕事が増えた 44.2%
  • 変化はない 7.1%
  • その他 4.1%

「戦略総務」を実践できているのは約4割

所属する総務部門は「戦略総務」を実践していると思うか尋ねたところ、「とても実践している」と「やや実践している」が合わせて40.9%と、実践できている総務は約4割という結果となった(n=269)。

※戦略総務とは、会社を変えるために、自ら考え仕掛けていくことであり、そのために自らも変わる総務を指す。
202202_Q3
  • とても実践している 4.8%
  • やや実践している 36.1%
  • あまり実践していない 35.5%
  • ほとんど実践していない 23.8%

7割以上が総務の仕事は正当に評価されていないと感じている

総務の仕事は正当に評価されていると思うか尋ねたところ、「あまり評価されていない」と「全く評価されていない」が合わせて72.8%と、7割以上が総務の仕事は正当に評価されていないと感じていることがわかった(n=269)。

202202_Q4
  • とても評価されている 3.0%
  • やや評価されている 24.2%
  • あまり評価されていない 57.6%
  • 全く評価されていない 15.2%

4割が現場や経営からの評価・評判を収集していない

現場や経営からの評価・評判をどのように収集しているかを尋ねたところ、「収集していない」が40.5%で最多となりった(n=269)。

202202_Q5
  • オフィス内の回遊と声掛け:37.9%
  • 定期的なヒアリング:25.3%
  • 定期的なアンケート調査:13.8%
  • 目安箱等の設置:3.0%
  • 総務主催の懇親会やランチ会の実施:2.6%
  • サンクスカードの運用:1.5%
  • 収集していない:40.5%
  • その他:7.4%

総務に対する他部署からのイメージは「なんでも屋」「雑用係」

あなたの会社の中で総務は他部署からどのように見られていると思うか尋ねたところ、「なんでも屋」が83.6%で最も多く、「雑用係」が72.9%、「裏方」が61.3%と続いた(n=269)。

202202_Q6
  • 何でも屋 83.6%
  • 雑用係 72.9%
  • 裏方 61.3%
  • 縁の下の力持ち 34.9%
  • コストセンター 13%
  • ゼネラリスト 10.8%
  • スペシャリスト 6.7%
  • プロフェッショナル集団 4.5%
  • 花形部署 0.7%
  • その他 3.3%

<「総務」以外の名称・名称を変えたことによる周囲からの反応や所属メンバーのモチベーションの変化 / 一部抜粋>

  • ワークスタイリングプロデュース部:何でも屋さんのイメージから多少脱却できたかと思います
  • ダイバーシティ&インクルージョン、オフィス&ドキュメント:ミッションの具体化で業務の方向性について認識が強くなった
  • facility management:facilityに特化した名称により、より責任感が強くなり、現場スタッフへの認知度が高くなった
  • 経営推進室:庶務的・受身的イメージから能動的イメージへの変化

約8割が総務の仕事を社内にアピールできていない

総務の仕事を社内にアピールできているか尋ねたところ、「あまりできていない」と「全くできていない」が合わせて77.7%と、約8割の総務がアピールできていないことがわかった(n=269)。

202202_Q7
  • とてもできている 3.0%
  • ややできている 19.3%
  • あまりできていない 58.7%
  • 全くできていない 19.0%

どのようにアピールしているか尋ねたところ、「社内報やイントラネットで情報を発信している」が73.3%で最多となりった(n=60)。

  • 社内報やイントラネットで情報を発信している:73.3%
  • 社内チャット上で情報を発信している:28.3%
  • 朝礼や総会で情報を発信している:23.3%
  • 社外のイベントやセミナーに登壇している:11.7%
  • 社内のアワード・コンテスト等に応募している:6.7%
  • 社外のアワード・コンテスト等に応募している:0%
  • その他:11.7%

<これまでの総務の仕事で会社に良い影響を及ぼした実感のあること/ 一部抜粋>

  • コロナ感染拡大の際のテレワークの推進と制度変更
  • 健康経営優良法人に認定されてから、社外の人からの評判があがり会社のイメージアップができたことを実感することが多い
  • 育休者の復職時の働き方の選択肢を増やしたこと
  • オフィスリニューアルや営業所のリニューアルに関わり、コスト削減と共に社員が働きやすく安心安全な環境整備に寄与できた
  • ハラスメント事案の解決や、就業規則等、法改正対応を行い企業防衛に尽力、経営層から評価を得た
  • 稟議(経費精算)システムの入れ替え
  • エンゲージメント向上のための施策(社内表彰・システム導入・サークル活動など)
  • 文書管理の構築、デジタル文書管理の構築
  • SDGsの社内勉強会、啓蒙活動

総務のモチベーションは「社員から頼りにされていること」「社員から感謝されること」

総務の仕事をする上でモチベーションになっていることを尋ねたところ、「社員から頼りにされていること」が68.4%で最も多く、「社員から感謝されること」が62.5%、「経営から頼りにされていること」が50.2%と続いた(n=269)。

202202_Q8
  • 社員から頼りにされていること:68.4%
  • 社員から感謝されること:62.5%
  • 経営から頼りにされていること:50.2%
  • 自身のスキルアップを感じられること:49.8%
  • 社員がイキイキと働いている姿を見ること:43.5%
  • 業績や生産性のアップに寄与できること:38.7%
  • 社内外の人脈が広がること:30.5%
  • モチベーションになることはない:6.3%
  • その他:5.9%

総務にインセンティブ制度がある企業はほとんどなし

総務にインセンティブ制度はあるか尋ねたところ、「ある」が3.0%、「ない」が97.0%という結果となった(n=269)。

202202_Q9
  • ある 3.0%
  • ない 97.0%

<インセンティブの内容 / 一部抜粋>

  • 他の従業員の模範になるような取り組みに対して、一般表彰制度(部門長段階・全社段階)があります
  • 専門性知識の向上に対しての補助

表彰制度がある企業のうち、総務が表彰されたことがあるのは半数以下

会社に表彰制度があるか尋ねたところ、「ある」が71%、「ない」が29%という結果になった(n=269)。

表彰制度がある企業に対し、総務部門が表彰されたことがあるか尋ねたところ、「ある」は44.5%、「ない」は55.5%という結果となった(n=191)。

202202_Q10
  • ある 44.5%
  • ない 55.5%

また、総務関連の社外のアワードに応募したことがあるか尋ねたところ、「ある」は4.5%、「ない」は95.5%と、ほとんどの総務は自ら社外アワードに応募したことがないことがわかった(n=269)。

総評

今回の調査では、総務はコロナ禍で業務負担が増えている半面、自身の仕事を社内外にあまりアピールできていない状況にあることがわかった。

以前のアンケートでも、総務の仕事は「やって当たり前」とされ、プラスの評価を得ることが難しいという声が挙がっていた。しかし、総務は創意工夫が必要な仕事であり、その力量によって経営に与えるインパクトは大きく変わる。社内からの見え方として「なんでも屋」が最多となったが、これは「なんでもできるポジション」とプラスに捉えることができるだろう。会社を変えるために自ら能動的に動く「戦略総務」としての仕事を個々人がもっと社内外に発信し、総務という仕事の面白さややりがいをアピールしてもらいたい。


【調査概要】
調査名称:総務の仕事に関する調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2022年2月16日〜2022年2月23日
有効回答数:269件

■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


『月刊総務』調査」の記事

2024年09月09日
7割以上の総務が情報収集に注力。現場からの情報収集は、約半数が「ぶらぶら総務」を実践
2024年08月09日
8割以上の企業が社内コミュニケーションに課題あり。課題内容は「社員の参加意識の醸成」が最多
2024年07月08日
約7割が外国人従業員の雇用を検討。雇用したことのある4社に1社がトラブル経験あり
2024年06月07日
7割以上がジェンダー不平等解消の施策は必要と回答。行っている施策1位は「ハラスメント教育」
2024年05月08日
副業制度がある会社は約3割で前回調査より増加傾向。一方、副業人材を活用している企業は1割未満
2024年04月05日
介護・治療と仕事の両立支援は進んでいない実態が明らかに。介護状況の実態把握にも課題あり
2024年03月07日
約9割のミドルマネジメント層がプレイングマネジャー。負担を軽減する工夫を何もしていない企業も
2024年02月07日
健康経営が会社の業績向上につながると8割以上が回答。メリットは「社員の働きやすい環境の整備」
2024年01月10日
テレワーク導入企業の半数以上がオフィス回帰の傾向。BCP策定は自然災害への対策が最優先
2023年12月22日
4割以上の総務が転職意向あり。「総務のスキルを生かしてキャリアアップしたい」など前向きな声も
2023年11月02日
半数の企業が人的資本経営に取り組んでおり、取り組む理由は「優秀な人材を確保するため」が最多
2023年10月04日
会社全体のデジタル化が進んだと8割以上が回答。一方、8割の総務は収集データを活用できていない
2023年09月01日
8割以上の企業が障がい者雇用に課題あり。受け入れ先は、総務・人事・経理などの管理部門が最多
2023年08月04日
リスキリングについて8割が「知っている」と回答。実施企業は増えるも、一人当たり予算は減少傾向
2023年07月03日
週休3日制のメリットはワーク・ライフ・バランスの向上がトップ。導入ネックは部署間の不公平など
2023年05月30日
7割以上がインターンシップの採用直結に賛成。大手に優秀な学生を早期に確保されるとの懸念も
2023年04月21日
9割の総務が男性育休を「推進したい」一方で、自社が「男性育休がとても取りやすい」は2割以下
2023年03月15日
「オフィスの方がテレワークより生産性高く働ける」が上昇。2割の企業が「オフィス予算を増やす」
2023年02月13日
約8割の総務が「経営判断に影響力を発揮」。仕事内容ややりがいの満足度も高い傾向
2023年01月16日
SDGsに取り組んでいる企業のうち半数以上が2030年に達成すべきゴールを「定めていない」
2022年12月15日
9割以上が「企業のSNS活用は必要」とするも、半数以上が自社のSNS活用は「全く進んでいない」
2022年11月10日
Z世代のマネジメントは「難しい」の回答が半数以上。「ハラスメント扱いされる」といった悩みも
2022年10月11日
中途入社者の「オンボーディング」。充実度により定着率22ポイント、パフォーマンス30ポイントの差
2022年09月09日
「総務が成果を出せている」役職あり・なしで21ポイントの差。4割弱の総務が「アジャイル」実践
2022年08月09日
人権リスクの対象は8割が「ハラスメント」。リスクに対し対策している企業は6割にとどまる
2022年07月05日
「リスキリング」に取り組んでいる企業は3割未満。その大多数が学ぶ内容、進捗管理を個人任せに
2022年06月09日
事業承継に関わったことのある総務は2割以下。国の公的支援策を7割近くが「知らない」
2022年05月19日
ウェルビーイングに取り組んでいる企業は約半数。測定のアセスメント実施は約2割にとどまる
2022年04月07日
半数以上が会社のDX推進の取り組みは不足と評価。課題は「従業員のリテラシー不足」が最多。
2022年03月01日
約8割が総務の仕事を社内にアピールできず。総務は「なんでも屋」「雑用係」のイメージ
2022年01月27日
コロナ禍のBCPは見直す必要があるも未対応。テレワークは出社とのハイブリッドで継続が半数
2021年12月23日
女性特有の健康課題を問題視するもセクハラを心配する声。フェムテックの活用に6割強が興味あり
2021年11月29日
オンライン商談用の個別ブース不足が課題に。今後のオフィスの役割は「社内コミュニケーション」
2021年11月01日
約9割の総務が総務の仕事が好きと回答。一方、総務の仕事は適正に評価されていないとの声が多数
2021年10月22日
心身の不調を訴える従業員が昨年より増加傾向。テレワークによるコミュニケーション不足などが要因
2021年09月30日
約7割の企業が副業先での社員の労働時間を「把握していない」。総務は自身の副業に意欲的な傾向に
2021年07月29日
約7割の総務が男性育休を推進したいと回答する一方、3割以上が何の施策もしていない
2021年06月30日
約2割の企業は水害対策未実施。9割以上がテレワーク中の水害を想定した対策ができていない
2021年06月03日
8割以上がワーケーションの導入を未検討。ネガティブイメージは仕事と休暇の線引きが曖昧になる
2021年04月19日
テレワーク手当の実施率は約3割。福利厚生の課題は平等性、制度の利用率、経営層の理解など
2021年04月09日
9割が2020年度に会社のデジタル化が進んだと回答。2021年度に求めるものもデジタルツールの導入が最多
2021年03月04日
社員の健康管理が難しくなったが約7割。オンライン活用による新たな健康経営の取り組みが目立つ
2021年01月26日
緊急事態宣言対象地域の9割以上がテレワークを実施。2割の総務はテレワーク期間中も毎日出社
2020年12月22日
73.4%が対面研修のオンライン化に着手したが、うち59.0%がオンライン研修を対面に戻したいと回答
2020年11月12日
テレワークで会社の方向性を伝えにくくなったが8割。社員のエンゲージメント低下を実感
2020年09月30日
テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しいが7割超。テレワーク推進でストレスが増えたと実感
2020年08月26日
これからの働き方はオフィスとテレワークの融合が7割超。オフィスの見直しは占有面積の縮小
2020年07月31日
新型コロナでやっておけばよかったBCP対策は、テレワーク制度の整備、情報の電子化など
2020年06月30日
緊急事態宣言中に完全リモートワークができた総務は1.6%。出社理由は郵便物の対応など

関連記事

  • 【AI×交通安全運動】111社が共同で事故リスク削減に取り組んだ2か月間……その結果は? PR
  • オフィスの課題解決はデータ収集から 社員の位置情報を自動で管理しフリーアドレスを効率化 PR
  • 大切なのは「自社ならでは」のオフィスづくり 社員の「心」を解析すると幸せな働き方が見えてくる PR

特別企画、サービス