『月刊総務』は全国の総務担当者を対象に「総務の組織の在り方(アジャイル型組織*)についての調査」を実施し、197名から回答を得た。
*アジャイル型組織:トップダウンではなくメンバーが一定の権限と責任の下にとに自立して業務に取り組み、速やかな意思決定のもとPDCAを回して課題を解決に導く組織のこと
- 調査結果概要
8割以上が「総務はアジャイル型組織であるべき」だと考え、すでに4割弱の総務組織がアジャイルを実践
所属している総務組織は「アジャイル型組織」だと思うか尋ねたところ、「とても思う」と「やや思う」は合わせて36.0%という結果になった(n=197)。
総務は「アジャイル型組織」であるべきだと思うか尋ねたところ、「とても思う」と「やや思う」は合わせて84.8%という結果になった(n=197)。
<アジャイル型組織であるべきだと思う理由 / 一部抜粋>
- 社会変化は激しく、トップダウンでは決して追いつかない
- 社会や会社の状況や、新しい情報を常に取り入れて、変わっていく組織であるのが総務だと考えているから
- 専門知識が必要な部署だと思うので、各々に裁量があるとより良い業務ができると感じるから
- 新しい提案や新しい取り組みは、社員が自律できている環境下でこそ発揮できるものと考えるため
- 新しいことに挑戦していくためには、速やかな意思決定が必要なため
<アジャイル型組織であるべきだと思わない理由 / 一部抜粋>
- 会社の方針とずれてしまうことがままあるため、プロジェクトを遂行しても振出しに戻ることがあるため
- 責任の所在が分かりにくい
新しい考え方や仕事のやり方を取り入れようとしている総務組織は約7割
所属している総務組織は新しい考え方や仕事のやり方を取り入れようとしているか尋ねたところ、「新しい考え方や方法を取り入れようとしている」と回答したのは67.5%と全体の約7割という結果になった。役職のある方は72.7%、役職のない方は59.7%と、役職の有無で13.0ポイント差となった(n=197)。
意思決定にスピード感がある総務組織は約半数。役職の有無で実感に28.4ポイント差
所属している総務組織の意思決定にスピード感があるか尋ねたところ、「とてもある」と「ややある」が合わせて54.8%で約半数という結果になり、役職のある方は64.5%、役職のない方は36.1%と、役職の有無で28.4ポイント差となった(n=197)。
年次に関係なく挑戦できる土台がある総務組織は約7割。役職の有無で21.9ポイント差
所属している総務組織は、年次に関係なく挑戦できる土台があると思うか尋ねたところ、「とてもある」と「ややある」が合わせて68.0%という結果になり、役職のある方は76.1%、役職のない方は54.2%と、役職の有無で21.9ポイント差となった(n=197)。
挑戦した結果として失敗が許容されている総務組織は約7割
所属している総務組織は、挑戦した結果としての失敗が許容されていると思うか尋ねたところ、「とても許容されている」と「やや許容されている」が合わせて68.0%という結果になり、役職のある方は71.1%、役職のない方は62.5%と、役職の有無で8.6ポイント差となった(n=197)。
約6割が所属する総務組織は心理的安全性が高いと回答
所属している総務組織は、心理的安全性が高い組織だと思うか尋ねたところ、「とても高い」と「やや高い」が合わせて56.4%という結果になった(n=197)。
<心理的安全性が高いと思う理由 / 一部抜粋>
- 人を責めず、ミスの原因を解決する思考性であるため
- OJTや1on1ミーティング、課長面談の定例化を行い、風通しのいい組織構築を行っている
- チャレンジすることを後押しする態勢となっている。 会議では若手もためらわずに発言できる雰囲気がある
- 上席者は現場職員に意見を求めたとき、意に沿わない内容であっても否定しない。 万一、意見が採用されない場合であっても説明してもらえる
<心理的安全性が低いと思う理由 / 一部抜粋>
- チャレンジすることより失敗しないことが賞賛される
- 担当に任せっきりで途中のサポートが無い。結果が悪ければすべて担当者の責任で評価に直結される
- 社内のクレームを受ける部門。褒められる事はあまりない
- 少人数で、長い間役割や担当が決まっているので属人的であり、組織という力の弱さを感じる
- 自由度があるゆえリスクを感じやすい
総務が成果を出せている実感があるのは約半数。役職の有無で実感に20.6ポイント差
総務が成果を出せているという実感があるか尋ねたところ、役職のある方は「とてもある」と「ややある」が合わせて59.5%、役職のない方は38.9%で、20.6ポイント差となった(n=197)。
<成果を出せていると思う理由 / 一部抜粋>
- 社内で新たな事を実施する場合、何事もまずは総務部門からトライアル的に始め、改善をしてから全社的に展開をするなど、受け身ではなく、率先して行動することで会社が変わることを体感しているから
- コロナ禍だからかもしれませんが、突発的な事には対応出来ているかと思うため
- 攻めの総務を意識してアクションを増やしているので、時代の変化に対応させながら動けている認識はあります
- 裏方になりがちな部署のため実施している施策は地味だが、他部門からの一定の評価をもらっている
<成果を出せていないと思う理由 / 一部抜粋>
- 経営との意思疎通もとっていないため、目先の当たり前のことしかやっていない
- 目の前の業務に追われている感があり、社内の改善や改革に手を出せていないため
- 総務には他部門で管轄しない業務を全て担当するという流れが残っており、総務の仕事はやって当然、できて当然という見方がされる。部分最適ではなく全体最適で業務を行うことが多いため、総務の成果が目立つことなく労力の割に評価されていないという感覚がある
- 何でも屋のイメージが払拭されておらず、結果が数値化されていないので分かりにくい
- ここ2年はコロナ対策で、本来やるべき通常の業務が忙殺されているため
回答者の属性について
〜役職あり〜
役員:4名
部長:37名
課長、マネジャー:72名
〜役職なし〜
主任、リーダー:27名
一般:43名
その他:14名
総評
今回は総務組織の在り方についての調査を行い、多くの項目で役職の有無によって結果に差が生じた。役職がない方の方がネガティブに捉えている傾向があり、自身の裁量が少ないことが背景にあるのかもしれない。
また、約8割の回答者が「総務はアジャイル型組織であるべき」だと考えており、4割弱は実際にアジャイルを意識した組織であることも明らかになった。アジャイル型組織であるべきだと考える理由は、社会の変化に対応したり新しいことを推進するためには「スピード感」が必要だからだという声が多かった。
【調査概要】
調査名称:総務の組織の在り方(アジャイル型組織)についての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2022年8月8日〜2022年8月22日
有効回答数:197件
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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