義務化対応だけでは不十分 今こそ見直したいメンタルヘルス対策「3つの予防」
今回、初めてこちらでの執筆を担当させていただきます、インクルード株式会社の山川と申します。当社では、メンタルヘルス不調の方の休職・復職支援であるリワークサービスの運営や、精神障がいの方の障がい者雇用就労支援などのサービスを行っています。厚生労働省の患者調査では、2020年の精神疾患患者数は614万8000人とされ、その前の調査時期である2017年からの増加率は約47%となり、過去に類を見ないほど精神疾患の方が増えています。当然企業で従事されている方の中でもメンタルヘルス不調の方が増えてきており、企業は、メンタルヘルス不調に関する予防のための体制を整えることが求められています。今年度初回では、企業における健康経営とメンタルヘルスをテーマに解説します。
健康経営とは?
企業が従業員の健康を重要な経営資源と捉え、積極的に健康維持・増進に取り組むことで、従業員の生産性向上や企業の成長を目指す経営手法です。この概念は、経済産業省や日本健康会議などが提唱し、近年、日本で広がりを見せています。
ではなぜ、健康経営の推進が進んでいるのでしょうか。それにはいくつかの社会的・経済的な要因があります。
(1)少子高齢化と労働力不足
日本は少子高齢化により労働力人口が減少しており、限られた労働力を効率的に活用することが求められています。従業員の健康が維持され、長く働ける環境を整えることは、企業が持続的に成長するために重要なポイントです。
(2)健康リスクと医療費の増加
生活習慣病やメンタルヘルスの問題が深刻化しており、それに伴って医療費も増加しています。企業としても、従業員の健康悪化が生産性の低下や医療費の負担増加に直結するため、健康経営に取り組むことがコスト削減に寄与すると考えられています。
(3)働き方改革の推進
長時間労働が日本では長年の課題とされてきましたが、政府主導で「働き方改革」が進められている今、健康的な働き方の実現が求められています。これにより、企業も健康経営を推進し、従業員がより健やかに働ける環境づくりに取り組む動きが広がっています。
(4)企業の社会的責任(CSR)の重視
企業が社会的責任を果たす重要性が増す中、健康経営は「従業員の健康」という社会的課題に向き合う手段と見なされています。健康経営に取り組むことは、企業の信頼性やイメージ向上にもつながります。
(5)健康経営銘柄制度や認定制度の導入
経済産業省や日本健康会議が、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人認定」などの制度を導入し、健康経営に積極的な企業を評価・認定しています。このような制度によって企業は社会的に評価されやすくなり、株主や消費者などにもアピールすることができるため、健康経営が推進されやすくなっています。
このように健康経営が広がりを見せていますが、言葉としての認識はされていても、具体的にどういった取り組みを指すのかは意外に知られていないのではないでしょうか。具体的には以下のような活動が含まれます。これらの取り組みにより、従業員の離職率や病欠の低下、モチベーション向上などが期待され、結果として企業全体の生産性が向上すると考えられています。
(1)健康診断の強化
(2)メンタルヘルス対策
(3)運動や食事の支援
(4)ワーク・ライフ・バランスの推進
ここからは、(2)のメンタルヘルス対策について、より詳細に触れていきます。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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