「大丈夫?」では逆効果になることも メンタル不調社員のSOSを引き出しやすくする環境づくり
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「昨日まで普通に働いていた社員が、突然休職することになった」。人事・総務の現場では、このような場面に直面することがあります。「そこまで悪いとは思わなかった」という上司、「いつも通りに見えた」という同僚、本人からも事前の明確な相談はなかった。結果として、企業側は急な業務調整や欠員対応に追われることになります。
しかし、精神科医として臨床の場で多くの働く世代の方と接していると、休職は必ずしも「突然」起きているわけではないことがわかります。むしろ、本人の中ではかなり前から不眠、疲労感、集中力低下、不安、意欲低下などが進行していることが少なくありません。ただ、それが職場に相談されないまま時間が経過し、ある日、出勤できない状態として表面化するのです。
つまり、企業から見ると「突然の休職」に見えても、実際には「相談されないまま進行した不調」であることが多いのです。
不調者の6割以上が、職場への相談に抵抗感を持っている
この点を考える上で参考になるのが、パーソル総合研究所「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」です。
同調査では、メンタルヘルス不調者の62.8%が、職場へ相談することに心理的な抵抗感を持っているとされています。さらに20代では、その割合が68.0%と高くなっています。
この数字は、企業にとって非常に重要です。なぜなら、多くの企業では「相談窓口を設けている」「上司が面談している」「産業医面談の制度がある」といった形で、相談体制そのものは整えられているからです。
しかし、相談体制があることと、社員が実際に相談できることは同じではありません。「評価が下がるのではないか」「異動や昇進に影響するのではないか」「周囲に迷惑をかけるのではないか」「弱い人だと思われるのではないか」といった不安によってなかなか相談できずにいる人もいるでしょう。特に真面目で責任感の強い社員ほど、自分の不調をぎりぎりまで隠そうとする傾向があります。
臨床の場でも、休職直前の方が「自分が甘えているだけではないか」「もう少しがんばれば何とかなると思っていた」と話すことは珍しくありません。本人は怠けているのではなく、むしろがんばり続けた結果として限界を迎えているのです。
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