総務の引き出し(労務管理)
定年後再雇用で大幅減額は妥当か ―― 最高裁の判決から考える基本給の「同一労働同一賃金」
岡田人事労務管理事務所 所長、株式会社ワーク・アビリティ 代表取締役 岡田 良則
最終更新日:
2023年10月19日
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2023年7月20日、基本給の同一労働同一賃金について最高裁が初めて判断を示し、大きな注目を集めました。定年後の再雇用にあたって基本給を大幅に減額したことの妥当性を争ったものです。
判断の枠組み(1):労働契約法20条「不合理な待遇差の禁止」
原告は、自動車学校に勤務していた労働者です。もともとは正社員でしたが、定年退職後に嘱託職員として再雇用されました。
定年後は主任の役職からは外れたものの、定年前と同様に教習指導員の業務を行っていましたが、基本給は定年前の50%以下に減額されたという事案です。
裁判の争点は、正社員であったときと嘱託職員(非正規雇用)になってからの待遇格差が、労働契約法第20条(※)に違反するかどうかという点です。
※現在、労働契約法第20条は削除され、パートタイム・有期雇用労働法第8条に統合されています。内容はほぼ同じです。
労働契約法20条では、労働者が有期契約か無期契約かによって待遇に「不合理な格差」を設けることを禁じています。いわゆる「同一労働同一賃金」です。
「不合理な格差」にあたるかどうかは、次の3点を踏まえて判断されます。
- 職務内容(業務内容や責任の程度)
- 職務内容および配置の変更の範囲
- その他の事情
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